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『准教授・高槻彰良の推察EX』感想

『准教授・高槻彰良の推察EX』沢村御影 角川文庫

『准教授・高槻彰良の推察EX』沢村御影/角川文庫(表紙画像は版元ドットコム様より)

6巻と7巻の間に出た短編集。6巻までが第一部、7巻からが第二部という理解でいいんでしょうか。
このEXは時間軸としては6巻の後のよう。短編ごとに視点……というか主人公が変わっていて、最後の短編では、6巻までには出てきていないけれど今後大きく関わってきそうなキャラも出てきました。
6巻で本編の語り手である深町尚哉の出来事にあらかた片がついたので、7巻以降は高槻先生の出来事に焦点が当たるんでしょうか。

第一章「お人形あそびしましょ」は、もしかしたら初めて?持ち込まれたお話が本当に本物だったかもしれないお話。ちょっとぞわりとしました。子供の頃怖かったネタでもあるので。これまでにも高槻先生と深町君以外のお話で本物かもしれないお話はなかったわけではないけれど、あまりにもキャラが立っているせいかなんなのか、怖いと思ったことはないんですよね。どちらかというか怖い話というよりも、妖怪の話みたいで。
だけどこれは妖怪というよりも怪談の方に位置づけられる感じ。私は妖怪の系統のお話は大好きですが、怪談は普通に怖くて避けているのでぞわっとしたのです。

第二章「わんこくんのわんこの話」。なんかもうかわいくて切なくて。うちの実家の犬を思い出しました。実家の犬ももう虹の橋を渡ってしまいましたが、たまーにしか帰らない、しかも一緒に暮らしたこともない私のこともちゃんと覚えてくれてたんだよな、なんて読みながらしんみりしました。
オチがああなるとは思ってなかったけども。

第三章「俺の友達の地味メガネくん」。難波いいヤツだなぁ! 私は難波のようにいろんな人に話しかけて友達になるなんてことはできない質ですが、難波のように相手のいいところを見つける能力はその気になれば誰でも発揮できるものだと思うので、見習いたいです。コイバナの続きも気になるな。深町くんもちょっとずつ同年代の友人が増えていくといい。

第四章「休日は本棚を買いに」。実はこのシリーズで一番好きなのは佐々倉。面倒見のいい強面の幼なじみとか好みにぶっささってて困ります。自分のできることできないことを明確に見極めて、できることを磨く、できないところはきちんと線引きをする、というところもとても好きだ。佐々倉の目から見た高槻先生や深町くんはあまり描かれないので、こういうお話もまた読みたいな。

気づけば7巻ももう出てるんですよね。楽しみ! このままネタバレは踏まずに読みたいですね。

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