イスラエルとパレスチナ

NHK解説より

「この問題を知らずして、世界を知ることはできない」(国際部 鴨志田デスク)

パレスチナの地にあるエルサレムには、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、それぞれの聖地があります。宗教上とても重要な地域なんです。
この地では、1948年にイスラエルというユダヤ人の国ができました。
その後は、この土地の中で〝将来、パレスチナ人の国家になりたい地域”(東エルサレム・ヨルダン川西岸・ガザ地区)を総じて、パレスチナと呼んでいます。
パレスチナは「国」ではなくて、「国になれていない地域」ということです。
イスラエル、パレスチナがそれぞれ国として共存するのが理想なんですが、イスラエルの建国を発端に対立しているのがパレスチナ問題です。

パレスチナ問題の根源は「2つの悲劇」にあるとも言われています。
1つは、ユダヤ人が2000年の長い歴史の中で世界に離散し、迫害を受けてきた悲劇です。
やっとの思いで悲願の国(=イスラエル)をつくり、それを死守していきたい、二度と自分たちが迫害されるような歴史に戻りたくない。
そんな、私たちには想像もつかないぐらいの強い思いをユダヤ人はもっています。
もう1つは、パレスチナの地に根を下ろしていた70万人が、イスラエルの建国で故郷を追われたという、パレスチナ人の悲劇です。
離散したユダヤ人が戻って国をつくったことで、今度はパレスチナ人が離散する。
いまパレスチナ人が住んでいるのは、ヨルダン川西岸とガザ地区というところです。国にはなれないまま、イスラエルの占領下におかれているのが現状です。周辺の国にも多くが難民として暮らしているんです。
ガザ地区は、日本の種子島ほどの面積に約200万人が住んでいます。
ものすごく人口密度が高い。高い塀やフェンスで囲まれ、人やモノの厳しい封鎖が続いていることから「天井のない監獄」とも呼ばれています。

イスラエルと武力衝突があると、空爆を受けて亡くなる人もたくさんいるし、地域一帯が瓦礫になって、住宅や道路、水道などのインフラも破壊されます。
一方、ヨルダン川西岸は完全な自由はないものの、今はイスラエルから物資やお金が入り、許可があればイスラエル側に働きに出ることもできます。
最近では、ショッピングモールもあるんですよ。
ただ、ヨルダン川西岸には入植地という問題があります。
パレスチナは、イスラエルの占領下にあると言いましたが、そこにユダヤ人が住み着いてイスラエルの土地として既成事実化したのが入植地です。
ヨルダン川西岸を中心に約130か所あり、40万人のユダヤ人入植者が住んでいるといわれています。
ひとたび居座ると、立ち退くことはありません。
パレスチナ問題は、局所的な場所で、2つの悲劇がぶつかり合っているように見えますが、実はイスラエルの背後にはアメリカが、パレスチナにはアラブ・イスラム世界がある。
世界の大きな対立の最前線みたいになってしまっていて、未だに解決が難しい状況が続いているんです。




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