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【乳房に癌】母一人娘一人の日常

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【乳房にがん】 44日目

2020/07/04

母が退院した。

こんなにも早くとは思わなかったけど、母が退院した。

まず、リンパへの転移がなかったことが最大の要因。リンパへの転移がないと、リンパ節を切除しなくていいので、術後痛みが少なく、すぐにリンパに入れていた管が抜けるそう。

そして、私自身が仕事で翌週から地方に行くことが決まっていたので、その前に帰宅できるならしてしまおうと。

担当医の先生も看護師さんも「お嬢

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【乳房にがん】40日目

2020/06/30

6月中にここまでこれたこと、本当に良かった。

素直な気持ちです。

朝、なかなか手術に呼ばれない母はソワソワしたのか、何度もラウンジに顔を出してくれました。そしていざ出発。

「頑張ってくる!」というので「頑張るのは先生であって、ママではない」なんて軽口を言いながら送り出しました。

その背中に、『どうか無事で』と聴こえない祈りをかけながら。

立会の場合、家族は院内で飲

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【乳房にがん】40日目 part2

2020/06/30

6月27日。病院から、29日に入院出来るか否かの連絡が一応あるはずと思いながら待っていました。

母とは、『入院延期になったら、病室が第一希望の9000円の4人部屋に変更できるかもよ! そしたら浮いたお金で快気祝いで温泉だ!』なんて話していました。

ところが一向に連絡がありません。

母が仕方なしに病院に連絡すると、29日入院手続きをしてほしい、ベットは3人部屋(1200

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【乳房にがん】40日目

2020/06/30

しばらく空いてしまいました。

というのも6月17日以来バタバタとしていてnoteに来ることが出来ませんでした。

今日は手術です。

今日までのことをちょっとまとめてみようと思います。

6月19日 PET-CT 受診

6月23日 PCR検査、麻酔科説明

ここまでは順調でした。

びっくりするほど順調。さぁあとは25日に入院して、26日に手術を待つだけ。そんな気持ちで

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【乳房にがん】27日目

2020/06/17

大学病院3回目

今日は先週の針生検の結果を聞きに来た。結果次第で入院するかどうかの最終判断がなされるとあって、なかなか緊張感のある朝を迎えた。

けど、道中はいつもどおりで、昨日から騒がしくなった朝鮮半島の話をしながら混雑した道を車で向かった。

朝の大学病院は混んでいる。だから車を停めるのも一苦労で、診察の順番を後回しにしてもらわなければならなかった。

いよいよ診察

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【乳房にがん】20日目

2020/06/10

大学病院2日目。

朝起きると、また、「今日はよろしくお願いしますね」という母。娘として当然だと思いつつも、母にとってはやはり迷惑をかけているという思いが強いのだろう。昭和生まれらしい、とかいうとあまりに俗っぽいけど、そういう感じがしてならない。

今日は検査と診察なのだが、そもそもの検査時間が遅かったせいか、今日は道も空いていて予定より早く着いた。

母を先に病院に入れ、

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【乳房にがん】16日目

2020/06/06

今日は夕方から天気がすこぶる悪かった。

朝からむしむししていたけれど、夕方からの雷の多さと雨粒の強さが室内にいて、あー、この閉じこもった空間にいて良かったーと思えるほどのものだった。

二階から下にのびる階段の踊り場にある小窓に顔をぴったり寄せている母。

なにしてるの?

と声をかけると

雷のね、あの稲妻の形をみたいのに、ただ光だけでつまんないのー。

と無邪気に言っ

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【乳房にがん】14日目

2020/06/04

朝いつも通り起きると、朝食の準備をしてくれていた母

私を見るなり、開口一番、「昨日はありがとね」と。

目を真っ赤にして。

ただ病院に付き添っただけのことなのに大袈裟だなぁと思いつつ、そんな当たり前のことが、今母を支えているんだと思うと、なるべく多くの時間をかけて共に過ごしたいと思う。

夕方、片付けをしていた母が私にこんなものを見せてくれた。

part2に続く。

【乳房にがん】13日目

2020/06/03

今日は大学病院に行ってきた。

まず驚いたのが、先生がとても物腰が柔らかくて患者に威圧感を与えなかったこと。

以前父を亡くしたとき、最後の担当医のあまりの粗暴なものの言い方に、父を殺したのはその医師だと思わざるを得ない経験をした私からすると、こんなにも医師によって診てもらう側の気持ちが違うのかって程だった。

母からしてみたら、乳房にあるしこりが、一年前までは良性だったの

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【乳房にがん】12日目

【乳房にがん】12日目

2020/06/02

いよいよ明日

大学病院へ行く。

しっかりとした診断が下されるだろう。

今日はここまでの片付けの集大成でたくさんゴミが出ました。今までありがとう。

すっきりして明日を迎えられる。この数日片付けながら懐かしい写真に目を細める母。

いつも通りの日々を過ごそうとしていて逞しいが、ご飯を食べる量が心なしか減っている気がする。

ふと思い立ってエンドリケリーのソメイヨシノを聞

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【乳房にがん】10日目

2020/05/30

今日は母の70回目の誕生日。

そんな中、おじ(母の兄)からショートメールで

「元気ですか?」

と来た。

母と2人して、タイミングを見計らったようにドキリとした。まだおじにはがんになったことを伝えていない。なぜ、「元気ですか?」と来たのだろうと。

大学病院での検査結果を受けてから電話で報告するつもりだったが、このタイミングで伝えることに。

電話口のおじはなんだかバ

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【乳房にがん】4日目

2020/05/25

今日決めたことは、

母を病人扱いしすぎない

ということ。

母は癌と言われる前と何一つ変わっていない。だから、買い物にも自力で行けるなら行ってもらう。掃除も片付けもできることはやる。

じゃないとあまりに病人のレッテルを貼りすぎることになるから。

そしたら、体が弱って本当に病人になってしまう。体力を残すためにも、私は母を日常に閉じ込めておくことにした。

【乳房にがん】3日目

2020/05/24

病名は人の精神にこんなにも影響を及ぼすのか

そう思わざるを得ない日々が繰り返されている。

前までは、掃除や片付けといっても、「いつかまた着るし」「今度までとっておこう」そうやって処分されずにいた服や物たちが、信じられないスピードで、「捨てる」に分類されている。

圧倒的なスピード。強盗が入ったかのように家をひっくり返して、全てに白か黒かのジャッジをつけている姿を見ると、

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