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"データ活用で地域のミライを変える!課題解決の7Step"とサービスデザイン・EBPM

Code for Japanの市川さんが取り組まれている”データアカデミー”の手順を本としてまとめられています。こちらはサンフランシスコでのEBPMの取組のなかで利用されている方法論を日本の自治体職員の方々が取組みやすいように噛み砕き、実際のワークショップの実施を踏まえてまとめたものです。

本書は7つのステップに分けて実際に課題の定義から分析に必要なデータの設定、分析、評価から政策立案に繋げ、その効果に関する評価までの一連の流れをわかりやすく説明しています。最後には静岡県裾野市と静岡県賀茂地区で実際にデータアカデミーに取り組んだケースが乗っており、非常に参考になりました。
手法としては、ロジカルシンキングをベースとしており、課題をブレークダウンし、データ分析を通じてファクトを整理し、仮説を立てて政策立案に繋げる、サービス改善に繋げるという内容になっています。
また、実際に行われたデータアカデミーの教材等は以下のデータアカデミー研究会のサイトで公開されており、他の自治体も参考にできる形になっています。おそらく異なる自治体でも共通の課題があるはずであり、先人の学びが活かせる仕組みがあることは素晴らしいと思います。

文章は自治体の職員の方にデータを中心に政策を考えることに抵抗感を無くしてもらうという視点で書かれており、また①データ分析型と②サービス立案型という2つのカテゴリーに分けてデータの扱いを整理しています。
①はデータからインサイトを拾い出し、そこから政策立案に繋げることが中心になっており、②はサービスを提供する上でどのようなデータに着目し、オペレーションの効率化、市民の満足度を高めるかが中心となっています。
①はそもそもどんな打ち手を取るべきか考え、②でそれをどのように市民に届けるのかという風に整理すると実際には①と②はつながりうる内容だなと思いました。

データアカデミーでなされているレベルのデータ利活用は国レベルでもどこまで定着しているかは不明です。①の形のデータ利活用は国も行なっている部署はあると思いますが、②はあまり行われていないのではないでしょうか。

市川さんには経済産業省でも自治体DX研修を行なっていただき、サービスデザインからデータ利活用に繋げ、最終的にはデジタルサービスの仕様を仕上げるという研修を行なっていただきました。こちらでは視点を行政側からではなく、市民側に置き直して必要なサービスを考え、その上で②に取組む、といった内容でした。市川さんがnoteで今後振り返りをしてくれるようなのでこちらもウォッチしていただければと思います。

これまでの行政にはユーザーの視点に立って自分たちのサービスが使いやすいかといったことはあまり意識されず、市民にとって使いづらいものになっているケースが多かったのではないかと思います。これを見直すためにもサービスデザイン思考が重要になります。


さらにデジタルサービスになれば、データとしてユーザーである市民の反応を捉えることができたり、データの共有や分析を通じてより良いサービスへの改善、効率化がもっとしやすくなるはずです。これらの点からもどのようにデータを扱うかというリテラシーは、公務員にもより求められるものになっていくはずであり、本書はその入門書として位置付けられると思います。
経済産業省でもDX研修の教材としてYoutube動画を作成しており、こちらもご覧いただければ嬉しいです。


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