病院でビールをつくるまでに追い込まれた理由
先日病院近くの幼稚園児に来てもらい、得意の言葉遊びで園児たちの心を鷲掴みにした後、ひまわりの種を植えてもらった。きっと2ヶ月後、太陽の光をたっぷり浴びた大きな花綸が皆の心を癒やすだろう。
しかし、本当の狙いはそこではない。ひまわりの花弁からビールをつくる、その材料を確保するためだ!無邪気で純粋な園児たちの気持ちを踏みにじり、ビールの材料をつくる労働力として園児たちを利用したわけだ。だけど僕の心は、その程度の悪行では汗ひとつかくことすらない。
さらに言えば、秋に入院患者さんに収穫するさつまいもを埋めるスペースを(園児たちが勝手に色んな所にひまわりの種を植えるから予想よりはるかに)奪ってまでビールの材料を生産することとなる。
そう、病院はそこまでしてビールをつくらざるを得ないほど追い込まれているのだ。
2020年に内閣府がインターネットで行った調査で、生活の楽しさ・面白さの満足度、社会とのつながりの満足度が急激に低下していることが示された。
あれからさらに2年が経過し、われわれは、つながりが減少し面白さのない日常に慣れてきてしまってすらいる危機的状況だ。
笑えないのが、このつながりがなくなることは、喫煙や運動不足なんかよりも寿命に関わってくる可能性があることだ。
人々の暮らしを支える要因として、社会的なつながりなどの環境因子の方がずっと大きな影響を持っているとも言われている。実際われわれ医療従事者が、どれだけ良い医療を提供したとしても、環境が整わないと元も子もないというのだ・・。
そんな待ったなしの危機的状況を救うべく、カケガワトークメンバーが下したのは、ビールづくりで街を救うこと!
どうしてビールなのかは、大人の事情もあるが、兎にも角にも掛川の未来はこのビールづくりに託されたのだ。
単にビールをつくるだけでなく、その工程で地域の方々を巻き込みながらストーリーを築き上げていく。今回は地域でひまわりを育て、ビールの原料にしていく。ビールの名前やラベルなども募集し、話がはずむビールをつくるのがわれわれのミッションだ。意味があるかは分からない。でも面白がって欲しい。
ひまわりビールのお知らせを受け静岡大学の学生や市役所の方々、早速種を買って植えたよという友人、母親が好きだったひまわりをもう一回咲かせてあげたいと思っていたから!連絡をくれた患者さんの家族。じわじわ輪が広がり、繋がりができ始めている。あなたのお庭で育てているひまわりをものすごい眼差しで見つめる不審者がいたとすれば、それはきっと私である。
昔は少しのアルコールは健康に良いとされていた。しかし今日、アルコール摂取は少しでもあっても寿命を縮める可能性があると言われている。
そんな中、病院がビールを作ってみんなに飲んでもらおう!というのはなんと不謹慎なことか。
それでもビールをつくる。その響きだけで多くの人がつながり始めている。ビールだけでなくノンアル飲料も作っちゃえばいろんな方を巻き込んでいける。病院もなりふりかまわず、つながりをつくり生活を支えていく。
是非みなさんも、ビールづくりの輪に加わってくださいね!
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