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台湾総統選挙(日本と世界に与える影響)

2024年1月13日、台湾で総統選挙が行われ、民進党 頼清徳氏が当選しました。
投票率は71%。
不在者投票は期日前投票といった制度が台湾には無い中で、この投票率は驚異的な数字だと思います。
中でも、若者の投票率はなんと90%だったそうです。
「国の行く末は自分たちで決める」という気持ちの表れでしょうか。
そして、政治と国民の距離感の近さも感じました。


親日家も多いというイメージの台湾ですが、そもそもどのような国なのでしょうか。

台湾の歴史

中国の支配

17世紀初頭、中国の明朝が滅亡し、清朝が成立すると、清朝は台湾を支配下に置きました。
しかし、先住民族との抵抗が続き、清朝はしばしば反乱を鎮圧しなければなりませんでした。

日本統治

1895年、清朝が日清戦争に敗れ、台湾は日本に割譲されました。
これにより、日本統治時代が始まります。日本は台湾の近代化を進め、鉄道や道路の整備、教育制度の改革などが行われましたが、同時に台湾人による日本統治への反発も生まれました。

中華民国の統治

1945年、第二次世界大戦が終結し、日本が敗戦すると、国際連合は台湾を含む地域の管理を中華民国(中国)に託しました。
しかし、中華民国政府は国共内戦で中国本土を共産党に奪われ、台湾に撤退しました。台湾は中華民国の一部として事実上独立した存在となりました。

冷戦時代の孤立

台湾は冷戦時代、国際的には中華人民共和国が中国の正統な政府として承認され、台湾は国際的な孤立を強いられました。
しかし、アメリカはアジア地域の共産化を防ぐために台湾を支援し、安全保障の一環として台湾との関係を維持しました。

1980年代以降の変革

1980年代、中華民国(台湾)では政治・経済の改革が進み、1987年には戒厳令が解除され、政治体制も開かれるようになりました。
1990年代には、多党制が進み、選挙が実施されるようになりました。

台湾の国際的地位

台湾は国際的な主権を主張しながらも、中華人民共和国が一つの中国と主張しており、国際的な承認を制約されています。
台湾は経済的には発展し、高度な技術を持つ半導体産業や高い教育水準を有するなど、国際的な影響力を持っていますが、その地政学的な立場は複雑なものがあります。

台湾の与党変遷

1990年代初頭
民主化の流れとともに、台湾では政治体制の改革が進みます。
1991年に初の地方議会選挙が実施され、1996年には初の直接選挙による総統選挙が行われ、国民党の李登輝が当選。
2000年
民進党の陳水扁が総統に選出され、国民党による長期政権が終焉。
台湾において初めての政権交代が実現。

2000年 - 2008年
民進党が政権を担当。
一方で、陳水扁政権は複数の汚職疑惑に巻き込まれ、政治的な混乱も発生。

2008年
国民党の馬英九が総統に当選し、政権交代。
馬政権は経済改革を進める一方で、中台関係の改善を模索。

2016年
民進党の蔡英文が総統に選出され、再び政権が交代。
蔡政権は国内改革と国際的な台湾の地位向上に焦点を当て、中台関係は緊張を深める。引続き、国際的な立場に関する課題が続いている。

与党の変遷をみると分かりますが、国民党と民進党が8年ごとに政権交代していました。

総統選で頼清徳氏(民進党)が当選

しかし、今回の総統選で頼清徳氏が当選したことにより、台湾で1996年に直接選挙が始まって以来、同じ政党が初めて3期連続で政権を担うことになります。
与党・民進党の頼清徳氏は中国の威嚇に強く反発する蔡英文総統の強硬路線の継承を訴えており、勝利宣言では「台湾は民主主義のパートナーと共に歩み続ける」、対中関係は「台湾海峡の平和と安定の維持が使命だ」と述べた。
現政権下で途絶えている中国との対話の再開を巡っては「対等な尊厳」を前提としました。
強硬的な姿勢がすでに見えていますね。

頼氏 当選による影響

中国は台湾に対して様々な圧力をかけてくると予想されます。
特に半導体やレアアースといった重要なサプライチェーンの要素を握る中台関係が悪化すると、世界に混乱が広がる可能性があります。

台湾と中国は経済面で強く相互依存しており、切っても切れない関係です。これまで中国は台湾に対して何度も経済的な揺さぶりをかけてきました。
頼氏が当選したことで、これらの圧力が一段と強まる可能性があり、それが台湾経済にどのような影響を与えるか、台湾企業や世界経済にどのようなリスクをもたらすか、注意深く見ていく必要があると思います。

そして、頼氏は米国との関係を重視する立場を取っており、台湾の有権者も中国ではなく米国との関係の強化を望んでいるようです。
これにより、中台関係だけでなく、台湾と米中の対立が一層激化する可能性があり、最悪は軍事衝突も起こりえます。

台湾有事が起こった場合の日本への影響

米中戦争が台湾で発生した場合、その影響は日本にも及ぶでしょう。

経済的な影響
台湾は日本の重要な貿易パートナーであり、半導体や電子機器などの製造業において密接な経済的なつながりがあります。
台湾での戦争が発生すると、生産活動や輸出入が混乱し、これが日本の企業や経済に直接影響を与えるでしょう。

国際的な状況の変化
米中戦争が勃発すると、アジア太平洋地域の安定性が損なわれ、これが日本の国際的な安全保障に影響を及ぼす可能性があります。
日本はアメリカとの安全保障体制に依存していることから、その枠組みが揺れ動くことで、日本の安全保障戦略や外交政策が変わってくる可能性があります。
そして、戦争が発生すると、台湾からの難民や人道的な問題が発生する可能性もあります。
これにより、日本は難民支援や国際的な協力を受け入れることになるでしょう。

地政学的な影響
日本から見た台湾は地政学的にみると、共産圏と民主主義のいわゆる緩衝地帯です。
台湾の地政学的な位置づけが変わることで、日本の周辺地域における安全保障環境が変化する可能性があります。
これにより、日本政府は新たな安全保障政策や防衛力整備に対する検討を余儀なくされる可能性があります。

国際社会との関係
米中戦争が起きると、国際社会において緊張が高まり、日本はその中での立場を模索する必要があります。
基本的にはアメリカに安全保障を依存する形にはなると思われますが、外交的な調整や、地域的な安定を促進するための取り組みが必要でしょう。

アメリカの反応

バイデン米大統領は、台湾総統選で与党民進党の頼清徳氏が勝利したことを受けて、「私たちは独立を支持しない」と述べました。
関係安定化を図る中国に配慮を示したのでしょう。
「共産圏の拡大は止めるべきだが、有事は避けるべき。経済的につながりを持ち、表面上は仲良くしましょう」ということでしょうか。

まとめ

頼氏は5月に総統に就任します。
中台関係や世界経済の動向には引き続き注視が必要ですね。
隣国ということもあり、日本にもかなり影響があると思われます。
これからの展開が国際社会にどのような影響を与えるのか、慎重に見守っていく必要があるとおもいます。


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