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「餃子、クール」な映画


マイリストに入っていてようやく観た

『トイレット』(荻上直子/2010)
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トイレには国の文化が表れていて、

「日本のウォシュレットは偉大なテクノロジー」

最後も日本の洋式トイレが物語の核となるが、
私としては、「トイレット」という印象よりも、

「餃子、クール」

な映画だった。
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↓あらすじと予告動画

あらすじ・解説

 プラモデルオタクのレイ(アレックス・ハウス)、引きこもりピアニストの兄モーリー(デヴィッド・レンドル)、エアギターで自己実現のアイデンティティーを保っている大学生の妹リサ(タチアナ・マズラニー)の三兄弟は、人生は退屈の繰り返しに耐えることだと信じて疑わなかった。しかし、生前母親が日本から呼んだばーちゃん(もたいまさこ)との日々を過ごす中で、三兄弟の心に少しずつ変化が起こり始める。
「Yahoo!映画レビュー」より

(ここからは一個人としての意見です😌)
(分かりづらいかもしれないですが、伝わると嬉しいです🥟)
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【「餃子、クール」がキーポイント】

引きこもりだったピアニストのモーリーは、勇気を出してもう一度ピアノのコンテストに出場する。


以前からスカートに興味を持ち、スカートを着て過ごすようになったモーリーは、上はタキシード、下はスカートを着てステージに立つ。


しかし、そんなモーリーの姿を見る客の視線に、ステージ上でパニック状態になるモーリー。

すると、英語が話せないために今まで一言も発さなかったばーちゃんは突然立ち上がり、

「モーリー、クール」と叫ぶ。


ばーちゃんがやっと「クール」と言葉を発して、モーリーの背中を押した、ということはもちろん、

ここでは、その「クール」という言葉が重要だと思う。


それは、レイがばーちゃんの餃子を初めて食べたときにレイが発した言葉だから。
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ある日、突然姿を消したばーちゃん。

レイは必死でばーちゃんを探すも、結局ばーちゃんは家でモーリーやリサと餃子を作りながら、レイの帰りを待っていた。


呆れるレイは部屋にこもり、みんなが夕食を終えた後、リビングで1人晩酌を始める。

すると、いまいち素性が分からないばーちゃんが、レイのために取っておいた餃子を持ってくる。

餃子を食べたレイ。彼はその美味しさに触れ、

「餃子はとてもクールだ」

とばーちゃんの餃子に感動する。


英語が話せないばーちゃん。
表情は一切変わらない。
しかし彼女はきっと、「クール」という言葉をここで覚えたのだろう。
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その後、「スカートが着たい」と泣き顔で話すモーリーを前にして、
レイが「餃子を食べたい」と言ったことから、
ばーちゃんと兄弟たちは、一緒に餃子を作り始め、彼らは庭で餃子パーティーをする。

パーティー中に飛び交うのは、


「いろんな形」
「私のよ」
「ばーちゃんのみたい」
「ばーちゃんのだ」


という言葉。


誰が包んだ餃子なのかを当てながら、みんなで作った餃子をシェアしている。

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きっと、餃子の「クールさ」はここにあると思う。

包み方に一人一人の個性が出る餃子。

形はそれぞれでも、そこに人柄や個性が表れる。
包まれているのは「美味しさ」だけではない。


そして、餃子の「クールさ」は、モーリーに発せられた「クール」にも通じていて、

ばーちゃんは、スカートを着たモーリーに、

「あなたは個性的で素晴らしい存在だよ、自信をもって」

と諭すために、唯一覚えた英語「クール」を発したのではないだろうか。
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「餃子、クール」

そのことがただただ印象に残り、色んな映像作品で、日常の食にある「幸せ」を描き出す荻上監督と、餃子への愛がさらに増した。
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そして、荻上監督作品と言えば、やはり本作品のフードスタイリストは飯島奈美さん。

本作でも奈美さんのセンスが光っていた。

フライパンに熱湯を注いだときの湯気、
温かい食卓を演出する木目調のテーブル、
こんがりと焼き色がついた餃子。

餃子はきちんと並べられた皿と少し無造作に乗せられた皿があり、そのお皿もお洒落でシンプル。

脇役であるはずの肉じゃがは大鉢に盛られて多大なる存在感を放っている。

そんなお料理たちをみると、やっぱり荻上監督作品には飯島奈美さんがいなくちゃねと思ってしまう。

(ただ、個人的に、肉じゃがは『かもめ食堂』の方が美味しそうでした!!じゃがいもが一個丸々ゴロッと入った、サチエさんの肉じゃが。本当に食べてみたい🤤)
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ちなみにこちらは、公開延期になっている『川っぺりムコリッタ』

いつ公開されるかな〜。
本当に待ち遠しい、、



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