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【行政職員向け】行政のデジタル化について改めて学ぼう

コロナ対応の中で行政のデジタル化に改めて焦点が当たっているが、経済産業省ではYoutubeで「基礎から学ぶデジタルサービス研修」の研修動画をユーチューブにアップしている。1本10分程度の12本シリーズになるので時間があるときに通勤時間や隙間時間のお供にご覧ください。

いくら良い政策を立案したとしてもそれが市民や企業に届かなければ意味がない。政策実施は行政「サービス」であることを改めて考える必要がある。

例えば自分たちが普段使うグーグルやフェイスブック、アマゾンの民間のデジタルサービスがなぜここまで普及したのかは、ユーザーにとってもっと使いたい利用体験(ユーザーエクスペリエンス、UX)を提供しているからだ。彼らのサービスではユーザーの利用データ分析から、より使いやすい機能やデザインを考え、最適化するということを日々繰り返している。
つまり普及するデジタルサービスはユーザーにとって使い勝手のいいものでなければならないということだ。では、行政サービスのデジタル化の際にこれまでそこに心をどこまで砕いてきたか。その点が問われている。

海外では行政のデジタルサービスを開発するためにITエンジニア、デザイナー、プロダクトマネージャーを自ら採用し、継続的にこういったサービスを開発する体制を整備し始めている。経済産業省ではIT企業やIT部門出身の専門職非常勤をビズリーチを通じて採用しているが、行政内部にそういったテクノロジーに関する理解を持った職員がいなければベンダーとの情報の非対称性から要望が正確に伝えられず、良いサービスは生まれない。省内に専門家がいないため、ベンダーに丸投げすることによって現場の職員が自分たちのデジタルサービスにオーナーシップを持たなくなってしまうことも問題だ。

また、同じ機能を持つサービスを縦割りの結果として複数の部署で作ってしまうこともIT投資を増加させることにつながる。このため、共通する機能は何か整理し、その機能を組織全体として使うことで費用を低減していくことが重要だ。経産省で開発・運用する事業者の認証システムである「GビズID」や、汎用的な補助金申請システム「Jグランツ」は既に経産省のみならず他省庁、自治体も利用し始めている。縦割りを廃し、機能の共通化を図っていくことが重要だ。

これらをより実現しやすい環境を実現するのがクラウドとAPIの存在だ。クラウドの利点はユーザーが増えても柔軟にシステムのキャパシティを拡張できることだ。また、同じサービスをインターネットを通じて複数の主体から利用できるところもポイントである。APIはデータやシステムの機能を連携させるための仕組みであり、様々な機能を組み合わせてシステムを構成することを可能にする。こういった技術の基本的な知識は今後行政のデジタル化を進めていく上で皆が共通知として持っておくべきものになってきている。

また、ただ単に既存の申請様式をPDF等にして電子化することは媒体を紙からコンピューターに変えただけでほとんどプロセスの効率化が見込めない。このため、申請様式をベースとした考え方からデータ項目をベースとした考え方に変更することが重要だ。つまり、本当に自分たちが手続きで必要とするデータは何なのかを問い直し、そのデータのみをデジタルで取得することが事業者にとっても職員にとっても負担軽減につながる。またデータとして取得することで、他の手続きにそれを利用できるワンスオンリーや、データ分析への活用につながり、より付加価値を生み出すことにつながる。

現状手続で提出させている添付書類のどこまでをチェックしているだろうか。チェックしてない書類は本当はいらない可能性が高い、もしくはその書類の一部のデータのみが本当に必要なケースが多いのではないか。こうしたもともとの制度のあり方の見直しも含めてデジタル化を進めなければ、結局人が行わなければいけない作業が減らず、効率化しない、「システムのためのシステム」になってしまう。この点については執行を担当する現場の職員が自分の問題として取り組む、つまりシステム開発のオーナーシップを持たなければ実現しない。

AIやRPAを唱える前に、まずはこういった点が整理されなければ本当に使い勝手のいいデジタルサービスは生まれない。ITは魔法ではないのだ

・・・といった内容が研修動画には含まれているのでぜひ皆さん見てください。(再掲)


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