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指示待ち族を造るのは上司です

管理職同士の雑談を聞いてますと、『今の若者は指示待ち族が多くて困っている』という一方的な内容を聞く事がありますが、そのような人に育てた管理職側の責任が大きいものです。そうならない為に注意すべき事項について述べてみます。

指示待ち族

これは主にコミュニケーション技術と上司の人格による問題が大きいですが、指示待ち族にならせない ためには次の点に注意を置く事が必要です。
1) 自分の意見を折に触れて伝えておく
2) 後は本人に考えて行動してもらう
3) 失敗(自分の考えからズレた処理)があっても『しょうがない』とし、改めて自分の考えを伝えて、次回からの軌道修正を提案する。

これに対し、『自分の部下は指示待ち族ばかり』と嘆いている上司は、おおむね(3)の『失敗』に対して厳しく対応しているケースが多いみたいです。『あの時きちんと指示しただろう!なんで指示通りにやらないのだ!少し考えたらダメな事くらい分かるだろう!』こういう事があると部下は叱られることに怯えてしまう。そうなったのは部下が思考停止になってしまっているからです。

叱られないように自分の頭で考える事を一切やめて、全て指示通りに動こうとします。『指示通りにやっていない』事で叱られないで済むように『そんな事くらい自分で判断しろよ』という細かい事まで指示を仰ぐようになってしまいます。そういう過程を経た結果、上司は『指示ばかり求めて自分の頭で考えようとしない』と不満を持ってしまいます。

つまり『指示待ち族』は自分の頭で考えられないのではなく、自分の頭で考えて行動した事が上司の気に入らない結果になって叱られる事が多いので、全部指示してもらう事に決めただけなのです。このような人間関係の組織では部下の能力は伸びません、このような環境が続いた組織では人材育成が遅れて、業績の発展は望めません。従って競争にも勝てません。

指示は本来あいまいにならざるを得ません。例えば『机の上を拭いといて』と指示を出したとしてもどの雑巾で拭くべきか、そもそも雑巾がどこにあるのか、という事は曖昧な場合が多いものです。仕方がないので自分の判断で『これかな?』という雑巾で拭いたとします。

その後の顛末で違いが生じます。『なんで新品の雑巾で拭くんだよ! ちゃんと探せばここにある事くらい分かるでしょ。なんて勿体ない事をするんだ』と言えば委縮して、今度から雑巾はどれを使えばいいのか、どこにあるのか、細かい事まで指示を仰ぐ様になります。

一方、こういう対応だと違ってきます。『きれいにしてくれてありがとう、ん、新品の雑巾を使ってよかったかって? ああ、いいよ、どこにあるか言ってなかったし、今度からここに置くようにしてくれればいいから』というように、自分の判断で動いても構わないという経験をしてもらう事が大事です。

指示・命令

上司になって時間が経つと『指示・命令をしないと、仕事をしている感じがしない』という気持ちになる事があります。『答え』を与える事が今まで自分の仕事だと思ってきた人は『答え』を与えなければ責任を果たしているという気がしないのは当前かもしれません。言わば、諸葛孔明シンドロームです。

併せて、『部下に舐められてはいけない』『上司として有能さを証明しなければいけない』『伝えるべきことを伝えておかないと不安だ』などという心理が『指示・命令したい』という思いにつながります。

ここで『私の仕事は指示・命令する事だ』『私は強い管理職であらねばならない』という意識に向かってしまい、『部下が答えを出す為のサポート役としての管理職』として自分の発言を制御出来るかが鍵です。これにより部下を成長させる上司としての能力が造れます。つまり自分の脳で考えて行動する部下を造れる事になります。

今まで指示・命令してきた管理職の人は『相手より自分が上だからそうする』という意識ですから『自分は上の者だから勝たなければならない』と考え易く、その結果本来の目的とは違うところに話をスライドさせてしまいます。こういう人は『常に部下より上に立っていたい』あるいは『この程度と見くびられてはいけない』という心理に陥りがちです。

このように上下・強弱・優劣・善悪など、物事を2極化して見る傾向のある人は、自分のその癖にも気付いてほしいと思います。2極化する事によって周囲から入手できる情報は減り、自分自身の選択の幅も狭めてしまいます。また業務以外でも、人から鬱陶しがられたり、怖がられたり、近寄りがたく思われたりして、気付かない所で損をしている可能性が大いにあります。

大会社の人事部門の人はこういう点を新米の管理職に学んで理解してもらえるような高い人格が必要です。

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