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朝令暮改

発言者としての注意点

コミュニケーションは聞き手の受け取り方を想定して発言しなければなりません。発言する時の参考になるポイントを三つほど述べてみます。

『言う価値があるか』と自問する

人の話を上手に聞くには口を開く前に『これは言う価値があるか?』という難しい質問に答えなくてはなりません。私達の多くは人の話を聞いているようで実は次に何を言おうか頭の中で考えているのに忙しい。

これは2重の意味でネガティブな行動です。相手の話を聞かないばかりか、相手を不快にするコメントをしようと考えているのです。ポイントを外す、無意味な事を付け加えようとする。最悪の場合は傷つけるような口調を忍ばせる事で相手を不快にさせてしまいます。

これでは思わしい結果にはなりません。それをやり続ければ聞く事で心配をしなくて済むようになります。誰もあなたに話そうとしなくなるからです。

『言う価値があるか』と自問すればあなたの回答を聞いて相手がどう感じるかを考慮せざるをえません。これで少なくとも2歩先を読まなくてはならなくなりますが、そうする人は多くありません。あなたが話す。相手が話す。という具合にやり取りするだけです。それは一手先しか読めない初心者の将棋のようなものです。

それは聞く事にも最低レベルです。『言う価値があるか?』を自問する事で議論を超えて
a) 相手はあなたの事をどう考えているか
b) 相手はその後、何をするか
c) あなたが次に話す時に相手はどう行動するかを考えざるを得なくなります。

厳しい意見を言う時は

『不快に思われるかも知れませんが、今日は忌憚なく意見を述べさせて頂きます』といった意味の事を前置きする。あるいは自己主張した後で『本日はたいへん失礼な事を申し上げましたが、意のある所を汲んで頂ければ幸いです』などとへりくだり、一礼して見せたりします。

『いう事も言うが、あれでなかなか礼儀正しいじゃないか』という評価を狙っているのです。つまり自己主張が礼儀によって中和されているのです。

意見を積極的に述べ、それを出席者に認めさせようとすると、熱弁のあまり『傲慢』『生意気』『傍若無人』な態度になってしまいます。それを中和させ『なかなか見どころがある』とプラスの評価に転じさせる。冒頭と最後の『礼儀正しい一言』が魔法の言葉となります。つまり『礼儀』を中和剤にする事で自己主張しても安全になります。

朝令暮改は有能な司令官の証拠?

朝令暮改

朝令暮改の上司はどこの会社にもいます。そして、ほとんどの上司が部下から舐められています。『またかよ』『ウチの上司は困ったものだぜ』と部下たちの酒の肴です。ではなぜ舐められるのか。上司が言い訳をするからです。朝令暮改する事に対して判断が誤っていたという後ろめたさがあるからです。

それではだめです。逆発想をしましょう。朝令暮改こそ有能な指揮官であると部下に思い込ませるのです。『秒針分歩』の情報社会にあってビジネス環境は刻々変化します。それにいかに即応するか。それまでの進路を捨てて舵を切れるか、勝敗のカギはここにある』そんな事を普段から口にしておく。いや自分がそうと信じ込むのです。

自分のヨミが間違っていたと気づいてもそんなことは、おくびにも出さず『今、情報が入った。方針を変えるぞ!』とキビキビと自信満々に命令する。これでいいのです。やがて部下は上司の朝令暮改に神経を研ぎ澄ます様になります。いつ暮改されてもそれに即応すべく普段から準備するようになります。

君子の豹変は有能な上司の証だと部下に思わせれば大成功です。

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