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シュートの量とシュートの質どっちが大事?
チームのゴール期待値をみることで、よりたくさんのゴールが期待できたのはどっちか。つまり、どちらのチームがより勝ちに近かったのかを確認することができるということでした。
実際の勝敗に関わらず、数字として、チームのパフォーマンスが評価ができる。そんなお話でした。
しかし、こんな疑問を持った方もいるのではないでしょうか。
Q.「試合後のゴール期待値が両チームが全く同じ値」ということは起こりえるの?
各チームシュート1本でお互いPKだったらあり得ますね。。
でも、実際にそんなことが起こる確率はゼロに近そうな気がします。
ただ、起きるか起きないかで言えば、起きるという答えになります。
では、こんな状況を考えてみましょう。
あるチームがシュート10本を放ち、ゴール期待値は「0.5」
もう一方のチームはシュート20本を放ち、ゴール期待値は「0.5」
つまり、
各チームの全シュートのゴール期待値を足して行ったら、結果的に同じゴール期待値になってしまったという状況です。
僕自身、見たことはないですが、実際には起こり得そうですよね。
では、実際に起こったと仮定して・・・
Q.ゴール期待値が同じ場合、どっちのチームがより勝利に近かったでしょうか?
ゴール期待値が同じだから、どちらが勝利に近いとかないだろう。
いや、シュートをたくさん打っている方が勝利に近いのでは。。
結果が気になってきましたね。。
それでは実際どうなのか、これから見ていきましょう。
チームA対チームBの試合は0対0の引き分けでした。
試合データをみると下記のようになっていました。
(先程の例と同じ数値を使っています。)
![](https://assets.st-note.com/img/1718021812755-Dd8syindVy.jpg?width=1200)
両チームのシュート数は違えど、ゴール期待値が同じ値ですね。
ゴール期待値に差が出ていれば、どちらの方がより勝ちに近そうだったのかを参考にできますが、今回はそうもいきません。
そこで、シュート数を見てみましょう。
チームBがチームAの2倍ものシュートを放っていることが確認できます。
「チームBの方が2倍もシュートをたくさん打っているのだから、たくさん攻撃していただろうし、勝ちに近かっただろう」と考えたくなりますね。。
加えて、20本シュートを打ったということは、全部ゴールできたら、最大20点取ることができたとも捉えられます。
そんなことがデータから読み取れますが、
・・・・・それでは、本題。
「ゴール期待値が同じ場合、どちらのチームがより勝利に近かったでしょうか?」
もっとわかりやすくするために、この質問をもっとわかりやすく言い換えてみます。
「ゴール期待値の低いシュートを数多く放つのと、ゴール期待値の高いシュートを少しだけ放つのはどちらが勝利に近い?」
となります。
逆に少しわかりづらくなってしまったかもしれなかったです・・・
もっと簡単にしてみます。
ゴール期待値が同じ場合、
『シュートの量とシュートの質は勝利のためにどちらが大事?』
これでわかりやすくなったのではないでしょうか。
では、答えを見ていきましょう。
まず、上記の例をもとに、頭の中を整理します。
シュートの量と質はどちらが大事かを比べるために、まず、シュート1本あたりのゴール期待値を確認します。
そのために、以下の式を使って、1本あたりのゴール期待値を計算しましょう。
『ゴール期待値÷シュート数=シュート一本のゴール期待値』
(ゴール期待値をシュート数で割ることで、シュート一本あたりのゴール期待値の平均値を出しています)
【チームA】
0.5÷10=0.05
シュート一本にあたりのゴール期待値は「0.05」
【チームB】
0.5÷20=0.025
チームBのシュート一本におけるゴール期待値は「0.025」
【結果】
シュート一本のゴール期待値は、チームAの方が高かったというとがわかりました。
では、シュート一本あたりのゴール期待値が高かったチームが勝てるのでしょうか?
この結果をみたところで、シュート一本におけるゴール期待値の差をあまり感じれず、勝利のために大事かはイメージしづらいですよね…
それでは、整理したものをもう少しイメージしやすいようにまとめました。
![](https://assets.st-note.com/img/1718022009632-iSB5RC1hkp.jpg?width=1200)
さて、これをみてどういう印象でしょうか?
少しはイメージしやすくなったのではないでしょうか。
もしかすると、先ほどまで、シュートをたくさん放った方が勝ちそうと思っていた方からすると、印象が変わった人もいそうです。
このまとめたものを読み取ると・・・
『平均的な選手が60%の確率でゴールを奪えるシュートを2本(チームA)
vs
平均的な選手が10%の確率でゴールを奪えるシュートを12本(チームB)』
となります。
なんとなく、チームAに軍配が上がりそうです。
そして、実際の結果はというと、、
勝つ確率が高いのは、『チームA』。
つまり、
ゴール期待値が同じ場合、
『シュートの量とシュートの質は勝利のためにどちらが大事?』
という問いに対して、
シュートの量と質、どちらが大事かというと、「質」の方が大事ということです。
(実際にpythonを使用して計算しても同じ結果(以下)になります)
![](https://assets.st-note.com/img/1718022095291-IHw56SVEbr.jpg?width=1200)
これは、ゲームシミュレーションで、100000回試合をした場合における期待勝ち点を計算しています。(詳しくは最終章で)
以下に少しだけ解説します。
・左の番号の4番5番
「a=2,1.2」: aのシュート数が2本、ゴール期待値が1.2
「b=12,1.2」: bのシュート数が2本、ゴール期待値が1.2
・下に記載されているシェルの下の部分
「1.428602」:aの勝ち点の期待値
「1.262921」:bの勝ち点の期待値
※aの方が勝ち点の期待値が高い=勝つ確率が高そうと考えられる
また、ある実験では、
「シュートを打てば打つほど、得点できる可能性は高まるが、勝てる可能性が低くなることが発見された」そうです。
これは、とても考えさせられる結果です。
シュートをただたくさん打てば勝てる確率が高くなるというわけではなく、
質の高いシュートを放つために、ゴールになりやすい状況を作ったり、ゴールの近くにボールを運ぶことで勝てる確率を高めることができるということです。
そうなると、勝利に近づくためのには、、
・シュートの本数がもちろん多い
・ゴール期待値が高くなるようなチャンスの質の高いシュートを打つ
・そのために、危険なエリアにボールを運ぶ
(その分シュートの本数は減ってしまうかもしれない)
最後の部分は少し矛盾しているような感じもしますが…
ということで、最後はまたまた堂々巡りになりそうな感じになってしまいましたが、、
シュートの質と量のお話、少しはおわかりいただけたでしょうか。
ゴール期待値への理解が深まってきたところで、少し難しい話になってしまったかもしれませんが…
次回は、実際に使用されている活用例を取り上げて解説していければと思います。
例えば、
「ゴール期待値よりも高い得点数を取っている選手=シュートが上手い」
だから、本当に獲得すべきなのか?
ということなどについてお話しできれば…
(できなかったらすみません、できるように頑張ります。。)
それではまた。
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