見出し画像

【建築】世界一美しいルイジアナ近代美術館

「世界一美しい◯◯◯」
最近よくある宣伝文句だ。ルイジアナ近代美術館も「世界一美しい美術館」と呼ばれており、ググるとこの美術館がヒットする。また海外の旅行ガイドでも「1,000 Places to See Before You Die」に選ばれている。本当だろうか? これは是非確かめなくては!


美術館はコペンハーゲンから電車で30分のHumlebækという街にある。5月のHumlebækはまだ寒かったが、駅前には桜が咲いていた。

画像1


ルイジアナ近代美術館は、1958年にKnud W. Jensenによって設立された。彼はVilhelm WohlertとJørgen Boという二人の建築家と共に、古い邸宅のある美しいこの地を美術館の敷地として選んだ。ルイジアナという名称は、その邸宅の持ち主であったAlexander Brunの3人の妻の愛称であるLouiseに由来している。

美術館は元からある邸宅を本館とし、広い庭を周遊するようにパビリオンを増築し、それらを回廊で結んでいる。庭から本館を見ると、 自然を生かした庭に対して建物が主張し過ぎることなく風景に調和していることが分かる。

画像2

そしてパビリオンをつなぐガラスの回廊は高さを抑え、周りの景観を損なわないようにしている。

画像3


庭は彫刻庭園となっている。回廊にはあちこちに出入口があるので、気に入った作品があれば、直ぐ庭に出られるのだ。こちらはマックス・エルンスト。

画像17

ジャン・デュビュッフェ

画像5

ジャン・アルプ

画像6

一目で分かるアレクサンダー ・カルダー。

画像7

他にもヘンリー・ムーア、ルイーズ・ブルジョワ、ミロなどの作品が多数!


彫刻だけでなく、庭も隅々まで良く手入れされて、快適に過ごすことが出来る!
風景がそのものが絵画であり彫刻でありインスタレーションでもある。なので鑑賞の合間に庭で寝転がってノンビリすることもこの美術館の楽しみ方の一つなのだ。

画像8

画像9

画像10


作品について言えば、素晴らしいのはノースウィングにあるジャコメッティのコレクションだ。ジャコメッティの作品は世界中で展示されているが、ここまで美しく展示された美術館を私は他に知らない。

画像22

画像12

白眉はジャコメッティ・ルーム。それだけでも充分に美しい絵画のような窓を背景に、彫刻のシルエットが浮かび上がる。彫刻だけでなく、展示空間そのものが一つの作品となっている。

画像17

画像17


草間彌生さんのインスタレーションもハイライトの一つ。
Gleaming Lights of the Soulsと呼ばれる真っ暗な小部屋は床・壁・天井が鏡で覆われ、天井からはいくつものライトがぶら下がっている。4m四方の狭い空間ながら、無限にどこまでも続いているように見える。

画像15

画像18


歩くのに疲れたら、サウスウィングでオーレスン海峡を望みながら休憩。遠く対岸にはスウェーデンが見える。

画像16


最後に紹介するのは、眺望が最高なカフェ。食事もおいしいが、青い海の水平線を見ながらの食事やコーヒーは格別である。
ちなみに私が注文したのはサーモンバーガー。隣り合わせた見知らぬお客さんからも「Good choice !」とのことだった。

画像17


今回「建築探訪」として紹介したが、この美術館は実は建物そのものは目立たない。公式サイトによれば、設計のコンセプトとして「coherence(統一性)」と「gentleness(穏やかさ)」を挙げている。そう、この美術館は建物・庭園・自然・海が一体となった景観が美しいのだ。

さらには日本の建築様式も取り入れているそうだ。具体的にどこにそれが表れているのかは分からないが、日本人の私の琴線に何となく触れるモノがあることも確かであった。

そして「世界一美しい美術館」という評判は、ウソでも誇張でもなかった。私が自信を持ってお薦めする美術館であると言える。(ま、パンピーサラリーマンの私が推薦したところで何の影響もないが...)


● おまけ
実はコペンハーゲンからの道中、途中下車してオードロップゴー美術館にも立ち寄った。残念ながら長期休館中であったが(予め調べて分かっていた)、美しい庭園とザハによる増築棟は見学することが出来た。

画像22

画像20

画像22

画像21





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?