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今度出る本の前書き

以前noteでお伝えした通り、この度ダイヤモンド社さんから書籍を出版します。

未だにタイトルが最終確定していないのですが(もう一生決まらないのかもしれません)、原稿はどんどんと進んでいて、この前一番最後に書いた前書きを書き終わりました!

まだ変更がきく今の段階で皆さんのお声を聞きしたいこともあり、以下前書きを転載します(本が発売になると、このnoteは消すことになってしまうかもしれません・・・)!読んでみて頂き、https://twitter.com/hirohisa_yamada までご意見頂けるととてもとても励みになります!

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僕は、東京の賑やかな繁華街に行くと、切ない気持ちになります。今この街はたくさんの人で賑わっているけれど、来年はちょっと人が減っているかもしれない。再来年にはもっと減っているかもしれない。僕の子どもが大人になるころには……。孫が大人になるころには……。東京は今と同じ輝きを持った街ではないでしょう。

とある有名企業の経営者とのお酒の席で、「僕は古い日本のやり方で逃げ切るから、山田くんあとはよろしくね」と笑いながら言われたことがあります。その場では冗談として笑い流しましたが、あれが今の日本を率いる世代の本音ではないかと思います。

人口が減り、米中二つの大国に挟まれる中、ハンコ一つなくすのに苦労する国、日本。この国を「あとはよろしく」と託された僕たち若い世代は、どう生きればよいのでしょうか。

過去を振り返っても答えはありません。人口減少という大きな流れに、新型コロナウイルスの影響も重なって、過去のデータはいよいよ価値をもたなくなりました。人気就職先ランキング一つ取ってもそうです。つい去年までは、航空業界や旅行業界が人気就職先としてランクインしていました。それらがたった一年で、軒並み採用中止。過去をもとにした未来予想図は、こうも簡単に裏切られます。

過去を振り返って答えがないなら、外を見てみませんか。これがこの本を通した僕からの提案です。

ハーバード大学を卒業した若者も、ひと昔前まで日本のトップ層とさほど変わらぬ価値観でキャリアを歩んでいました。会社のブランドと業界ランキングを気にしながら、有名企業に就職していたわけです。

しかし今、流れは明らかに変わっています。ハーバードの学生たちは大企業よりスタートアップに熱い眼差しを向けているのです。

僕自身、この新しい王道を歩む一人です。ハーバード大学在学中にGoogle本社でインターンをしたのちに、新卒としてGoogleで働く内定をもらいました。Googleでの仕事はあまり面白くありませんでしたが、何せGoogle。そのブランドに押され、そのまま就職することを考えました。

しかしハーバードのキャンパスに戻ってその話をすると、友人たちの反応は今一つでした。もっと小さいスタートアップに行く方がイケているのにな。そんな風に思われていたのだと思います。

そんな中、僕はAsanaという一つのスタートアップに出会います。Asanaの創業メンバーの一人はFacebookの創業メンバーで、マーク・ザッカーバーグのハーバード時代のルームメイトです。Facebookを成功させて巨万の富を手にしたのちに、次の大きなミッションを達成するべくAsanaを立ち上げました。

僕はAsanaの創業者と直接話し、その志に心から感動しました。そして、Googleからのオファーを断って、当時まだまだ無名だったAsanaに入社しました。

2016年から3年間、ベイエリアの最前線でプロダクト開発に携わりました。その後2019年、日本オフィスの立ち上げのために東京に帰ってきています。さらに2020年10月にAsanaは米国で上場を成し遂げました。これらは、Googleのような大企業では経験できなかったであろうことです。

あの時僕がGoogleを蹴ってAsanaに入ったのは、僕がすごいからではありません。優秀な人ほどスタートアップに行くものだという新しい王道を、ハーバードで叩き込まれたからです。

今の日本を生きる若い世代にとって、この新しい王道は一つの解になりうると僕は考えています。しかし、こうしたキャリアは日本ではまだ一般的とは言えず、情報も揃っていません。今の日本に、Googleのオファーを蹴ってまでスタートアップに飛び込める若者が果たしてどれだけいるでしょうか。

今の僕にできることは、この本を通じてそのような世界をご紹介することです。ハーバードでの学び、インターン先での気付き、就職活動、そしてAsanaでの日常などについて、僕の見聞きしたことをそのままお伝えしていきます。

また読者の中には、中高生、大学生、社会人問わず、留学に興味のある方もいらっしゃるでしょう。そんな方々に向けて、後ろの章ではハーバードの受験対策、受験プロセス、英語の攻略法などについても触れています。

僕の歩みを追体験してもらうことで、最高峰の大学から名もないスタートアップに行くという新しい王道について理解を深めてもらう。そうして皆様がご自身の生き方について考えるきっかけを作ることができるなら、著者としてこんなに嬉しいことはありません。


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