【街】北極圏でもキッコーマン! Vardø
ノルウェー最北東の町 Vardø(ヴァードー)は北緯70度の北極圏にある。日本に住む私からすれば、北極圏と聞くだけで「遠ぉっ!」と思ってしまう場所である。
人口は約2,000人(2020年)。ちょっと寂しい町である。
そんなVardøを訪れたのは、建築家ピーター・ズントーによる「魔女裁判の犠牲者たちのための記念館」を見学するためであったが、せっかくなので、今後訪れる人のためにも備忘録として記しておく。
◆ 気候
北大西洋海流(暖流)が流れるバレンツ海に面していることもあり、北極圏の割に寒くはない。冬の平均気温は-5℃、夏の平均気温は10℃程度である。
雪はそれなりに降るようで、私が訪れた4月末の気温は5℃くらいだが、残雪はまだ多かった。
◆ 交通
空港があり、1日に数便、周辺の町と結んでいる。
アイランドホッピングのような便もあり、例えば私はKirkenesという町から搭乗し、飛行時間わずか15分でVardøに着いたのだが、飛行機が停止しても誰も降りようとしなかった。そう、このまま次の町に向かうのである。それに気付いた私は、慌てて荷物を持って飛び降りた。
空港周辺は見事に何もない!
町は空港から数km離れた島にある。
島とは海底トンネルで結ばれている。空港からの移動手段はタクシーを呼ぶか、ヒッチハイクか、歩くか(←私)である。
ちなみに私が訪れた2017年も現在(2021年)も、土曜日は航空便がない。それどころか、バスも船便もない。土曜日は町から出る術がないのだ。
実は到着したのは金曜日。当初の計画では、1泊して翌日次の目的地に向かう予定だったが、結局日曜日まで滞在することとなった。
お陰でズントー建築をたっぷりと堪能することができた。(ヒマともいう)
◆ ホテル
ちゃんとホテルはあるので安心してほしい。他に何軒かのゲストハウスもある。
私が泊まったのはVardø Hotel。そのままの名前である。まあ可もなく不可もなく普通であった。
◆ 名所・見どころ
かつては漁業や水産加工が盛んであったが、かなり衰退しているらしい。近年は観光にも力を入れているようだ。とは言え全体的に地味であるのは否めない。
海鳥の観察
北極圏の海鳥の観察地として有名らしい。確かに島のどこでもよく見かけた。
町外れにあるのは海鳥の観察小屋。
灯台ツアー
少し離れた島(真ん中右)に灯台があり、海鳥の観察も含めたツアーがあるようだ。しかしシーズンオフでクローズだった。
ストリートアート
町中を歩いていると、所々でストリートアートを見かけた。2012年にアートフェスが開催されたらしく、その名残らしい。
魔女裁判の犠牲者たちのための記念館
以前紹介したこのメモリアルも主要な見どころの一つである。
Globus II レーダー
観光施設ではないが、小高い丘の上にレーダーが設置されている。
ロシアが近いことから軍事目的のためのものではないか?という噂があるようだ。
近くまで行けるのだが、写真撮影禁止のマークがあったので、代わりにそこから撮った町を見下ろす写真を載せておく。
この他に昔の要塞を利用した博物館や郷土資料館もあるが、どちらもタイミング悪く、クローズしていた。(ま、あまり興味もなかった)
また9月から4月にかけてはオーロラが見られるようだ。
これは魅力的であるが、滞在中の4月末の日没は21:30頃、日の出は02:30頃。太陽は沈むが、完全に暗くなることはない。真夜中でもこの明るさである。
この明るさでは、残念ながらオーロラは絶対に見られないのだ。
◆ 街の風景
前述の通りヒマだったので、ひたすら町を歩き回った。
町のメインストリート。
住宅街。
人が写っていないが、そのタイミングを狙ったのではなく、そもそも人がほとんど歩いていないのである。
あまりにヒマなので、今度は町外れに向かって歩き始めた。
誰も見かけないのだが、足跡がこんなにあるのは何故だろう?
何かある!
どうやらアート作品のようだ。
後で調べたところでは、”Drakkar/Leviathan”という海、神話、船、歴史、木、クジラの物語であり、北極圏、人間、自然への賛歌らしい。(よく分からない...)
この島に来て何か違和感があると思っていたのだが、樹木を全く見かけない。
北極圏の地では、寒さと強風で木が成長しないらしい。
ホテルに戻る途中、スーパーマーケットに立ち寄った。
この店で驚く発見があった。
こんな最果ての田舎町にも(失礼)、米、海苔、わさび、醤油という寿司セットがある。特に醤油の充実ぶりはどうよ! さすがキッコーマンである!
2日間の滞在の後、Vardøからはフェリーで”脱出”した。
ちなみにこのフェリー、ベルゲンからKirkenesまでのノルウェー西海岸を一週間かけて航行する定期便である。
私は半日の乗船であったが、時間に余裕のある旅行者はこのフェリーでゆっくり船旅をする人も多いらしい。なので日本人を含めて、数時間の滞在であれば、このVardøを訪れる人は意外に少なくない。(ただし泊まる人は少ない)
あとがき
私のnoteでは比較的マイナーな建築を取り上げることが多いが、今回はさらにマイナーで誰も知らないであろうVardøという町の紹介である。そのため魔女裁判の犠牲者たちのための記念館の記事と併せて、Vardøについて最も詳しい旅行記だという自負はある。
しかし同時に「こんな記事誰が読むんだ?」と思いながら書いてきた。(書くことが楽しいので、誰にも読んでもらえなくても全く気にはしないが)
ということで、ここまで読んでいた方がいらしゃいましたら、御礼申し上げます。
ありがとうございました。
あ、もちろん最終回ではないですよ。今後もnoteを書き続けます。
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