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【Day33(22/2/5】心理的安全性について①(組織崩壊の実体験から考える)

会社の中でも、友人関係でも「気を遣わなくていいから率直な意見が欲しい」という言葉をかけられることがよくあります。確かに私は相手の反応をとても気にするタイプですし、調和型の人間なので様子を見ながら徐々に意見を開示していくタイプだとは思います。

しかし一方で、「率直な意見を述べる」という行為について、個々人の気の持ちようや姿勢という個人的な気質に原因を押し付けていいのだろうかと以前から気になっていました。

気兼ねなく意見が言えるというのはどうすれば実現できるものなのだろうか。そのことを考えていて出会ったのが心理的安全性という言葉になります。

この言葉を一つの軸とすることで「お互いを受け入れつつ率直な意見を継続的に言い合える組織」について複数の記事に分けて考察を深めていきます。

●心理的安全性とは

この分野の研究の第一人者であるハーバードビジネススクール教授であるエイミー・C・エドモンドソン氏は著書の中で心理的安全性について以下のように言及しています。

「みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化」『恐れのない組織』(P 14)
「職場の仲間が互いに、信頼・尊敬し合い、率直に話ができると(義務からだとしても)思える場合に存在する」『恐れのない組織』(P 30)

こうした風土や文化がある組織を「フィアレスな組織(恐れのない組織)」を表現しています。「フィアレスな組織(恐れのない組織)」のことを著者は、同じく著書の中で、

「従業員が不安を覚えることなくアイデアを提供し、情報を共有し、ミスを報告する風土がある組織」『恐れのない組織』(P 15)

であると定義しています。

●組織崩壊のトラウマ

おそらく誰もが上記に挙げたような組織を理想としているでしょうし、その必要性は理解しやすいと思います。しかし現実には多くの組織が上記のような状態ではなく、むしろ逆の状態に陥っているというのが現実ではないでしょうか。

ミスが報告されなかったことで大きな事故につながり企業や社会に大きな損失を生み出してしまったり、時には人の命を奪ってしまうこともあります。もっと良い改善ができたかもしれないのに、意見を言いづらかったことでチームや組織が崩壊してしまったり、サービスが低迷してしまったりという経験をされたことがある人もいるでしょう。

私も数年前に同じような経験をしたことがあります。上司の考えや行動がどう考えても間違っていて、組織にとって不利益になると確信をしていたにもかからず、はっきりと発言することも行動することもできず、流されるがままに動いてしまったことで、多くの仲間が精神を病み、そして会社を去っていきました。そして私自身も肉体的にも精神的にも疲弊し、これらのことも理由の一つとなって組織を去りました。

生涯忘れることのない大きな出来事です。私はどうすればよかったのか。もちろんもっと勇気を持って、覚悟を決めて行動し、上司に楯突くことが必要だったのだと思います。しかし、詳細は控えますが、あのような抑圧的で監獄的な環境ではやはり私はあのように行動するしかなかったとも数年経った今でも思います。

この経験を通じて、マネジメント側の振る舞い次第で、組織の風土はいくらでも変わるということを理解するとともに、個々人のふるまいに全ての原因を帰結させることには無理があるということを学びました。私が次にマネジメントに関わる機会があったら、その時は決してそのような組織にはしないと強く心に誓っています。

こういった自分自身の実体験があるからこそ、この心理的安全性という言葉にはとても興味を持っていますし、その大切さにはとても共感しています。次の記事ではもう少し詳細に掘り下げていきます。

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