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ツクルバ社外取締役・鈴木秀和さんに聞く、高い当事者意識で社内外の共創を実現する強い組織

2019年10月の定時株主総会で、ツクルバはLayerX CEOの福島良典さん、アトラエ取締役CFOの鈴木秀和さんのおふたりを社外取締役として迎え入れることが決まりました。

この就任を機に、両者にインタビューを実施。ツクルバとの出会いから、今後の抱負までを伺います。本記事では、ツクルバが上場を見据え始めた頃から、同じ船に乗る意識で伴走し続けてきてくれた鈴木さんにお話を伺います。

プロフィール
鈴木秀和
2005年、大和証券SMBC株式会社(現 大和証券株式会社)入社。入社以来一貫して、投資銀行部門で数多くの企業のIPOを含む資金調達のアドバイザリー業務に従事。直近では、日本初ユニコーンであるメルカリのグローバルIPOやラクスルIPOを主幹事証券のディールヘッドとして実現。2018年12月より株式会社アトラエ取締役CFO。2019年10月ツクルバ社外取締役就任。

あるべき姿に向かうため「叱ってくれる人をそばに置く」

村上:鈴木さんとはじめてお会いしたのは、まだcawcamo(カウカモ)のリリースから1年経たないくらいでしたね。

鈴木:懐かしいですね。2016年だったとおもいます。ユーザーが自然と増え、数字も好調に伸び始めていた頃でした。

村上:今思うとだいぶ早いんですが、上場を見据えた動きを少しずつするようになった頃です。その時にメルカリ小泉さん(メルカリ取締役会長の小泉文明氏)やラクスル松本さん(ラクスル代表取締役社長CEO松本恭攝氏)から「大和証券に鈴木さんという非常に優秀な方がいる」と伺い、食事にお誘いしたんです。鈴木さんは当時、ツクルバをどう見ていらっしゃったんですか?

鈴木:事業や会社という部分では「情報格差のある巨大な不動産マーケットに、おもしろいアプローチをしている」というのが最初の印象ですね。

あとは、村上さんの考え方に深い感銘を受けた覚えがあります。2015年の時点で高野さん(ツクルバ社外取締役の高野慎一)を社外取締役に招聘され、「自分たちを叱ってくれる人をそばに置きたい」とおっしゃっていた。まだ15名程度の規模にもかかわらず、こうした考えを持っている経営者はなかなかいませんから。

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村上福島さんとも近い話をしたのですが、首を縦に振るだけの人が周りにいるのは会社的にはむしろリスクです。このスタンスは今回の社外取締役含め、僕にとっては基本的なスタンスのひとつになっていますね。

社内外の連合チームがSame Boatの意識で上場を目指す

鈴木:実際にご一緒するようになったのは、その数年後。主幹事証券の選定のときからでしたね。

村上:懐かしいですね。鈴木さんとのご縁こそあったものの、ベストな選択をしたいと思い、主幹事証券はあえてコンペ形式で選定をさせていただきました。

鈴木:あのプレゼンはとても印象的でした。もちろん、全力で提案したというのもあるのですが、話を聞かれるツクルバの皆さんの熱気もすごい。加えて、社外取締役を含めた役員、プロジェクトメンバー含めた全員がその場にいらっしゃった。あの人数で話を聞いていただけることって、めったにないんですよ。

村上:そうなんですか?

鈴木:あれほど多くの社員が参加することは稀だと思います。加えて、その後の質疑応答も、役職に関わらずみなさんが質問をされていました。「コーポレートガバナンスの構築」「エクイティストーリーやバリュエーション」「他証券と比較した際のアドバイザリーの付加価値」」など。細かい部分まで全員が質問するなんて、私の記憶にはツクルバ以外で出会ったことがありません。

村上:上場に限らず、あらゆることに「当事者意識を持ってほしい」という話を、日頃からしていたからだと思います。加えて、今回の上場は、ツクルバや証券会社をはじめとするステークホルダー全員が、「少しでも多くの素晴らしい企業を生み出し、その企業の事業を通じ社会をよくする」という目的を達成する“仲間”だと考えていました。いわば、同じ船に乗り、同じ目的地を目指す「Same Boat」です。

その前提で選んで欲しいと伝えていたので、質問も深くなったんじゃないかなと。

鈴木:「Same Boat」は主幹事選定の時も度々挙げられていた言葉でしたね。当時の私も、いかにSame Boatの意識で向き合えるかを考え抜き、ご提案させていただきました。

村上:たしかに。鈴木さんをはじめ、大和証券の皆様は圧倒的にSame Boatの意識を持ったご提案でしたね。特に感じたのは、IPOのスケジュールを変更すべきとご提案くださったことです。

当初僕たちが考えていたスケジュールに対して、「事業計画や予想される市況を考えると、先延ばしにした方がいい」とお話しいただきました。後から聞いたら、主幹事選定のタイミングでスケジュールへの指摘は、証券会社としてはかなり珍しいんですよね?

鈴木:競合の他証券も提案している主幹事選定のタイミングで、経営者が希望する上場スケジュールに異論を唱え、先延ばしにすることを提案する事は御法度に近いと思います。ですが、私が社内の人間であれば間違いなく指摘する。だからこそ、お伝えさせていただきました。

“上場は始まり”、社会に必要不可欠な企業を共に目指す

村上:僕たちは、そういった姿勢に魅力を感じました。鈴木さんがいれば、上場までいけるだろうと。だからこそ、その手前に退職されると伺った時にはとても驚きました。

鈴木:私自身、上場日までご一緒したいと考えていましたが、人生の選択として、あのタイミングでアトラエへ入社すると決めました。ただ、先述の通りツクルバへの思い入れはかなりありましたから、その中で仲間として何ができるかを考え、それを最後までやりきろうと考えました。

村上:僕に退職の報告をされる時「後任のことも含めて責任は取る」とおっしゃっていただき、とても丁寧にそのバトンを受け渡していただきました。その姿勢があったからこそ、不安なく上場まで走り切れたと思います。

鈴木:後任もとても優秀な人間でしたから。彼のお陰ですよ。むしろ、上場セレモニーに呼んでいただいたのは、本当に嬉しかったです。退職しても仲間と思ってくれていたんだな、と。

村上:もちろんですよ。ご一緒させていただいた経験や、最後までやりきれるよう支えてくれた姿は、間違いなく同じ船に乗る仲間でした。だからこそ、社外取締役の打診も真っ先にさせていただいたんです。

鈴木:上場した直後にもかかわらず「上場はスタートでしかない。僕たちはここから必ず大きく成長して社会にとって必要不可欠な企業となる。そのために、社外取締役として一緒にツクルバの成長を支えて欲しい」と言ってくださった。正直、かなり胸が熱くなりました(笑)。

村上:ありがとうございます。こちら側の勝手な決意表明みたいなものなんですけどね(笑)。最初打診を受けたとき、どう思われましたか?

鈴木:もともとツクルバという会社も好きでしたし、村上さんの情熱には胸を打たれていました。もちろん、アトラエでなすべき事とのバランスは考えなければと思ってはいましたが、「ツクルバの力になりたい」という思いは間違いなくありました。だからこそ、上場後あらためて打診いただいた際には、迷いなくお答えできたんです。

当事者意識がコーポレートとビジネスを対等につなぐ

村上:主幹事の頃と比べるとツクルバ自体も組織フェーズは着実に変化してきました。鈴木さんの目に、いまのツクルバはどのように映っているんでしょうか?

鈴木:基本は当初と印象は変わらないですね。より確信を深めているといったイメージです。一貫して組織全員の当事者意識が強い。あらゆるシーンで、何がツクルバにとってベストなのかを全員が考えられているんです。

その姿勢は、例えばコーポレート部門にもよく現れていると感じています。一般的な企業では、直接的な利益を生み出すビジネスサイドの力が強く、コーポレートはそのサポート役というイメージが強い。しかし、ツクルバにはそうした強弱を一切感じません。

ビジネス側が少し攻めた挑戦やリスクのある判断をしようとしていても、止めるだけが正ではない。その提案が組織にとって重要だと思ったら「もっと踏み込んだ方がいい」と意見をいう。リスクを精査し、会社のために何が必要かを自分事として考えているなと強く感じます。

村上:そうですね。ツクルバでは事業部や役割問わず、対等な議論をする姿勢を強く求めます。それはコーポレートも、ビジネス側も変わりありません。むしろ、ビジネスを俯瞰して見られるといういみではコーポレートの方が強い部分もありますから。

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鈴木:まさに、会社のあらゆる情報が集まるという意味でも、コーポレートは“司令塔”ですから。それぞれの役割に閉じず、「ツクルバをよりよくする」という本質的な議論ができているんでしょうね。

ツクルバの成長戦略を、社会へ伝えていく

村上:先日の株主総会で無事に承認され、社外取締役として正式にツクルバに携わっていただくことが決まりました。これから、どのような挑戦をしたいとお考えですか?

鈴木:二つあります。一つ目は一経営者として、アトラエとツクルバでの経験、双方をうまく掛け合わせて両社の成長に貢献していきたい。アトラエとツクルバでは、事業領域も役員のバックグラウンドも、社員数も違います。アトラエの当たり前がツクルバの当たり前とは限らない。だからこそ、双方の事業成長に活かせる発見があると考えています。

たとえば、ツクルバにはアトラエの倍以上、100名を超える社員がいらっしゃいます。組織課題としてよく上がる「人数の壁」をどう乗り越えたのかは、ぜひ学びたいと思っていました。

村上:逆にいえば、アトラエさんは少人数ながらも東証一部上場企業です。少ない人数でどう利益を出しているのかは僕らも知りたいところです。お互いに、強みが違うからこそ、知見を生かし合えそうですね。

鈴木:二つ目は、上場会社として適切なコミュニケーションを、投資家の皆さんととっていきたいと考えています。

上場時は、エクイティストーリーという形でツクルバが「どんな未来を創りたいのか」を伝えていました。しかし、これからはそのストーリーを実現する戦略を練り、どう体現するか、結果が試されるフェーズに入る。それを通して投資家との信頼関係を築き、適切な価値を反映できるようなコミュニケーションをしていきたいです。

村上:欠かせない視点ですね。もちろん事業を伸ばす部分は皆がコミットすべきですが、それを適切に伝えることも、今後より意識していかなければいけない。今だからこそ何が必要か、そしてこれからのことを考え何をなすべきかを一緒に考えていけると嬉しいです。

鈴木:もちろんです。私自身、大和証券時代からツクルバの中長期の成長を見据え、「言うべきことはいう」姿勢で向き合ってきました。その姿勢は崩さず、今度は上場の先にむけて一緒に走っていきましょう。

Photo:Haruka Takahashi
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