見出し画像

『こうやって、考える。』感想

『こうやって、考える。』外山滋比古 PHP文庫

『こうやって、考える。』外山滋比古/PHP文庫(画像は版元ドットコム様より)

『思考の整理学』の著者の外山滋比古さんですが、これは厳密には彼が書いた本というわけではありません。
前書きによると、「発想力や思考力を磨くヒントになるような箴言集を、これまでの著作から抜粋して作らせてほしい」とPHP研究所の出版部から申し出があったとか。
そういうわけで、これまでに外山さんが書かれたエッセイから、長くても十行に行くかどうか、という文章を抜き出して集めて作られたのがこの本です。それくらいの短いものなので、一ページに一つという構成で短くてとても読みやすい。
内容は「発想力を鍛えるヒント」「思考のプロセス」「思考力を高める方法」「知性を磨く生活」「思考につながる読書」「発想が豊かになる“おしゃべり”」「未来を創るヒント」と章ごとにテーマを決め、そのテーマに沿った内容をこれまでの著作から持ってきているもの。

ただ、私は外山先生のように思索を旨とする業ではないので、これがそのまま役に立つかどうかと言えばわからないとしか言えません。仕事の勉強はしないといけないけれど、勉強と思索は違うから。
研究職の方だったら役に立つんじゃないかと思う。創作活動をされている方にも役に立つかも。頭のなかで思いついた話をこねくり回したり、一時期寝かせていたり、そういう部分は共通なんだと思う。

だからといって、そんなふうに考えることを業としていない人にとっては役に立たないかと言えばそんなことはないと思います。しょっちゅう当たり前のように「考えること」を意識しているかどうか、という違いはあれど、全く考えないなんてことはありえないわけで。
たとえば仕事自体は思索とはかけ離れていたとしても、いかに効率よく仕事をするかだとか、この仕事にはどんな意味があるかだとか、この仕事は会社全体から見てどんな位置づけかとか、考えることはいくらでもあるしその考えがその後の自分や仕事を変えることだってあるかもしれない。
会社にとっての仕事なんてものじゃなくても、もっと単純に、いかに自分が心地よく仕事をするかということだっていい。
友達とのことや恋人とのことや家族とのことだって、全くなんにも考えないことはないし、いつもと違う何かが起きたときには否応なく考えるでしょう。

この本にはそういうときのヒントが散りばめられているんじゃないかなと思うのです。

この本に取り上げられているものの中には、私が読んだことのある本もあり、まだ読んでいない本もあります。これをきっかけで読みたくなった著作もあったので、今度はそういう本を取り寄せてみようかと思います。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?