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高校野球のためのピリオダイゼーション: 転換期(筋力を特異的なパワーへ変換)の理解と実践

筋力トレーニングをしていても、実際のスポーツでのパフォーマンスが上がらないと感じたことはありませんか?
筋力だけを上げても、それを実際のスポーツの動きに適応させることが難しいのです。
しかし、その答えは「スポーツ特異的な強さへの変換」にあります。

この記事では、「ピリオダイゼーション」というアプローチを通して、どのように筋力をスポーツに特化した力に変えていくのか、そして「転換期」という重要な段階の意味を詳しく解説します。

また、野球においての投手や野手のエネルギーシステムの理解についても触れています。
この記事を読めば、自分の競技に合わせた効果的な筋力トレーニングの方法を知り、より高いパフォーマンスを追求する手助けとなるでしょう。


スポーツ特異的な強さへの変換

現代のスポーツ界において、アスリートが筋力トレーニングを取り入れないことは稀です。
トップレベルの競技者からアマチュア選手まで、体力の向上は常に目指されています。
しかし、一般的な筋力トレーニングだけでは十分ではありません。
なぜなら、それだけでは獲得した筋力を特定のスポーツや動作の要求に応じて、例えば爆発的なパワーや持続する筋持久力へと適応させることが難しいからです。
その結果、多くのアスリートはそのポテンシャルを十分に発揮することができず、競技でのスピードや敏捷性、さらには長い競技時間に対する耐久力に欠けてしまいます。

そこで、効果的な筋力トレーニングのアプローチとして、ピリオダイゼーションという方法が導入されています。
このアプローチでは、トレーニングの周期を特定し、それに合わせて筋力を最適な形に変換していきます。
アスリートが大会などの本番でベストのパフォーマンスを出せるよう、様々な段階を経て体を整えていくのです。

そして、この変換のプロセスで特に重要となるのが「転換期」または「コンバージョン期」と呼ばれる段階です。
この段階でのトレーニングの焦点は、総合的に獲得した筋力を、実際のスポーツ競技の要求に合わせた特異的な力に変換することにあります。
例えば、短距離ランナーとマラソンランナーの筋肉の使い方は異なるため、それぞれのトレーニングのアプローチも異なる必要があります。

さらに、スポーツの特性や必要とされるエネルギーシステムを的確に理解することが不可欠です。
たとえば、短時間での爆発的な動きを求められるスポーツと、長時間の持続力を必要とするスポーツでは、筋肉の使い方やエネルギーの供給方法が異なります。
これらの違いを示す表 1は、どのようなエネルギーシステムが主要で、それに基づいてどのような筋力を鍛えるべきかを示唆しています。
これにより、アスリートは自身の競技に合わせた最適なトレーニングを選択することができます。

活動強度と特異的筋力への換算
出典:Periodization Training for Sports

特異的筋力

1年間を通じて、スポーツの特性やアスリートの特性、さらに試合スケジュールに基づき、筋力トレーニングの目的やアプローチが変わることがあります。
すべてのトレーニングの究極の目的は「特異的筋力」です。
すなわちそのスポーツや活動において最も重要な形の筋力を最大化することです。
スポーツは大きく2つのカテゴリに分けることができます。

パワースポーツ

これは、競技者ができる限り迅速に力を発揮することが求められるスポーツを指します。
具体的には、陸上の短距離走や高跳び、さらには野球、バスケットボールやサッカーなどの多くのチームスポーツが含まれます。これらのスポーツでは、速度と力がパフォーマンスにおいて決定的な役割を果たします。

筋持久力スポーツ

これは、競技者が比較的低い強度で、しかし長い時間にわたって力を維持する能力が求められるスポーツです。水泳、ボート、カヤック、トライアスロンなどの競技がこのカテゴリに該当します。
表1から、野球における野手の動作を考慮し運動の持続時間とそれに関連するエネルギー代謝経路および筋力のタイプを考えると、以下の特異的筋力が必要とされるでしょう。

野手の特異的筋力

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