#オリジナル連載小説
Moon sick Ep. 24
あの日のことは今でも鮮明に思い出せる。
僕が、この長いMoon sick に関わることになった始まりは、あの日からと言ってもいいくらいだからだ。
それは、まるで例えるなら、すぐそこにあったのに、ずっと閉まっていたせいで、壁だと思っていた場所が、実は扉だったことに気付いたような衝撃だった。
僕が知らなかっただけで、実は、壁一つ隔てられた向こう側で、ずっと繰り広げられていた世界があったことを知っ
Moon sick Ep.23
次に気がついた時、姉の部屋のドアは開け放たれていて、姉の姿はどこにも無かった。
あわてて飛び起きて、家中を探し回ったが、姉はいなかった。まさかと思い、玄関に走っていくと、玄関先は開け放たれてあった。
庭に咲く白い花が、明るい暗闇の中で、不自然に開いていているのを目にした瞬間、ゾクリとした。「満月ね」と言っていた母の言葉を思い出したのだ。
全然気が付かなかった。
いつのまに、姉は外に出ていったん
Moon sick Ep.22
結論から言えば、姉に薬を飲ませることは叶わなかった。
その日、僕が部活から帰宅した時、もう姉は自室いた。台所には姉が用意したであろう夕食が置いてあった。
姉の部屋のドアを叩いて声を掛けてみたが返事がない。そっとドアを開けると、姉はもうベットに横になっていた。
「姉さん?」
返事はない。
「具合悪いの?」
これも返事はなかった。
眠っているのだろうか?
それにしても、眠るにしては早すぎないか