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上海から日帰り蘇州の旅 【世界旅行記012】

2012年7月26日(木) 中国 蘇州

上海から列車で30分から1時間もあれば、蘇州へ行ける。蘇州といえば、「水の都」「東洋のベニス」で有名だ。「蘇州夜曲」の歌から想起される街並みは美しい。例のごとく大行列に並んで電車の切符を買い、日帰りの旅に出かけた。

行きは普通列車(1時間で15元)、帰りは新幹線(30分で40元)。
行きのほうが楽しかった。旅はローカル線に限る。

ところが行ってみてビックリ。蘇州がこんなに大きな都市だとは思わなかった。あまたの客引きを払いのけ、ようやく駅から出たと思ったら、だだっ広い道路があるだけ。右へ行けばいいのか、左へ行けばいいのかもわからない。

事前に調べておいたレンタサイクル店を探し、炎天下のなか30分も歩きまわるが、お店が一向に見つからない。こういうときに限ってタクシーもつかまらない。街の全体像が全然つかめない。ひさしぶりに途方にくれた。熱中症で倒れそうになりながら、ようやく見つけたタクシーに乗り、ガイドブックの最初に載っていた「留園」へ連れて行ってもらう。

「留園」のなかでいちばん落ち着いた場所。
秋ごろに来れば、もっと違う印象の街になっただろう。

蘇州には世界遺産の庭園が数多くあるということだったが、どれも点在しており、歩いてまわることはできない。これ以上、炎天下をさまよう自信はなかった。タクシーで繁華街へ出て、帰りの電車の時間までカフェにこもって過ごした。

今回のように、街のスケール感を誤ると大変なことになる。どの程度まで歩けるか、それを地図で判断できるようにならないと、個人旅行はむずかしい。炎天下のなかで15分も歩けば、全身汗だくになってしまう。

それにしても、水路があるだけで「東洋のベニス」と呼べるものなのだろうか。わたしはもっとこう、細い水路が網の目のように張り巡らされた街を勝手にイメージしていた。現実は、(そういう箇所もあるのだろうが)大きな水路が何本か走っているだけだった。

これでも今回の旅でいちばん蘇州らしい風景。右に見える建物の構造は不明。

2024年7月26日(金)のつぶやき
街のスケール感は、歩いてみるとよくわかる。旅人に健康な足腰は欠かせない。地を這うように歩きまわって、街と人のエネルギーを全身で受け止め、自分の体内に吸収していく。そのプロセスがたまらない。その後、年を重ねて家族でラグジュアリーな旅をするようになっても、ホテルの部屋にじっとしていられない性格は、こんな旅人の根っこの部分が消えないからかもしれない。

今日は妻の誕生日だ。めずらしく早く仕事を切りあげ、息子と一緒にバースデーケーキを買いに行った。12年前に旅に出たとき、わたしはそもそも結婚していて、妻はまだ仕事に就いていた。少し前に会社を辞めたわたしは、いてもたってもいられず、ひと足先に東京を飛び出し、妻が会社を辞めて旅に合流するまでの1か月間、ひとり旅を楽しんだ。いま思えば、自由な夫婦だ。あらためて、お誕生日おめでとう。

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Travelife Log 2012-2013
世界一周の旅に出てから12年。十二支ひとまわりの節目を迎えた今年、当時の冒険や感動をみなさんに共有したいという思いから、過去のブログを再発信することにしました。12年前の今日、わたしはどんな場所にいて、何を感じていたのか? リアルタイムで今日のつぶやきを記しながら、タイムレスな旅の一コマをお届けします。


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