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アートの思考過程

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現代美術活動の中で考えるたこと。
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2019年8月の記事一覧

論理とカオス

論理とカオス

現代美術作品には新しさが必要ですよね。この新しさとは、少なくとも美術の文脈上において、未知のものであるはずです。それが含まれてないと、現代美術作品として成立する必要条件を満たしていないと言えます。あくまでも原理原則として。

でも全てが未知であれば、現代美術作品として認識できないですよね。表現の分類上、その他には含まれるかもわかりませんが。だから概知も必要です。

その未知に対する概知を、

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『芸術崇拝の思想』

『芸術崇拝の思想』

読みました。松宮秀治著『芸術崇拝の思想、政教分離とヨーロッパの新しい神』(白水社2018/2008)。この著者は現代美術への共感が少ないので、ラストが尻つぼみで終わった感があります。僕の理解では、何千年も続いてきた人類の崇拝の歴史が、近代になって芸術に転化したにもかかわらず、現代美術はその価値を溶かしてしまっていると憤っていらっしゃるようです。読めばその理由も納得ですが。

さて、全編面白いト

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個展のタイトル

個展のタイトル

CASのサイトに、個展の告知がアップされました。今回のタイトルは『Utamaro, Our Contemporary』です。前回から、タイトルは英語にしようと決めました。しかし、英語で気の利いたタイトルを考えられるわけもなく「それならば引用だ」というわけで、前回はアウグスト・ザンダーの写真集『PEOPLE OF THE 20TH CENTURY』から取って『PEOPLE OF THE 18TH C

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8月ですね。

8月ですね。

8月ですね。7月はP50号を4点制作しました。まあ、マイペースな1ヶ月です。一方、コンセプト作りのために読み始めた『芸術崇拝の思想』が面白すぎて、逆にまだ半分も読み終えていません。1ページ読む毎に手を止めて、考え考えしている状態です。

今まで読んだところで印象的なトピックをあげると「18世紀まで美術という概念は無く、単に術(テクネ)があった」とは、よく語られることですが、それはなぜかという話で

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