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雑文・雑感

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雑文【ざつ-ぶん】〔名〕気楽に書き流した文章。 日記、時事ネタ、雑感、エッセイ……要するに、とりとめのない雑文です。
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#エッセイ

法被と神輿

昨日から肩が痛い。五十肩ではなく、鎖骨の外側の端辺りが少し赤くなっていて、シャツが触れるとチリチリと痛む。そして誰に対するでもなく、こっそりと誇らしげでもあるのだが(笑)、そんな密やかな高揚も痛みとともに少しずつ落ち着いてきた。 実は一昨日の日曜日、神輿を担がせていただく機会があったのだ。結婚してこの街に引っ越してきて以来色々とお世話になり、娘が生まれてからはこの街のじぃじとして可愛がってくださる方が「良かったら担ぎに来いよ」と声をかけてくれたのだ。 実に40年振りのこの

ポッドキャスト、始めました。――再開の挨拶に代えて

嫌がらせのように日本列島を舐めている台風10号、各地で大雨や土砂災害の警戒情報が発表されているようですが、皆さんのお住まいの地域はいかがでしょうか。くれぐれも怪我などされませんようお過ごしください。 傍らに置いた筆を再び執るさて、ここでコンスタントに文章を書かなくなってから気がつけば半年以上もの時間が流れてしまった。 雑文を書き流すことをそれなりに楽しんでいたにもかかわらず、なぜ書かなくなったのか。理由は大きくふたつある。ひとつは仕事の環境が少し変わった兼ね合いで書くため

49

昨日、誕生日を迎えて49歳になった。 3月11日といえばご存知の通り東日本大震災があった日で、例年、あの当日の友人の言葉を引き合いに出してこの文章を書き始めていた。でも今年は40代最後の年ということで、少し毛色を変えてみようと思う。 自分自身の「老い」について触れている文章だけど、決して悲観的な内容ではなく、むしろ前向きなものであることを最初にエクスキューズしておきたい。 歯を抜いた話先日、右上の一番奥の歯を抜いた。この歯は以前からちょっとした問題を抱えていて、かかりつ

ロン毛の良し悪し。

今年の春先に、特に深い理由もなく「しばらく髪を伸ばそうかな」と思い立った。 夏前に長めのボブを越えて後ろで束ねられるようになり、7月のアタマには妻に頼んでバリカンでツーブロックにしてもらった。最初は「責任が持てない」と固辞されていたのだが、失敗したら美容室に行くだけだよと頼み込んだのだ。今では慣れたもので、2週間に一度くらいのペースでバリカンを操って手入れしてくれている。 これまでも髪を伸ばしたことは何度かあるけど、後ろで束ねられるほどの長さを4ヶ月以上もキープしたのは初

楽しいウタマロ石鹸

先日、想定外のどろんこ汚れが発生したもので、土曜の朝5時から娘のTシャツを手洗いしていた。といっても悲壮感漂うエピソードではなく、むしろいそいそと早起きしてちょっとした趣味にいそしむような風情である。 洗濯はお父さんのタスク我が家では、毎朝の洗濯を主に僕が担当している。特に手を挙げたわけでも「今日から洗濯はあなたね」と決めたわけでもなく、娘が生まれた頃から成り行きで自然と役割が分担されたような感じだ。 逆に言えばそれまでは任せっぱなしだったということでもある。出産で里帰り

苦悩の2週間を越えて

もうすぐ9月が終わるというタイミングでちょっとしたトラブルがあり、会社のキャッシュフローが崖っぷちを踏み外すような事態が発生した。そのおかげで資金繰りや各方面への調整に奔走し、ただでさえタスクが増えがちな月末から月初にかけて、本来の仕事とは別に文字通りバタバタと走り回るような事態になってしまった。 お金というのは不思議なもので、普段そこに固執しているつもりはないけれど、なければ現代社会での生活は成り立たない。英語には「Lack of money is the root of

クルマ雑感 #02 大きめのクルマ編

#01 ちょっと古いクルマ編に続き、今回は大きめのクルマ編。と言っても、やはりちょっと古いクルマが並びます。 やっぱり、少し古いクルマが好きそもそも小ぶりなクルマが好きなもので、大きいサイズのクルマにはあまり興味がないところもあるんだけど、そんな中でも思い入れがあったりデザインが好みだったりするクルマをいくつかピックアップしてみた。 #01のラインナップと比べると購入の現実味が少し低いというか、「買う買わないはとりあえず置いておいて、大きめサイズの中で好きなクルマたち」と

クルマ雑感 #01 ちょっと古いクルマ編

クルマが好きだ。大好きだ。とはいえ都心付近に暮らしていると毎日必要なわけでもないし、なくても不便なく暮らせてしまう。必要なときにはカーシェアリングやレンタカーも利用できる。 そうなると購入する優先順位は自然と下がり、結婚してからは一台も所有していない。娘が生まれたタイミングで購入を検討したこともあったのだが、色々と物要りだったり、実際にはそこまで必要でもなかったので結局買わないまま数年が過ぎた。 この雑文は、買いたいクルマについての現実的な考えごとに加えて非常に個人的なク

汗と熱と冷え、そしてデトックス。

汗をかくのが嫌いだ。スポーツやサウナで流す汗を別にすれば、日常生活において汗なんてかかなくていいのにと思っている。そんな汗にまつわる、ごく個人的なエトセトラ。 多湿な夏、肌にまとわりつく汗日本(東京)の夏がこんなに不快な季節になったのはいつ頃からだろうか。足元のアスファルトから照り返してくる灼熱もさることながら、湿度の高い環境が不快でしょうがない。 さて、多湿な環境に身を置いていると、そんなに気温が高くなくても、特に何もしていなくても、全身の肌にまとわりつくようにじっとり

炒飯にまつわる奇妙な話

朝から仕事をしながら、なんとなく餃子と炒飯が食べたいなぁと思っていたもので、昼時になって空腹を感じると近所の中華に足を向けた。いわゆる町中華ではなく、それなりに規模感のあるチェーン店だ。 あれ、炒飯がないさて、メニューを見てみると、餃子と炒飯という組み合わせがない。そもそも炒飯が単品でオーダーできない。どれもラーメンありきの構成なのだ。できればラーメンではなく、シンプルに餃子と炒飯が食べたい。 店員のおばちゃんに聞いてみると、ラーメンのサイドオーダーとして用意されている「

アイラ流の生牡蠣を味わってみたい

旅のエッセイがわりと好きで、気が向くと本棚から取り出してぱらぱらとページを繰ってみる。先日たまたま引っ張り出したのは村上春樹の「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」だ。 スコットランド〜アイルランドと、いわゆるシングル・モルト聖地巡礼記とも言えるエッセイだが、この中にアイラ島で生牡蠣を食べるシーンがある。ここに書かれている、ボウモア蒸留所のマネージャーが教えてくれたというアイラ島ならではの食べ方が垂涎ものなので、引用して紹介する。 なんともそそる文章である。今すぐ生