フリーサイズである事

今回はブランド０１u１０についての事をすこし。
なんで縫製現場である自分がブランドを作っているのかにも通じることではあるのですが、【服は自由なものだ】というのが根本にひとつあります。
色々な問題も抱えている業界ではあれど、衣食住の中でここまで人の個性が視覚・触覚・場合によっては嗅覚に反映されてるジャンルは少ないと思いますし、｢その身につけるもの｣という部分でも、外で多く人の目に映る事の多い個性を発揮できるものだと感じます。

その０１ｕ１０も１年と少しが経ちました。
先日の円環シリーズは反響もいただき嬉しいかぎりで大感謝です。

そんな僕の考える服は現時点では１サイズ展開（フリーサイズ）となっています。もちろん他のブランドさんでもフリーサイズは少なからずありますがMen・Womenと男女別が多いかと思います。
うちはひっくるめてサイズフリー。これは何でなのかという事を簡単にですが説明しておこうと思います。

①人の着方に制限をつけたくない

うちで作る服はフォーマルではなく、ドレスコードのあるお店なんかに行くための服ではありません。あくまでカジュアル。気楽に着て欲しいものになります。きっちりした服装には当然その良さがあります。動きやすさや見た目のすっきりとした落ち着き。そして反面ルールもあります。このジャケットにはこのシャツに丈…など。
決まった場所での服の着方はカッコイイですし、あってこそだと思っているので、そこは大切に。
ただ普段の日常の中での着崩し・オーバーサイズ・ジャストサイズ…これらも楽しさかと思います。
どのように着ても楽しめるようにできるだけパターンからシルエットの出方にこだわっていたり、サイズ調整できる仕掛けを使っているものもあります。身長が低い方がオーバーサイズに着ても、高身長の方がジャスト目に着ても僕には素敵に見えます。
それが着てくれる人の好みに合っていればそれで良いと思っているからです。フィットするジャスト感を求める人は他のブランドをおすすめしますし、高身長でもオーバー気味に着たい場合は向かないものもあります。
結局は着る人の好みなので僕が提案できるのは１サイズでのいろんな見え方が楽しめますということです。

１８５ｃｍ男性着用

②服のシェアを考えている

これは多くの意味と願いを込めています。
サイズがピッタリでないと決まらない商品（スーツやジャケットに合わせるシャツなんかは特にそうですね）はその人にしか合わないサイズが最上の場合もあります。なのでオーダーメイドというものもあります。
 そういうものはその人が着なくなれば、中々他に着てくれる人が見つかりづらく二次流通（古着やおさがり）にはなりにくいかと思います。
※もちろんご本人が着れなくなるまで大事に使えれば一番です
結果廃棄になりやすいのではと思っているのが一つです。
　そこを完全にフリーサイズにすることで男女・老若・体型の幅を広くカバーできる服をつくれば、恋人や夫婦家族、友人などでシェアや譲っての使用が生まれて、結果服が廃棄されずに長く楽しんでもらえるのではないかという考えです。もし時代を越えるようなものがつくれて古着のようになっても来てもらえる人の範囲が広くなるのでは…なればいいな…と。

150ｃｍ女性着用

③生産側の工程の簡素化・コストの削減

これは生産する側、いわゆる縫製工場の作業効率を考えています。
ここに関しては知ったこっちゃねえと、購入される側からすると思いますが実は多少なりと関係しています。細かいことは省きますが
今回例にしている『円環カットソー』ですら１５パーツを超える裁断パーツを縫製で組み・縫い上げて作っています。
これを３サイズ展開すると４５パーツとなります。
パーツが増える分縫製を対応する人間からすると『裁断』という工程での時間が多く必要になります。その分時間もお金も多く必要になりますし1000枚などのまとまった数で作れない自分のような小規模ブランドは効率の悪さも生じるのです。
そので発生した手間は加工費用に反映されて、当然購入いただく上代（店頭価格）にも反映します。
生産数を多く作れる力あるブランドに自分が成長したときは多少サイズを増やす可能性がありますが、現時点では努力の足りていない部分で周囲への負荷を増やすのは筋がちがうと考えています。

160ｃｍ女性

大きな部分では３つ。
細かいことはあれど主にこれがフリーサイズで服を作っている理由です。
今後の成長次第ではまた変化もありえますが、それは状況を総合的にみて考えようと思っています。

なにより服をつくって多くの人の、多様な着こなしをみることや　その機会が格段に増えました。それも自分のつくった服を来てくださっていたり、他のブランドさんの服（大好きなブランドさんもあったりします）と合わせてコーディネート頂いていたり・・・。
そういう自由に楽しんでいただけている事を見ることができるのが
この方法の楽しさかとも思います。
勿論、デザインに大きく影響のでない範囲であったり着用者さんが気にされないのであれば、裾上げや袖丈の変更はお受けしています。
自由に『らしく』服を楽しんでもらえる機会を自分が作り出すことが
少しながら出来ていること・支えてくださっている方が居ることに
ものづくりの楽しさを感じています。

170ｃｍ女性

今回は身長の違う4名の撮影写真を掲載させていただきました。
もしご興味いただき０１ｕ１０の服を着てみたい、撮影に使用してみたい
まずは試着してみたいなどなどありましたら遠慮なくお声がけください。
楽しく服を楽しめる時間のきっかけに選んでもらえればとてもうれしいです。

それではまた。不定期になにか書きます。