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台湾周遊(7) 金瓜石 Jinguashi・九份 Jiufen 【世界旅行記024】

2012年8月9日(木) 台湾 金瓜石・九份

台北3日目は、ノスタルジックな街並みが残る九份(きゅうふん)へと足を運んだ。九份へ行くなら近くの金瓜石(きんかせき)まで行った方がよいという宿のオーナーの勧めに従い、台北からバスで1時間半かけて一気に金瓜石まで向かった。

金瓜石は日本統治時代から続く金山の跡地。山奥のなかにある。いまは黄金博物園区となっており、日本統治時代の建物も残されている。このあと向かう九份のように人が多くないので、ゆっくり山頂から景色を眺めることができる。

金瓜石からバスで10分ほど山を下ると、九份に到着する。九份は『千と千尋の神隠し』のモデルになったと言われている街で、とにかく日本人の観光客が多い。食べ物屋や土産物屋が立ち並ぶ細い通りは、観光客でごった返している。日本語の案内も多い。観光客向けに作りこまれた街という印象を受ける。

そんななかでも運よく人の少ないカフェを見つけ、眼下の山と海を眺めながら気が済むまでくつろいだ。このカフェがなければ、九份の思い出は人混みの印象しか残らなかったかもしれない。

その後、バスに乗って基隆(きりゅう)へ向かった。そこに夜市があり、基隆駅から列車で台北へ戻ることができる。バスに乗ると、隣のおばあさんが片言の日本語を話せる人で、いろいろ話をしてくれた。

これから同じ夜市に行くところだから一緒に行こう。台北はどこを回ったのか。宿はどこにあるのか。それならここの店がお勧めだ。そこへの行き方はこうで…バスが着くまで延々と話をしてくれた。

おばあさんは日本人の友人を連れてバスに乗っていた。見ると日本人のお母さんが3人の息子を連れてバスの後ろに座っている。あとで聞いたところ、かつてそのお母さんが旦那さんと台北に住んでいたとき、マンションの上の階に住んでいたのが、このおばあさんだという。てっきり親戚かと思っていたが、赤の他人であった。

一緒に夜市を回っているとき、そのお母さんが言った。「台湾の人は本当におせっかい好きなのよ。そのくせ自分勝手なのよ。ほらまた勝手にどっかへ行っちゃうでしょう?」。たしかに、そのおばあさんは自分が食べたいものを探しているのか、すぐに我々の前から消えてしまう。ただ、わたしにはそのおせっかいすぎる親切がとてもありがたく、うれしかった。

バスのなかでおばあさんから聞いた一言が、いつまでも頭を離れない。「いまでも台湾の人の心は、中国ではなくニッポンよ」。写真には残っていないけれど、あのおばあさんの優しい笑顔を忘れることはないだろう。

かつて金山だった金瓜石。
当時皇太子だった昭和天皇が視察するために作られた日本建築も残されている。
『千と千尋の神隠し』の世界が広がる九份の街。
九份の細い通りは観光客で常に大混雑。
奥に見えるのが九份名物の芋圓(タロイモを使っただんご)。
九份には眺めのよい茶屋やカフェがたくさんある。
たまたま客が少なかったので、ここでのんびりくつろいだ。
港町・基隆にある廟口夜市。
あいにくの雨だったがおばあさんはお構いなし。海鮮料理などを食べ歩き。

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Travelife Log 2012-2013
世界一周の旅に出てから12年。十二支ひとまわりの節目を迎えた今年、当時の冒険や感動をみなさんに共有したいという思いから、過去のブログを再発信することにしました。12年前の今日、わたしはどんな場所にいて、何を感じていたのか? リアルタイムで今日のつぶやきを記しながら、タイムレスな旅の一コマをお届けします。


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