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「話が長い」は何が問題か

 今話題の「話が長い」ですが、どのような人が話が長いかどうかは横に置いておくとして、そもそも「話が長い」とは何が問題なのでしょうか。少なくとも、これは時間が長くかかるだけの問題ではないと考えます。いい話であれば、「時間があっという間に過ぎた」と言われます。問題の本質は聞き手の立場になって話していない「話の中身」「話の仕方」にあると考えます。その問題の本質とは4つの要素があると考えます。

1.結論が見えにくい
 「この人はいったい何が言いたいのだろうか」という話し方をされるとストレスに感じます。なので、まずは結論から話をし、その後でその根拠を話すという流れが合理的な話し方といえます。

2.話が冗長的である
 それでは、その根拠を話すうえで問題となるのが話の冗長性です。同じ話が何度も登場すると、同じところを繰り返している感があり、「いつ終わるのだろう」という出口の見えないストレスを感じてしまいます。
 根拠の中にも根拠があるように、情報を構造化して整理したうえで話するべきです。そのためには物事を構造化して考える訓練を常日頃からしておいた方がいいです。
 例えば、人工知能の評価について次のように述べたとします。
 「人工知能の技術は進化したと考えます。進化したと考えた根拠は画像パターンの認識精度が高度化したためです。この高度化した背景には、画像を認識するためのセンサー技術が進化したことに加え、認識した画像情報を解析処理するためのコンピューター学習機能が向上したためと考えられます」
 こう話せば、結論は「人工知能技術の進化」であり、進化したと評価する根拠が「画像パターン認識精度の高度化」にあり、その高度化の背景として「画像データを認識するセンサー(ハード)」と「解析処理するためのコンピューター学習機能(ソフト)」の2つの技術向上があると理解できます。この2つの技術向上要因もハードとソフトという形で分類することで、聞き手が理解しやすくなります。

3.情報が多すぎる
 それでは、構造化さえすればいいかというと、そうではありません。人間が一度に処理できる情報量には限りがあります。情報が多すぎると聞き手の頭が混乱します。
 そこで、情報にも優先順位をつけて、優先順位の低い情報は説明をカットするか、複数の情報を統合し一つにまとめて説明すべきです。
 優先順位の付け方には色々なパターンがありますが、例えば、その根拠としての寄与度で優先順位をつけるやり方があります。また、複数の情報を統合するとは、例えば、学習機能向上と並ぶ画像パターン認識精度向上の要因として、カメラレンズが小型化したのと、イメージセンサーの画素数が向上したという2つのハード面での理由があるとして、これを一つ一つ説明するのではなく、“画像認識センサー技術が高度化した”と一言でまとめることができます。「画像認識センサー技術が高度化とはどういうことですか?」と質問を受ければ、更に詳細を説明すればいいのです。
 情報量はある程度絞り、相手の関心度合に応じて細部の領域まで説明すればよく、フルスペックで説明する必要はないのです。それができるようになるためには、情報の構造化が必要です。

4.話が難しすぎる
 人間は自分の経験からイメージして理解しようとします。聞いている人がイメージできない話が続くと理解できない情報が上積みされ、その話は苦痛になります。難しい話題が出る場合は、分かりやすい例え話を入れるのがよいでしょう。
 例えば、「オームの法則:E(電圧)=R(抵抗)×I(電流)に基づけば、電圧を上げると同じ抵抗値の電線においては電流が大きくなる」と解説したいとします。電気は目に見えないので理解しにくい現象です。そこで電圧を水圧に、電流を水の量に置き換える例え話をします。水道の蛇口を少しだけ開くと水はチョロチョロと少しだけ流れ、蛇口を大きく開いて水圧を上げると、水は大量に流れると話せば、電圧と電流の関係をイメージできます。

 この4つのポイントを押さえて説明すれば、「話が長い」とはならないはずです。

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