Canvaを使って修学旅行の保護者説明会をやめた話
はじめに
皆さん、こんにちは。今回のnoteでは、私の勤務校において、小学校6年生の修学旅行保護者説明会における働き方改革の実例をご紹介いたします。伝統的なオフラインイベントから、オンラインプラットフォームへの転換により、新たなアプローチが実現しました。この変革により、時間とリソースを大幅に節約し、さらに効果的な情報伝達が可能となりました。
今回の取り組みの背後には、教育の新たなツールの活用があります。Canvaを活用することで、保護者、児童、そして教員とのコミュニケーションが進化しました。
この記事では、各セクションで詳細に取り上げますが、まずはオフラインからオンラインへの変革がどのように始まったのかを探ります。古典的な方法から新たなデジタルアプローチの一つとして提案します。
オフラインからオンラインへ:修学旅行説明会の変革
修学旅行の準備において、保護者向けの説明会は不可欠です。かつては学校の教室や体育館で保護者をお招きして、詳細を伝えるイベントが行われていました。しかし、最近では新たなアプローチが試みられ、その中でも最も注目すべき変化はオンラインへの転換です。
この転換には重要な理由があります。オフライン説明会は、保護者に出席してもらうことが必要で、教員にとっても大勢の保護者の前でプレゼンテーションを行うことが求められます。これに対し、オンライン動画を活用することで、保護者は自宅やオフィスからアクセスし、動画を自分の都合に合わせて視聴できるようになりました。
この変化は、保護者にとっても教員にとっても多くの利点をもたらしました。次のセクションでは、この新しいアプローチの実現に貢献した「Canva」というツールに焦点を当ててみましょう。
スタイリッシュなプレゼン資料を簡単に作成するCanva
修学旅行の説明会をオンラインに転換する際、私たちの秘密の武器は「Canva」でした。Canvaは、デザインのスキルがなくてもプロフェッショナルなプレゼン資料を作成できる素晴らしいツールです。
私自身も2023年になってから扱うようになったのですが、最初はクラスルームのロゴデザインを作ったり、職員ポータルのロゴやバナーなどを作っていました。この夏SNSで発信を続けている小学校教員、坂本先生の書籍が出版されたことをきっかけに本格的に使用方法や使用場面を探っていました。
簡単にCanvaを紹介すると・・・
デザインの専門知識不要: Canvaは、デザイン経験がない方でも使いやすいインターフェースを提供しています。テンプレートや要素を組み合わせるだけで、スタイリッシュなプレゼン資料を簡単に作成できます。
多彩なデザイン要素: Canvaには数多くのデザイン要素、フォント、イメージが用意されており、プレゼン資料をカスタマイズするのに役立ちます。自分のビジョンを具現化できます。また、素材が豊富でなんかオシャレなんです。たとえば持ち物スライドの紹介の際には、リュックに入れるイメージを伝えたい。「素材」から「リュックサック」と検索するとこれでもかとたくさんのリュックサックの画像が候補に上がります。
リアルタイム共同作業: Canvaはチームでの作業にも適しており、複数の人がリアルタイムでプレゼン資料を共同編集できます。効果的な協力が可能です。同じ学年の同僚の先生と共同でプレゼン資料を作成する際、この機能は大いに役立ちました。
今回の作業は夏休みに行いました。年休、出張などで学年メンバーが一堂に会するのは難しいこともありますが、Canvaを使えばそれぞれが好きなタイミングで作業を進めることができました。遠隔地にいるメンバーともリアルタイムでコラボレーションできること、さらには修学旅行のプレゼン資料の統一感を維持できることです。これにより、チームの連携がスムーズに行え、最終的な資料の品質が向上しました。
実際、私は夏季休暇中、時間を持て余している時にさっと作業ができましたし、メンバーの先生は出張先から自宅に直帰して自宅で作業をしました。
Canvaを使用したことで、修学旅行のプレゼン資料は見栄えが良く、情報を効果的に伝える手段としての価値がさらに高まりました。
AIツール:スライド生成の革命
今回のワークフローの中で大きな存在になっているのがAI(人工知能)ツール「Docs to Decks」です。これは、プレゼンテーション資料の生成において、驚くべき効率もたらします。びびった。
AIによるスライド生成の効果
CANVAで使える「Docs to Decs」は、大量のテキストデータからスライドを自動生成するAIツールです。これは、テキストを読み込んでキーポイントを抽出し、スライドに整理することができます。このプロセスにより、時間と労力を節約し、プレゼンテーション資料を迅速に完成させることができました。ほぼ一瞬です。
AIの利用、叩き台をもとに写真投げ込む
修学旅行の持ち物情報テキストデータを入力するだけで、関連するスライドが自動生成されました。これにより、教員はスライドのデザインやコンテンツ作成に費やす時間を大幅に削減し、より重要な教育活動に集中できました。たたき台のレイアウトを提案してくれますのであとは写真をポンポンと投げ込んでいけば、スライド資料の完成です。
「プレゼンと録画」機能で動画撮影からアップロード・共有まで全部CANVA
ここまでは割と書籍やSNSで紹介されているワークフローですが、この記事で最も推したい情報はここからです。
作成したスライドについてプレゼンする音声と自分の顔の映像をCANVA上で動画撮影を行い、その動画をリンク共有することで閲覧ができるのです。それが「プレゼンと録画」機能になります。「共有」ボタンから選択肢の一つとして表示されるこの機能を使うことで作業工数が激減します。
閲覧サイドはアカウント不要で誰でも視聴することができます。視聴側サイドで字幕切り替えができるため、勝手に音
声をテキスト変換して字幕が入るスグレモノです。
またスライドの切り替えのタイミングで勝手に動画にセクションが刻まれるので長尺動画でも狙った情報をピンポイントで視聴することができます。
修学旅行保護者説明会のシン・ワークフロー
①しおり、教育委員会資料をざっとつくる。
②つくった資料を CANVAのDocsにコピペする。
③「プレゼンテーションに変換」をクリックしてしてスライドの叩き台をつくってもらう。
④叩き台に写真放り込む、文字整える→スライド完成
⑤作成したスライドから「共有」→「プレゼンと録画」→「レコーディングスタジオへ」
⑥「録画」→スライドに合わせて説明する→説明動画完成
⑦完了ウインドウに表示される閲覧用URLをコピー
⑧URLからQRコードを作成してお便りに印刷したり、classroomや学校メールで直接配布したりして保護者に伝えれば完了。私はpadletで共有しました。
⑨保護者は好きなタイミングで視聴。質問あればフォームで。
オンラインアンケート:保護者の声を大切に
オンライン説明会が進行中、保護者と児童からのフィードバックを収集するためにオンラインアンケートを導入しました。ツールとしてはgoogleフォームを使いました。
保護者と児童の声を収集
オンライン説明会を実施する際、最も重要なことは、保護者と児童の声を聞くことでした。期待や疑問、提案を理解し、説明会の質を向上させるために、オンラインアンケートは貴重なツールとなりました。
アンケートのメリット
オンラインアンケートは多くのメリットを提供しました。まず、保護者や児童が匿名で率直な意見を述べやすく、素朴な疑問や提案を気軽に共有できました。また、アンケートの集計結果を分析し、具体的な改善点を見つけることができました。
フィードバックを活用して改善
アンケート結果から得られたフィードバックは、説明会の改善に大いに役立ちました。オフラインによる通常の実施では細かな質問をできない保護者もフォームを使用することで回答がしやすくかったようです。また、私たち教員側が気づかない指摘もあり、そこから調整し、より充実した体験を提供することができました。彼らの声を大切にし、共感し合うことが、オンライン説明会の成功の一因と言えると思います。また、質問に対する回答集をまとめた動画も後日アップします。
夏から秋へ:効率的なワークフローのメリット
修学旅行は11月に実施します。例年だとその二ヶ月前くらい、9月ごろ保護者説明会を行なっていたようです。
夏休みの準備期間
通常、夏休みは修学旅行の準備に充てられます。オフライン説明会の場合、日程の選定、案内のおたより作成、プレゼン資料の作成、当日の会場の準備・片付けなど、多くの業務が詰まっています。しかし、今年は違いました。
オンライン動画説明会の導入により、夏休み中には説明用動画撮影などの準備が進行し、その後の9月や10月における業務量の増加が大幅に軽減されます。これは、私たち教員にとって大きなメリットでした。実際のところ9月下旬に運動会が実施されるのですが、この運動会指導と修学旅行の保護者説明会の準備が同時並行で進行しないといけないことはかなり業務過多になっていました。
行事の事前指導が反転学習に
また、オンライン説明会の新しいアプローチにより、事前に作成した説明動画を児童に共有できるようになりました。これにより、児童は何度も動画を見てイメージを膨らませ、修学旅行のポイントを確認できます。実際、何度も動画を確認して本格的な事前指導が始まる10月になる以前にほぼ全ての児童が修学旅行の概要を掴んでいます。ある種、反転学習のようなことになっています。
次の学年への引継ぎ
さらに、これらの説明動画は次の学年の先生への引継ぎ資料としての価値も高まりました。従来のように膨大な資料を読み込んでいくのではなく、動画で伝える新しい形式が採用されることで、引継ぎプロセスも効率的に進行すると予想されます。
受け入れられた新しいアプローチ
新しいオンライン説明会アプローチが保護者と児童にどのように受け入れられたか詳しくご紹介します。
保護者からの反応
オンライン説明会の変化は、保護者から好評でした。オフライン説明会では出席するために学校へ足を運ぶ必要があり、時間や交通の制約があったため、オンライン説明会へのアクセスの容易さが大きなメリットでした。保護者は自宅からアクセスし、自分のペースで動画を視聴できることに喜びを感じました。
また、オンラインアンケートを通じてフィードバックを提供する機会も評価されました。保護者からの意見や提案は、今後の修学旅行の計画に活かされます。
児童からの反応
児童も新しいアプローチにポジティブな反応を示しました。動画を何度も視聴できることで、修学旅行のイメージをより具体的に描けるようになり、不安を解消できました。また、オンラインアンケートを通じて質問や疑問を気軽に提出できることから、質問しやすさが高評価となりました。
このような保護者と児童からのポジティブなフィードバックは、新しいアプローチが成功した証と言えます。
おわりに
この新しいアプローチは、修学旅行の説明会だけでなく、教育の未来に向けての一つの提案となれば嬉しいです。オンラインツールとAIを駆使した効果的な教育方法の確立が、今後の教育環境を変革する一助となるでしょう。
新たな課題に向き合い、改善策を実行することで、オンライン説明会はより多くの利益をもたらし、教育体験を向上させる手段として発展していくことでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。リアクションいただけると励みになります。
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