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納豆自販機の「ベイクドなっとうドーナツ」

学校にお財布を持って行かなかった小学生の頃。

下校中に喉が渇きすぎて、道中にある自動販売機を見ては、お金を入れてもいないのに、
「何かの不具合でジュースがでてこないか」と、
自販機の全てのボタンを押しまくっていた。

友達と帰る時もしたし、1人で帰る時もした。

結局、自分で自販機にお金を入れずにジュースがでてきたことは一度もなかった。(当たり前)

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田舎で育った私にとって、自販機で売ってあるものといえば、ジュースかアイス。

高校生で初めて飛行機に乗った時、空港の女子トイレにナプキンの自販機があったことにえらく感激した。


だが、上京して、それを上回る驚きの自販機を発見した。


それは、"納豆自動販売機"である。

小銭を入れて番号を押すと、機械が納豆を押し出す。しゃがんで扉を開けると納豆が!!
なんと楽しい夢の納豆ボックス!!

江戸時代に「なっと〜、なっと〜」といって歩き回っていた納豆売りも腰抜かすぜ


さらに、このお店が販売するのは納豆だけではない。おやつも販売している。

その名も


「ベイクドなっとうドーナツ」


このような一風変わったものに遭遇したとき、「絶対おいしくないだろ」とか「変わったものを作るやつがいるもんだ」とか言う輩もいるだろうが、
わたしは激しく興奮する質である。

「うぉ〜〜なんだなんだ納豆をドーナツに??どんな味がするんだ?!」
と私の中の味の冒険心がくすぐられるのだ。

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自販機でなっとうドーナツをゲット。
家に着き、手洗いうがいをして、すぐさま一口。



「、、、なっとう?」



おそらく納豆が嫌いな人でも食べられるようにと研究を重ね、血と汗と涙の結晶として生まれたなっとうドーナツ。

だが、納豆好きの私からすれば、納豆特有の風味をもっと感じたかった。

噛んでいくと少しずつ粘っこくなった気もしたが、私にはドーナツに隠れた納豆くんが、
ライブ会場3階席の最後列から見るアイドルでしかなかった。

しかし、その悲しさでライブ会場を後にしようとした瞬間、気がついた。


「そういえば、『温め直すとよりおいしく召し上がれます』って書かれたドーナツってあるよな」って。

早速、電子レンジでチン。
ふわふわ〜といい感じに温まったなっとうドーナツを一口。

「、、?!なっとう〜!!」


口角がニョキニョキっと上がって、鼻息まででた。心の中のプチhirokoが激しく踊り出した。
よさこいサークルの大学生かってくらいに。
鳴子なんかもならしちゃって。

そうしたらもう、なっとうドーナツに拍手を送っていて、一旦悲しいと思ってしまった自分を戒めたい気持ちにもなった。


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