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【Day20(22/1/23)】読書シェア『他者と働く』

本日は読んだ本のシェア記事です。本日ご紹介いたしますのは、宇田川元一氏が書かれた『他者と働く』という本になります。

本書は2019年10月に発売された本になります。Amazonのレビューは600件を超えており、【HRアワード2020 書籍部門 最優秀賞】を受賞しております。本書は非常に平易な文章で書かれており、専門用語もほとんどないためスラスラ読み進めることができます。

本書のキーワードは対話ナラティヴという言葉になります。まず対話については、「相手の中に自分を見出し、相手の中に自分を見出す」営みであると本書においては説明されています。次にナラティヴについてですがこちらは各々が持つ「解釈の枠組み」という意味で使われています。

対話=「相手の中に自分を見出し、相手の中に自分を見出す」
ナラティヴ=「解釈の枠組み」

名称未設定のノート (1)-1

少し具体的な話を交えていきます。日々生きていると理解してもらえないことや思う通りにいかないことと直面することがあります。

「なんでこの上司は自分にこんな酷い仕打ちをするのだろうか」

とか

「この同僚はなんで私の頼みを嫌がるのだろう。さっさと受け入れてくれればいいのに」

など、とにかく色々なコンフリクトが生じます。怒りにつながることもあれば、諦めにつながることもあると思うのですが、著者はこのどちらの対処法も望ましくないと説明します。

ではなぜ望ましくないのか。それはこれらのいずれの方向性も、結局自分の解釈の枠組み、つまり己のナラティヴからしか物事を見ていないことによって生じている事象になるからです。つまり、自分と相手の間にある溝に気づいておらず、仮に気づいていても相手の側に行ってみようとも、その溝を埋めるための橋をかけようともしていないため、対象法としては望ましくないということになります。

「この人はなぜこのような反応をしたのだろうか」

と一度冷静になって考えてみたり、

「自分だったらどのように反応するだろうか」

と捉えてみたり、

「そもそもなんで自分はイライラしてしまったんだろうか」

と自省してみたり、ナラティヴという切り口を念頭に置くことによって一歩奥深い対応ができるようになります。

名称未設定のノート (1)-2

さて、ここで大抵の方はこの本が伝えようとしていることがとてもシンプルなことだし、当たり前のことではないか、と感じるのではないでしょうか。

そうです、本書が伝えようとしているのは、「思いやりを持つ」「相手の話を聞く」「相手の立場に立って考えてみる」といった私たちが小さい頃からずっと聞かされてきた生きていく上での黄金律そのものになります。

そんな当たり前のこと自分はできていると思われる方もいるのではないでしょうか。私はそのように思ってしまいました。しかし、一度素直な気持ちになって、この著者の言葉に耳を傾けたいと思います。なぜか。それは、意識的に技法として身につける必要性が高まっているから、自然にできているとしてもそれでは不十分であるはずだ、と考えているからです。

現代社会は大きな物語が崩壊し、個々人が自らの物語を紡ぐ時代になったと言われています。それは多様性あふれる社会なのかもしれないし、見方によっては分断が進んだ社会なのかもしれません。今私たちが生きる社会では、共通の価値観や、共通の経験というものが徐々に少なくなってきており、同じ世代内でも共通言語を持てなくなってきています。

つまり、以前は集団でざっくりと物事を捉えることができていましたが、現代で同じことをやると大概何かしらのコンフリクトが起こります。それは同質性が薄まりつつあり、個別具体性が高まりつつあるからです。

名称未設定のノート (1)-3

従って、溝(ギャップ)がある前提で、それに自覚的になって、意識的にナラティヴを認識したり、対話を行なっていくことが重要になります。技術・技能として習得する必要があるとも私は思います。

多様性ある社会、多様性あふれる組織とお題目のようにあちこちで唱えられていますが、そのためには本書が述べているような技法によって、対話を行い、お互いをわかり合っていくことが基礎行動として必要になってきます。多様性という言葉先行になってしまっている気がするので、意識的に技術や技法を学んでいき、多様性が真に尊重される状態を目指したいものです。

本日は以上になります。読んでくださりありがとうございました。

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