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『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』感想

『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』昼田祥子/講談社 2024/3/26読了

先日美容院で読んだファッション誌にこの本のことが載っていました。作者の方曰く、服を買うように伝えるファッション誌でこんな本の話をするのはどうかと思ったんですが……とのこと。

作者の昼田祥子さんはファッション・エディター。若い頃からファッションが好きで好きでどうしてもファッション関係の仕事がしたくて、学生の頃にファッション誌の編集部でバイトを始めたのがきっかけでファッション・エディターとなった方。
それだけ服が好きなのだから、気になった服は背伸びしてでも手に入れた結果、クローゼットに収まりきらない1000着もの服を持っていました。
その彼女がふとしたきっかけから服を処分することになり、1000枚超⇒50枚へ減らしたところ仕事も私生活も様々なことが大きく動いた、というお話。

こんまりさんの本や断捨離の本などにある、捨てたら新しい何かが入って来る、と力強く書いている部分は、片づけの本はそういうのを書かなきゃいけないんだろうか、とも思ってしまった。
もちろん、ご本人がそう強く感じたのだから主張して全然問題ないんだけど、だから絶対!片づけましょう皆さん!と強めのメッセージになるのは片づけ本の宿命なんでしょうかね。
とはいえ、私自身片づけが下手でそういう話を聞くとテンションが上がって片づけをしたくなるので、そういう書き方もテクニックのひとつなのかも。

ただ、先ほど「片づけ本」と書きましたが、実際は片づけのしかたについて語っている本ではありません。片づけをするにあたっての心構えというか、処分してもいいんだよ手放してもいいんだよ、という考え方の転換や動機づけの部分に軸足を置いているお話です。

そしてこの本のもう一つの特徴は、一般の片づけ本と違って、タイトルどおり服を処分する、そしてワードローブを整える、というところに最初から最後までこだわっている点なんじゃないかと思います。
片づけ全般に話を広げることなく、あくまでクローゼットの中身の整理に特化したお話なんです。

けれど読んでいて思ったことは、この考え方は服についてだけでなく本や仕事の道具やいろんな物事のとらえ方など、他にもこの考え方を広げていけるなということ。クローゼットの中のことだけでなく、何をするか、何を選ぶか、そういうところにまで広げていける。
すこし飛躍するけど、つまりこの本には自己啓発本の要素もあるのかな。

私自身はというと、この本を読み始めてから引っ越しがしたくなりました。
新しいなにかに飛び込んでいけるような気持ちが芽生えた、というとちょっと綺麗にまとめすぎかもしれないけれど、この本を読んでからの私は膝を屈めて次の一歩へ踏み出すための準備をしているような感じ。
いますぐに飛び出すというわけではないけれど、これまでとは少し違う何かがじわじわと自分の中に染み込んでいるような心地がするのです。

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