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「今さえよければいい」はもういらない。タンザニアで創業した日に思うこと

大手エアコンメーカー(ダイキン)7年目、30歳、妻と2人の子持ち。
そんな私が本日、Baridi Baridi Inc. を創業しました。タンザニアにてダイキンのエアコンをサブスクリプションで提供するサービスを立ち上げます。

私はタンザニアという国にもエアコンという商品にも、元から特別な思い入れがあったわけではありません。このサービスに辿り着いたのは、自分の意思というよりも偶然の出会いの結果です。

それでも異国の地で創業を決めたのは、この事業を育てることによって、私が思う世の中の「おもしろくないもの」を "明るく" ぶっ壊せると思ったから。今後、事業を進める中で大切なことを見失わないために、創業の想いを記しておくことにしました。


なぜ会社に入ると目が死んでいくのか?

私は学生時代に才能あふれる素晴らしい友人たちと出会いました。彼らの優秀さに危機感を抱き、違う経験をしなければと、英語が全くできないのに海外留学に行ったりもしました。

しかし、社会人になって数年してから再会すると、あんなにスゴイと思った友人たちの顔が、何だか輝きを失っているように見えました。思えば通勤中に見る人々も、目が死んでいるように見えます。そして、何より私自身が、会社員として生活する中でワクワクできなくなっていると気付きました。

人は、自分ならではの能力を発揮できない状態が続くと、ワクワクしなくなるのだと思います。会社組織の中で経営者や上司に恵まれないと、自分の意思で仕事をしようとしても潰されてしまいます。そして、上司の能力を超える範囲で活躍できなくなり、自分ならではの能力を発揮するチャンスが減っていきます。自分以外の誰かが代替できる仕事なのであれば、ワクワクできないのは当然です。

確かに、組織運営では個人の意思を尊重しすぎない方が効率的な面があることも理解できます。ビジネスモデルを確立した会社であればなおさら、短期の利益を出す/失敗しないためには合理的な方法かもしれません。

でも、長期的に考えた場合、ワクワクしない人ばかりの組織・社会は果たしてよくなっていくでしょうか? 世の中には、天下りでわずか数年の任期しかない経営者もいます。そのような「賞味期限の切れた」経営者の元では何をやってもうまくいきません。会社は競争で殺されるのではなく、内側から死んでいくものだと思います。

このような考えから、ワクワクする人をひとりでも増やすために経営者になりたいと強く思うようになりました。


「今さえよければいい」って "おもしろい" ですか?

短期的な利益よりも、長期的な視点で考えて個々人が独自の能力を発揮してワクワクしている状態の方がいいと述べました。つまり裏を返せば、いまの私たちは目先の利益を追い求めるあまり、長期的なあるべき姿から遠ざかっているということです。

考えてみると、目先の利益を追求するあまり本当に大切なものを犠牲にしている例は、私たちの身の回りに溢れているのではないでしょうか。


例えば、SDGsの重要性が叫ばれるようになっているものの、依然としてほとんどの会社にとって「今の売上・利益」が一番になっているように思います。

四半期の売上・利益目標に追われ、長期的な社会貢献を犠牲にしていないでしょうか。環境、環境と言うならば、例えば役員報酬に気候変動対応が反映されてもいいのに、そういった会社が出てこないのはなぜでしょうか。


また、私たちは経済活動に縛られ、文化的な(つまり人間として当たり前の)豊かさを忘れていないでしょうか。

私も本当は通勤電車には乗りたくないし、ビルが一杯のところには住みたくありません。テレビのリモコンのボタンがあんなに多いのは、使う人の気持ちを考えているとは思えません。アメリカ人は紙皿をよく使いますが、あんな無味乾燥なものを使って満足できるのかが理解できません。


これらの現象を、私はシンプルに「おもしろくない」と感じます。
そして、その背後にあるのは「いま」の「経済的な利益」が最も重要という価値観です。

私の2人の子どもたちは、西暦2100年まで生きる可能性があります。そう考えると、将来の世界にとってプラスになることしかやりたくない、と思うようになりました。


アフリカの「ゾンビエアコン」を駆逐する

事業の話に移ります。冒頭で述べた通り、我々が立ち上げた会社では、エアコンのサブスクリプションサービスを提供します。

タンザニアは赤道直下の国です。まだ電気が通っていない地域も多い国ではありますが、都市部の洋服店・美容院・飲食店といった小規模ショップにルームエアコンが普及しつつあります。(一般家庭はまだこれからです)

しかし、いま町中に10台のエアコンがあったらなんと7台が動いていません。

なぜそんなことが起きているのか。

それは、中韓メーカーの格安モデルが出回っており、故障しても修理技術が未成熟のため放置されてしまうから。しかも、これらの格安モデルは故障しやすいだけでなく、省エネ性能が低いため、電気代が高い上に環境にも悪影響を及ぼします。

電気代はタンザニアの人々にとって深刻な問題です。小規模ショップの一ヵ月の電気代はおよそ7,000円と言われており、大卒の平均的な月収が約2万円であることを考えると、人々にとって大きな負担です。これをダイキンの省エネ性が高いモデルに変えるだけで約半額に減らすことができます。しかも、環境にも優しい。現状、タンザニアは省エネ規制が緩いため、環境性能が悪い製品も規制されずに出回ってしまいます。

既存の格安エアコンのビジネスは、コンテナ船で輸入した安物を大量に売りさばいて利益を得るモデルです。今の利益のために、高額な電気代という形で人々の生活に負担を強い、未来の地球環境を犠牲にしているのです。

私にとって、稼働していない「ゾンビエアコン」は「今さえよければいい」の成れの果てです。
だから、これを駆逐すると決意しました。

いま我々が検討しているモデルは、ダイキンのエアコンをサブスクリプションで提供するサービスです。ダイキンのエアコンは省エネ性能が高いため、毎月の電気代は安く抑えられ、環境にも優しいです。据え付けや修理は日本メーカーの高品質なサービス網を活用し、故障しても放置されない仕組みにします。

タンザニアの人々にとってネックとなる高額な初期費用(機器代)は無料とし、サブスクリプション費用を払っても毎月の電気代削減効果の方が大きくなる価格設定にします。耐久性が高いため、継続課金により機器代を無料にしても数年後には利益が出る仕組みです。

これを、スマートフォンを通じた課金テクノロジーと合わせて普及させていきます。実証テストでは評判もよく、人々のニーズを的確に捉えている手ごたえを感じています。

このビジネスモデルのポイントは、サブスクリプションのため最初数年の赤字を許容しなければならないことです。つまり「今さえよければいい」の発想で短期の利益を得るために最適化してしまった既存プレイヤーには、手出しできません。2~3年で社長が交代するような会社であればなおさら、数年の赤字を許容することなど不可能です。だからこそ、短期の赤字を恐れないベンチャーが挑戦する意味があります。

このモデルを真似するプレイヤーも出てくるかもしれませんが、「世の中がより良くなるならどんどん真似してくれ」と思います(もちろん、簡単には負けないよう様々な仕込みはしています)。


いまと未来、生活と社会、すべてを幸せに

立ち上げた会社名はBaridi Baridiと言います。Baridiとは、スワヒリ語で「冷やす」という意味です。タンザニアを起点に世界を幸せにしていきたいという想いから、スワヒリ語の社名にしました。

Baridi Baridiが成功すれば、いまタンザニアで困っている人が幸せになるのはもちろん、未来の環境にもプラスです。また、日常生活が送りやすくなると共に、エアコンに関する知識や技術を持つ人を育て、雇用を生み出すこともできます。さらに、我々の取り組みに触発されて日本でもワクワクしながら働く人が増えたら、こんなに嬉しいことはありません。

私が「おもしろくない」と感じるのは、「いま」の「経済的な利益」というきわめて限定的な価値を重視するあまり、他の豊かさを犠牲にするというあり方でした。

この限定的な価値観から脱し、いまと未来、生活と社会のすべてを幸せにするのが、Baridi Baridiという会社を通じて私たちが実現したいことです

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最後に、私たちの思いを言葉にした会社のVisionとValueを記載します。誰にでも当てはまる抽象的な言葉ではなく、可能な限り具体的に記述することを重視しました。

これらの言葉に共鳴してくれる方々と一緒に、世の中の「おもしろくない」を "明るく" ぶっ壊していきます。


Vision

Better Life, Better Society: Now and the Future

世の中には今さえ良ければいいというものが多い。
私達は目の前の人々の生活・社会と同時に、これから先の人々の生活・社会もより良いものにしていきたい。
様々な人の技術・アイデアを、チーム1人1人の強い想いで実現していきます。

"A" ccess to affordable and sustainable AC solution
より多くの人に安心して使えるエアコンを。
初期費用を抑えることでより多くの人に快適な空調を提供し、サブスク化することで当然の故障や追加の出費を気にすることなく安心して使ってもらう
”B” etter environment for the next generation
未来により良い環境を。
途上国で普及していない省エネ技術を活用し、環境負荷を大幅削減。
サブスク化することで故障したまま放置されるエアコンをゼロにする。持続可能な社会へ転換していく。
”C” hances for All
あらゆる人に新しいチャンスを。
我々のビジネスを通じて、より多くの人に知識と技術を身に着けてもらい、お金を稼げるチャンスを。
将来の社会を担う・より良くしていく人材を輩出していく。


Shared Values

Bright and Cheerful ( 明るく、元気よく)
自分たちが明るく、元気に働いていなければ、顧客を明るく元気にするサービスはできない。
また、自分たちが明るく、元気に働けるよう、ひとりひとりの心がけで職場をつくっていきたい。

Speed matters ( スピードが命、最速で実行する )
持続的な事業の成功がお客さん、従業員、従業員の家族、サプライヤー、株主など様々なステークホルダーの為に重要。
事業の成功には、スピードと実行力が特に重要。

Integrity to people and society ( 人と社会に誠実に)
誠実さを軸とした企業にしたい。
お客さんにも、チームメンバーにも、自分自身にも、誠実に向き合う。
社会の幸せの総和を減らすような事業展開はしない。

Work as professional ( プロフェッショナルとして働く)
肩書、給料、国籍、人種など関係なく、給料を1円でももらう以上はひとりのプロとして働く。
例えばスポーツ選手のように、日々研鑽し、食事などの生活習慣にも気を遣うのがプロ。会社にしがみつくだけで自己研鑽しない人はプロとは呼ばない。


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Baridi Baridi Inc. 代表取締役 タンザニアでエアコンのサブスク事業を展開しています。常識や課題にチャレンジしていくのが好きです。 問い合わせなどあれば、こちらにご連絡ください。(info@baridibaridi.com)