高校野球のためのピリオダイゼーション: 転換期(筋力を特異的なパワーへ変換)の理解と実践②
パワートレーニング
パワーボールやメディシンボールを用いたパワートレーニング
年間のトレーニング計画の中で準備段階は、アスリートは基本的な体力や技術を養うだけでなく、敏捷性や素早さを身につけるためのトレーニングを行います。
具体的には、パワーボールやメディシンボールのようなトレーニング器具を使用して、筋力や反応速度を鍛え上げます。
また、プライオメトリックエクササイズというトレーニング方法も非常に効果的です。
これは、筋肉を急速に収縮させてパワーやスピードを向上させるトレーニング方法で、ジャンプトレーニングなどが含まれます。
このエクササイズは、5つの強度カテゴリーに分けられており、アスリートのトレーニングの進行や必要に応じて選択することができます。
このように分類することで、トレーニングの効果を最大限に高め、無駄なく進めることができます。
さらに、パワーボールやメディシンボールのトレーニングでは、器具の重さを変えることでトレーニングの強度を調整することが可能です。
図1は、アスリートが年間を通じて最高のパフォーマンスを発揮するために必要なトレーニングの流れと、それぞれのフェーズで重視される活動の強度について具体的に示しています。
この図に基づいて詳細を追加していきましょう。
メディシンボール重量
軽:1~4キログラム
中:5〜9キログラム
重:10〜16キログラム
プライオメトリック強度
トレーニングは始まりにあたる準備期からスタートします。
ここでは、筋力の基盤をしっかりと築くことが目標である解剖学的適応期から始めます。
アスリートは軽い重りを使って、動作の精度やフォームを正しく身につけながら、筋肉にゆっくりと負荷をかけ始めます。
プライオメトリクス(筋肉の急激な伸縮を利用したトレーニング)では低強度からスタートし、これはレベル5と表記されています。
ここでいう「低強度」とは、体には負担をかけるものの、過度なストレスは避けつつ、筋肉と骨格の適応を促すレベルを意味します。
続いて、最大筋力を高めるフェーズである最大筋力期に移ります。
ここでアスリートは、パワーボールやメディシンボールを用いたトレーニングで重りを増やしていきます。
目指すのは、より多くの筋肉の運動単位を活性化させることです。
これにより、筋繊維一つ一つがより強く、より効果的に動作するようになります。
そして、神経筋系の反応性を高めるために、プライオメトリック・エクササイズの強度を上げていきます。
これは、反射的な動きやスプリントのような瞬発力が必要な動作を速く、そして力強く行うために重要です。
ここでのトレーニングは、身体が即座に高いパフォーマンスを発揮できるようにすることを目指しています。
転換期には、トレーニングの方法を微妙に変化させます。
パワーボールやメディシンボールを使ったトレーニングの負荷を減らしていく一方で、プライオメトリクスの強度はこれまでで最も高く設定されます。
これは、筋肉のエキセントリック収縮、つまり筋肉が力を発揮しながら伸びる動作を最大限に利用することで、速筋線維の放電速度を高めるのです。
これにより、アスリートは大会などの主要なイベントで自身の最高のパフォーマンスを引き出すことができます。
最終的に、試合期に入ると、トレーニングはさらに戦略的になります。
最初に高強度のプライオメトリクスを行い、その後のトレーニングサイクルでは、高強度と中強度のプライオメトリクスを交互に取り入れていきます。これは、筋肉の疲労を適切に管理しながら、最高の状態を維持するためです。
そして、大会の1週間前には、中強度のプライオメトリクスを使用して、体をピークの状態に仕上げます。
そして、大会がある週ではプライオメトリックスを一時休止し、体が完全にリカバリーするのを助け、最終的な競技での最高のパフォーマンスを実現するための準備を整えます。
このように、図1にはアスリートの年間を通じたトレーニングの段階が詳細にわたって描かれており、各段階でのトレーニング強度の調節がパフォーマンスの向上にどのように貢献するのかが見て取れます。
メディシンボールトレーニングの例
以下に私が使用しているメディシンボールトレーニングの例を紹介します。
ピリオダイゼーションの流れ
スポーツトレーニングの計画におけるピリオダイゼーションの流れとその段階的な実施方法について説明していく中で、以下のように図や説明で使われる縦棒は、トレーニングプラン内の異なるフェーズを視覚的に分けるのに役立ちます。
これによって、一目でどのトレーニングがいつ始まり、いつ終わるのかがわかります。ただし、この図はあくまでもモデルであり、実際のトレーニングでは、一つのフェーズから次のフェーズへの移行はもっと滑らかです。
トレーニングの切り替え方法
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