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第1回:レゲエとサボタージュな音楽

Spotify Podcastの新番組「Happy Sad Song」。
サウンドクリエイターの草野洋秋とトリリンガル・シンガーのジナが世界中の様々な音楽を紹介してゆきます。

今回ご紹介する楽曲

  1. Our day will come / Amy winehouse

  2. Lively up yourself / Bob marley & the Wailers

  3. Baby / Os mutantes

  4. Lovely / Billie eilish (with Khalid)


1.Our day will come / Amy winehouse

エイミー・ワインハウスによるカバー楽曲。
この曲のオリジナルは1963年に全米一位を取ったルビー&ザ・ロマンティック。ナンシー・ウィルソン、カーペンターズ、ダリルホール等、沢山のミュージシャンがこの曲をカバーしています。
このバージョンは、エイミー・ワインハウスの1stアルバム「Frank」の収録時にレコーディングされたものなのですが、その時にはリリースされず、彼女の死後に発売されたレアトラック集である「Lioness: Hidden Treasures」に収録されました。
楽曲の雰囲気が明るい希望を歌ったものであるために、生前二枚の優れたアルバムを残して、彼女が若くして亡くなってしまった事が切なく感じられます。

個人的にはソウルミュージックへの傾倒をルックス(60年代の女性ソウルミュージシャンのよう)と共にはっきり打ち出した2ndアルバム「Back to black」が好みでした。全体的にビンテージ感と温かみのあるドラムビートの上に、往年のモータウンやスタックスレコードを彷彿させるソウルミュージックが展開しているのが魅力です。ライブアルバム「At The BBC」を聴くと、エイミーが本当に素晴らしいヴォーカリストだったのかがよくわかります。

2.Lively up yourself / Bob marley & the Wailers

もともとはBob marley & the wailersが1974年リリースしたアルバム「natty dread」という作品に収録されている一曲。ここでご紹介するのは1975年のライブアルバム、その名も「live」という作品に入っているものです。
オリジナルのバージョンよりもライブ版は曲の速度が結構早くて、ロックな勢いが感じられる一曲となっております。
曲の内容は「元気だしていこうぜ」「うじうじするなよ、レゲエは最高だぜ」みたいな事を歌っていますね。
ボブ・マーリーは1978年に行われたライブコンサート(ワン・ラブ・ピース・コンサート)で、敵対する政治家達(ジャマイカ人民国家党のマイケル・マンリーとジャマイカ労働党のエドワード・シアガ)をステージに呼び寄せて、二人に和解の握手をさせています。
1976年のコンサート・リハーサル時には武装集団から銃撃を身体に受ける事件が発生しましたが、政治的な枠組みを越えて平和を歌い続けたミュージシャンでした。

3.Baby / Os Mutantes

ブラジルのビートルズと言われていたオス・ムタンチスというバンドの曲で、1970年頃の作品になります。
ブラジルでは60年代にトロピカリズム運動という音楽を含めたアート運動が盛り上がっていて、ブラジルから生まれた音楽ジャンルであるボサノヴァと、ビートルズ以降のロック両方から影響を受けたミュージシャンが沢山出てくる中で、彼らもそのうちの一つのバンドでした。
放送時に紹介しました「baby」はセルフカバーのバージョンで、アコースティックで涼し気なアレンジになっていますが、1968年の1stアルバム「Os Mutantes」でもこの曲「baby」が収録されています。1stアルバムのバージョンではエレクトリック・ギターにトレモロやディレイ等のエフェクトが多めにかけられていたり、ハモンドオルガンらしき音色が出てきたりと、英米のサイケデリックロックの影響を多分に受けています。時代的にビートルズの影響が世界中の様々な国に伝播していった様子を感じさせます。 
初めてムタンチスを聴いたのは学生の頃だったのですが、ニルヴァーナのカート・コバーンが好きなバンドとして挙げていたのがきっかけでした。彼はインディポップなバンドであるヴァセリンズの曲をカバーしていたり、(「Son of a gun」や「Molly’s lips」をカバーしている)ポップなものを好む音楽嗜好は興味深いです。

4.Lovely / Billie eilish (with Khalid)

Netflixドラマシリーズ「13 reasons why」のシーズン2のサウンドトラックのリードシングルとしてリリースされた楽曲です。
歌の内容は苦しいうつ状態を乗り越えようとする様子が描かれています。
ビリー・アイリッシュは十代の早い時期から曲を作り始めていて、2019年にリリースされた1stアルバム「When We All Fall Asleep, Where Do We Go?」はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアでチャートの1位を取りました。
ビリーのお兄さんであるフィニアス・オコネル(プロデューサー、楽器プレイヤー、作曲家でもある)と共に活動をしています。


[Happy Sad / 草野洋秋 プロフィール]

Happy Sad ホームページ:
- HAPPY SAD / Sound designer Hiroaki Kusano (happysadsong.com)

作曲作詞、歌、楽器演奏、録音、ミックスまで一人で行うというスタイルで活動する サウンドデザイナー/シンガーソングライター。2013年、表参道ヒルズにて開催されたMTVとLenovo 主催のクリエイターコンテスト「CO:LAB」にて、自作曲 「Everyday」が国内DJ部門優勝/ファイナリストに選出される。

並行してゲーム作品のサウンドクリエイター職として50作品以上のタイトルにサウンドディレクションとサウンド制作に参加している。
(Netease Games, Funplus, NHN Playart株式会社, 株式会社スタジオキング,
株式会社ノイジークローク等のゲームパブリッシャーやサウンド制作会社においてサウンドディレクター/サウンドデザイナーとして数多くのコンテンツ制作に関わる)

近年では、CM広告音楽やTV番組BGM、海外アーティストの楽曲リミックス制作等にも参加し活動の幅を広げている。BGMや効果音の制作、映像に対して音を付けるMA作業、そして作品全体をどのような音にするかを考案 / 映像側や企画側の要望をヒアリングして音に落とし込むというサウンドディレクション業務まで包括的にサウンドを取り扱っている。

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