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伊万里焼って存在しない話

伊万里焼といえば、日本でも有数の陶器の産地。私も1年半前まではそう思っていました。
でも、実は佐賀県伊万里市に、伊万里焼は存在しないんです。

伊万里焼の由来

昔々、(現在の)有田・伊万里・波佐見地方で作られた焼き物を海外に輸出するために使われた『伊万里港』。海外では、伊万里港からやってきた器を全て伊万里焼と呼んでいました。つまり、有田焼も鍋島焼も波佐見焼も、海外の人にとっては伊万里焼だったのです。時が経ち、それが逆輸入されるようになると、古伊万里の相性で日本に浸透します。

伊万里で作られているのは『鍋島焼』

では、今の伊万里市で作られている焼き物とは?それは鍋島焼です。場所を指して伊万里焼と呼ばれることはあっても、正式な名称ではありません。

私は約1年半前からこの鍋島焼の窯元で副業をしていますが、その当時は伊万里焼は知っていても鍋島焼は知りませんでした。GWに陶器市に出向いたことがあるのにも関わらず…。
同じイメージを持っているのは、きっと私だけではない気がします。
“有田焼や波佐見焼は有名だけど、鍋島焼は知名度がないから大変…”
副業開始当初にそんな話を聞いたことがありましたが、だったら何故、名前が浸透している伊万里焼と名乗らないのだろうか。伊万里市で作っているのだから伊万里焼でいいじゃないか、その方がマーケティングも楽なのに…正直不思議でした。(伊万里で作られるやきものは鍋島焼以外にはありません。)
しかし窯元と出会い色々な話や思いを聞いていく中で、鍋島焼は今も昔も鍋島焼であること。ここは鍋島焼の産地であることに気づき、伊万里焼に呼び名を変えれば…なんて考えたド素人の自分が恥ずかしくなりました。

産地が抱える様々な課題を知って欲しい

伊万里という地にありながら、鍋島焼がなぜ有田焼や波佐見焼ほど知名度がないのか?書き出すと長くなりそうなので、それはまた別の記事で説明しますが、そこには歴史的な背景が大きく影響しています。

日本には沢山の素晴らしい伝統工芸があります。多くの人がそれを知っています。それらの産地が危機的状況であることも、なんとなく想像がついていると思います。
このような状況でも、長年受け継いだ伝統と技術を繋いで行くために、職人の方達が新しいことに挑戦し未来に向かって進んでいること、私が実際に副業で行っていることなどを今後このnoteにまとめていきたいと思います。

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