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『口訳 古事記』感想

『口訳 古事記』 町田康/講談社

これまで何度も何度も何度も挫折してきた古事記。
現代文訳で読もうとして挫折し、古文と対現代文訳で挫折し、ぼおるぺん古事記も途中で止まり。
というわけで、これまでに読んだのはだいたい古事記の前半部分くらいでした。
海幸彦山幸彦とか、大国主命とかその辺ですね。

どういう形でもいいから一度最後まで読んでみたい、と今回選んだのが町田康さんの『口約 古事記』。
町田康さんの過去作は『ギケイキ』を読んだことがあるのと『パンク侍、斬られて候』を映画で見たことがあるくらいですが、きっと彼の語り口ならば古事記も行けるんじゃないだろうか、と思ったのです。
しかも今回はAudibleを使いました。なぜなら、これまで古事記を読み通せなかった一番の理由は神様の名前がなかなかつかめないから。
漢字めっちゃ多いじゃないですか。私は漢字も好きですけども、古事記の書かれた時代の漢字は今の感覚ではなじみが薄く、なかなかするっと入ってこないんですよね。
それがAudibleなら何とかなるんじゃないかと思ったんです。
結果、これが正解。あれだけ苦労した神様の名前がするする入って来る。町田康言語とAudibleの組合せ、めっちゃ良い。

そして今回、一番びっくりしたのが気長足姫尊(おきながたらしひめのみこと)が神功皇后だったことです。
神功皇后は地元にゆかりの神社や伝説がいろいろあるので知っていました。
気長足姫尊も古事記に出てくる伝説の神という位置づけで知っていました。
が、そこがイコールだったのは知らなかった。
古事記には気長足姫尊という名前で出て来るけど、神功皇后とは出て来ないのかな。
少なくとも『口約 古事記』では出て来なかったので最初はだと気づいていなかったのですが、気長足姫尊の逸話として出てくる内容が神功皇后の逸話として知っていることばかりで、それで調べてわかったんでした。

もちろん、知っていらっしゃる方はいまさら何言ってんの?という内容でしょうが、私にとっては一大発見でした。

古典ってこういうのがあるから面白い。

『口約 古事記』、本当に良かった。町田康節全開なので、受け付けない方は受け付けないだろうし、不敬と思われる方もいらっしゃるでしょうが、内容がするっと入ってくるのは本当に良かった。
これでだいたい内容が頭に入ったので、今度こそできれば対現代語訳くらいでちゃんと読んでみたいと思います。

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