ドイツ・ベルリン、1か月いくらで生活できる?

PHOTO:最近東京にも上陸した"Freddy Leck"ウォッシュサロンのベルリン店

最近はスタートアップやアーティストの移住先として注目され、急成長を遂げているベルリンですが、一方で移民・難民の問題が深刻化したり、ドイツの中でもデュッセルドルフやハンブルグなどの他の都市に比べて貧しく、首都でありながら生活保護受給率No.1というのが現状です。

そんな何かと話題のベルリンに3年前より住んでいますが、まだまだ物価が安く、工夫次第で生活費は結構抑えられています。

また、エコやエシカル、リサイクルがキーワードのサービスが進んでいるので、楽しく利用しながら生活をしています。

1.「食費:200ユーロ」
2.「日用品とファッション: 50ユーロ」
3.「交際費:30ユーロ」
4.「ケータイ代:15ユーロ」
5.「交通費:60ユーロ」
6.「家賃・水光熱費:500ユーロ」
7.「健康保険:60ユーロ」
8. まとめ

1.「食費:200ユーロ」


PHOTO:毎週開催されるマーケットではお芋専門のワゴンも並びます。

東京で生活していた頃より簡単に家計簿を毎月つけていますが、一番劇的に変わったのがこの食費項目です。

まず、圧倒的に外食の機会が減りました。というのもこちらでは家族や友人が集まるときはホームパーティーが主流。

各自得意料理やワインを持ち寄ったり、みんなで作りながらゆっくりできるのも嬉しいし、お財布にも優しい。スーパーにもお総菜や手頃なテイクアウトが充実していない分、自然と自炊が基本になりました。今では同居人とふたりで月に200ユーロ(約26,000円)以下で済んでいます。

スーパーや定期的に出ているマーケットでは野菜や果物も安くて新鮮、ビオスーパーもあちこちにあります。有機栽培のものでも日本に比べて比較的安いので、ほんの少しの意識でデイリーに利用しています。

ちなみに、ドイツではビオ認証の基準マークが5つに分かれています。審査が厳しいマークのものほど値段が高くはなりますが、やみくもにビオだからと安心して疑わないドイツ人の気質が垣間見えますね。

例えば、

にんじん(1kg)      0.7ユーロ(約90円)

じゃがいも(ビオ、1.5kg) 1.7ユーロ(約220円)

牛乳(ビオ、1L)      1ユーロ(約130円)

ドイツの消費税は通常の19%のほか、「軽減税」といって日常生活に必要な食料品や本などは7%になる制度があります。レシートにも"A"“B"で税率別に表示がされています。

ベルリンではベジタリアンやビーガン、グルテンフリーの食材も豊富です。

カフェやレストランでも、必ずと言っていいほどベジタリアンやビーガン向けのメニューがあり、例えばコーヒーに入れるミルクも豆乳は当たり前、ラクトフリーやココナッツ、ライスミルクまで選べます。

またベルリンはトルコ、ロシア、イタリアやアジアの移民が多い都市なので、各国のマーケットやスーパーがあり、レストランも国際色豊か。日本じゃなかなか手に入らないエキゾチックな食材やスパイスをゲットできます。

アジアンスーパーもあちこちにあるので基本的には困りませんが、納豆が日本の3倍もするので最近は同居人と納豆に始まり、味噌やぬか漬けまで始めました。

なかなか日本でも手をつけない自家製発酵食品にはまり、友人と楽しく情報交換をしています。

外食費用は月に50ユーロ(約6,500円)ほどです。

レストランは一流からリーズナブルなものまで揃い、お財布事情にあわせて楽しめます。そんなに贅沢しなければレストランで一度の食事で20~30ユーロほど、カフェでコーヒーとケーキを頼んで5~7ユーロ。ベルリンのソウルフードのケバブは3ユーロ。テイクアウトのイタリアンピザは2.5ユーロ。

ビールはスーパーでなんと0.5ユーロ、お水より安く手に入ります。種類も豊富で安いとくれば、ビール党にはたまりませんね!

エコ先進国の一面としては、賞味期限切れになった商品を売るお店や、廃棄食品を定期的に無料で配る団体やフェスティバルの開催もあります。


PHOTO:"REFUGIO BERLIN" 難民のためのシェアハウス兼カフェ、イベントスペース。週末にはクオリティの高いシリア料理が楽しめます。

2.「日用品とファッション: 50ユーロ」

ドイツではプラスチックや過剰なパッキングを嫌がるため、どんなコワモテのお兄さんも基本的にエコバッグを常備しています。

反対に新品や包装が大好きな私たちの国民性をよくドイツの友人にもからかわれますが、日本一時帰国中にお店で一体どれくらいプラスチックの袋をつけてくれるのか試してみたところ、東京で1ヶ月滞在をしているうちにもあまりに毎日たくさんもらうので実験とは言え次第に辛くなり、しまいにはエコバッグを持ち出して断念。

ドイツにはPfand(プファンド)という制度があり、リサイクルできるペットボトルやビール瓶にはあらかじめボトル代が含まれていて、スーパーの専用機械に戻すとそのプファンド分が戻ってくるというシステムがあります。

レジに持っていくと、換金または買い物分から差し引いてくれます。私もよくおうちに溜まった瓶を集めて持って行き、それでエコ洗剤を買ったりしています。

昔、日本でも空き缶のプルタブを集めるのをよく見ましたが、ベルリンではそれで生計を立てている人も多くいるようです。種類にもよりますが、1本8セント~25セントにもなるので、スーパーの機械の前にはいつも長蛇の列。地下鉄や街中に捨ててある瓶を漁っている姿を毎日のように見かけます。

また、空き瓶を持ち込んで洗剤や小麦、ナッツ類など欲しい分だけ買える量り売りのお店もあります。

日本人は商品を買う、つまり消費行為が好きなのに対して、ドイツ人はそれを買うかどうか半年ぐらい平気で悩むその時間が好きだと聞いたことがあります。

ドイツで暮らすようになってからは本当に必要なものしかなるべく買わなくなりました。メイクもファッションも年々ナチュラルになっています。

新しい服も滅多に買わなくなり、ファッションスタジオで働いた時に割引で買ったり、フリマでたまにかわいいビンテージを見つけたり、またしばらく着なくなった服はリサイクルショップに売ったりして、定期的に自分のワードローブの見直しをしています。

素材やそのプロダクトの製造過程に注目し、自分が良いと思うもの、心地よいものを選ぶようになりました。ドイツ人の”良いものを大切に直しながら長く使う”暮らしぶりに共感しています。

日本から来た当初は想像以上にアナログで驚きましたが、なんでも簡単に手に入らない分自分で作ったり工夫する精神が培われ、今では簡単な家具や小物を作ったりとDIYも楽しんでいます。


PHOTO:店主のDIY感たっぷりなレコードショップ。

3.「交際費:30ユーロ」

とにかくイベントが毎日のようにあちこちで開かれるベルリンですが、ほとんどが入場料フリー。

夜に繰り出すクラバーも基本的にはビール代しか握りしめていません。10ユーロもあれば十分、というノリです。

世界最高峰と言われるテクノクラブでも、18ユーロで金曜の夜から月曜の朝まで遊べます。

ライブイベントはドネーションシステムが多く、日本ではチケット代が高いアーティストもこちらではベルリン価格。

日本のように居酒屋で長時間過ごしたり、はしご文化がないので小銭で事足りてしまうのです。

普段はセーブして、アウトドアや旅行にお金をかける人が多い印象です。家族との時間を大切にするドイツ人らしいですね。

4.「ケータイ代:15ユーロ」

私はSIMフリーのスマホを使用しています。

街中にはwi-fiフリースポットも多く、月に一度15ユーロ分チャージすれば十分に電話も動画も楽しめます。

節約のために普段は電話用のガラケーしか持ち歩かない友人も多くいます。

常にケータイを触らなくてもいいように、目的地までの経路やその日の予定に合わせて事前に必要な情報を調べる癖がつき、メリハリがついて良かったと思います。

5.「交通費:60ユーロ」

電車代は電車・バス・トラム乗り放題のマンスリーチケットが80ユーロ、10時からの利用であれば割引されて60ユーロです。

冬はもっぱら電車を利用しますが、夏は自転車が大活躍します。

街中はフラットな地形のため走りやすく、また移動時間も電車とそれほど変わりません。

基本的に駐輪場がないので何処でも停めていますが、よくイタズラをされるのであまり素敵な自転車には乗りません。

また、アプリを使用した自転車や車のシェアサービスがあります。

どこにでもシェアの精神が一貫していて、ベルリンを好きな理由のひとつになっています。

6.「家賃・水光熱費:500ユーロ」

最近移民や外資が増えたことにより、リノベーションを経たのちに値上げが相次ぎ、全体的に家賃が高騰しています。

私が来た3年前はシェアフラットで相場が300~400ユーロだったのが、今では400代後半~しかありません。

加えて当初から家探しが困難だったのに拍車がかかり、ようやく見つかっても期限付きで3か月ごとに転々としている状態。

私も昨年は4回引越しを経験しました。

あるニュースでは人気エリアもあいまって、物件の内覧会に800人が並んだという程です。。

現在は水光熱、ネット代含み一人500ユーロの物件に住んでいます。

7.「健康保険:60ユーロ」

ドイツでは国民全員に健康保険の加入が義務付けられていて会社もプランもピンキリですが、私はフリーランスのためのプランに加入しています。

月60ユーロというとなかでも安い方ですが、きちんとサポートをしてくれて年に何度か病院も利用しています。

またドイツには「KSK(芸術家社会保険)」といって、会社に属さないアーティストにとって社会保障の半分をKSKが負担してくれるというありがたい制度があります。

この制度についてはまた改めてご紹介します。

まとめ

というわけで、私はベルリンで月1000ユーロ(約13万円)以下で暮らしています。

日本にいる時はお金の使い方についてあまり真剣に考えたことがありませんでしたが、ドイツで暮らすようになってからはまわりの友人から良い刺激を受け、自分の生活を見直す時間と余裕ができたことが一番の収穫でした。

シェアやエシカルな考え方に基づいたスタートアップも次々に誕生し、そういった固定概念にとらわれない自由でクリエイティブな発想に触れながら、お金に縛られず、自分で価値を決められることが今のベルリンの生活においてトレーニングになっています。


PHOTO:夏季限定のシェアガーデン。ここで育てたハーブや野菜を使ったレストランも併設しています。

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