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高校野球のためのピリオダイゼーション: 最大筋力期の理解と実践

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最大筋力期(Maximum Strength Phase = MxS)とは何か?

ほとんどのスポーツにおいて、最大筋力の向上はおそらく最も重要な要素です。
筋力と筋断面積の間には密接な関連があり、筋力を増加させる際の筋肥大トレーニングは非常に重要です。しかし、筋肥大だけが筋力の全てというわけではありません。
トレーニングの深部には、速筋繊維の動員能力やその発火頻度といった、目に見えない神経系の適応も深く関わっています。

一部のスポーツでは、筋肉量を増やすことなく高いパフォーマンスを要求されるため、相対的な筋力、つまり体重1kgあたりの発揮できる筋力が求められます。
最大筋力が果たす役割はスポーツによって異なるため、トレーニングの期間や頻度も変わってきます。例を挙げると、陸上の投擲選手やアメリカンフットボールのラインマンは筋力を重視するため、長期間にわたる最大筋力トレーニングが行われます。一方、筋力が直接的なパフォーマンスに少なく寄与するスポーツ、ゴルフや卓球などでは、この期間は短くなりがちです。

最大筋力(MxS)期では、中程度の重量で行うサブマキシマムロード法(MxS-I)と高重量で行うマキシマムロード法(MxS-II)の負荷をこの順序で使用していき神経を適応させることによって最大筋力を向上させていきます。
ただし、マキシマムロード法(MxS-II)は、一般的な筋力トレーニング(解剖学的適応とサブマキシマムロード法を使用)を最低1年間、20歳未満のジュニアアスリートは2年間、行ってから使用します。

一方、数年にわたり高度な最大筋力トレーニングを受けてきた経験豊富なアスリートにとっては、さらなる筋力の向上は困難とされることもあります。そのため、筋力のさらなる向上を求める場面で、新たなトレーニング方法を模索することが考えられます。

アスリートが継続的なトレーニングを行いながら、特定のパフォーマンスに対する筋力のプラスの影響を感じられない場合、筋肉や神経筋系への刺激の変更を考えることが有効です。
最大筋力トレーニングとパワートレーニングを組み合わせることで、爆発的な力の発揮やCNSの刺激が期待されます。
例:解剖学的適応と最大筋力トレーニングの第1フェーズに続いて、最大筋力トレーニング3週間とパワートレーニング3週間を交互に行う。

パワースポーツ、例えば重量挙げや短距離スプリントなど、速やかに大きな力を発揮することが要求される競技においては、別のトレーニング方法を取り入れることも有効です。筋肥大トレーニング3週間と最大筋力トレーニング3週間を交互に行うことで、筋肉の質と量を最適化させることが可能です。特に筋肥大トレーニング期間を導入することで、筋肉のサイズが微増し、それが最大筋力の更なる向上の土台となります。

また、エキセントリック型とコンセントリック型の筋収縮の比率を調整するアプローチも見逃せません。エキセントリックトレーニング、すなわち筋肉を伸ばす方向の収縮に重点を置いたトレーニングは、筋肉に強いテンションを生じさせる特性があります。この高いテンションは、筋肉の成長と力の向上に非常に有効な刺激を与えると言われています。

マキシマムロード法でのトレーニング成功には、多くの要因が絡み合います。負荷の量や種類、休息間隔、運動の順序、筋収縮の速度、そしてトレーニングのパターンなど、細かな部分まで計画的に考慮しなければなりません。これらの要素は全て、アスリートのパフォーマンスを最大限に引き出すための重要なピースとなっています。

次回のセクションでは、これらの要素に焦点を当て、より具体的なトレーニング方法やテクニックについて詳しく解説していきます。

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