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文フリで買った『持続5 特集 passion』の感想!

まず、この雑誌はおしゃれだった。
やりとりを正確には覚えていないけど、立ち止まって見て、「なんの本だろう?」と思った。
そして、パラパラとめくって、内容を確認し、俺の答えが出た。
「いや、なんの本だろう?」

鈴木理世さん「just a touch」
最初に、コラージュが載っていた。おそらく50、60年代くらいの映画やモデルのコラージュだ。表紙のセンスの良さが、このコラージュのセンスなのかと考えた。このコラージュを元に詩を書いてみたいとも考えたりした。

高木咲実さん「しりとり」
これは、おしゃべりについてのエッセイだった。とても面白い。この人は文章を書くのが上手いので、何かそういう仕事をしているんじゃないか?と思う。
男からしたら縁遠いネイルの話から、派生して思ってもいない方向に揺さぶられる。「あのこと」があった当時、自分にも同様のショックはあったが、ここまで考えてはいなかったと感じる。
会話を繋ぐための手法をしりとりようなの形式にしているというのは、俺が喋るときと似ているので、この人と話したら会話が尽きなさそうだと感じたりした。
最後には、シュールな絵しりとりがあり、絶妙な読後感がある。とても感心した。

太田海斗さん「動く点」
正方形のモノクロ写真。海や川や山(丘?)を撮っているが、空へ大きくスペースをとることで強調されている。顔のはっきりと見えない人間たちが、玩具みたいで面白い。個人的には、四台の自転車が並んで走ってる写真が好きだ。

カワシマさん「死についてのノート」
タイトル通り死についての文章。死んだらどこにいく問題とでもいうか、死ってなんだろね問題とでもいうか。俺の頭では理解出来るところと出来ないところがあって、最後のモーリス・ブランショの言っている意味がいまいちピンと来なかった。が、面白い。
実体験を交えると、高校の頃に通っていた絵画教室の先生が、「人が死んだ後、肉体は燃やされて消えてしまうけど、物質的にどこかにあるし、魂や意識は宇宙の方に飛んでいくんじゃないか?」というような話をしていた事を思い出した。
俺は詩人なので、死について考えることは多いし、そうした作品も多いが、否定と肯定を繰り返すことになるから、このノートに書かれた概念を完全に信じたりすることは出来ない。
けど、今の気分だと、俺も日本のどこかの街にあるゴミに紛れて、死後を過ごしているのかも知れないと思った。

サカタさん「ブレザー」
こちらは漫画作品。読んだ後、「良かったあ」って思った。
クラッカーが小道具として気が効いてて良い。人には誰しも、相手には言えない気になることあるよなあ、と共感したり。
読者の俺でさえ、あきらちゃんはちょっとおとぼけキャラなんかな?って思ってたので、ピリッてくる展開にドキッとした。ピリドキ。
まあ、なんだかんだ、君らはずっと仲良くやってくれよな。と思える作品。

矢尾板日向子「Passion」
コラージュの、抽象画的解釈と俺は感じた。高価なものでなくても、オシャレで格好良いものが作れることがわかった。個人的に、一枚目が好き。額に入れて飾りたい。

[日記]Dove mi trovo ~our diary of the same day~
これ、試し読みしてる時に「面白いですよ〜」と言われたの思い出した。著者たちがそれぞれの日記を書いて、日付ごとに掲載されている。なので、読者は6人分の1日を読めるわけだ。
いやぁ、本を読んでいて思ったけど、自分とは住む世界が違う方々だなと感じた。とてもしっかりしていて、暮らしを満喫している。
俺は卑屈なので人と話す時に顔をちゃんと見ないんだけど、顔を覚えておいて「この中のどれがこの人だ?」と想像しながら読みたかった。
何気ない日常なのだけど、皆しっかり何かをしているのが面白い。日記に書くことほどのことはない、とはならなそうな方々だ。それは尊敬に値する。
面白いけれど、同時に自堕落な生活を送ってる自分にも気付いてしまった(笑)


まとめ
この本は、強いていうならアート本であると思った。そして、メンバーそれぞれに個性があるのに、上手くまとまっていると思った。
「コラージュ、エッセイ、写真、エッセイ、漫画、コラージュ、日記」の構成は、読者が疲れず、最後まで楽しんでもらえるように考えられている。

面白い雑誌を買えたわあと思って嬉しくなった。


一応、こちらは一人の作家の作品ではなく、雑誌なので自分のことも押し売りしておく。
詩人の、UtaMochiです。詩を書いてます。面白いですよ〜。

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