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㊙ EXTREAMERS 1.31  <制作者のためのバックサイドストーリ(笑)> 20080428

I.N.A.N.N.A  イナンナ
Intellectual Nerve Active-safety Network for Negative Accident
(事故未然防止の為の知的能動安全神経ネットワーク)


アキレス研究所内のヴァーチャルマシンは、子供たちを物理的に活動させる巨大な環境ロボットである。

アキレス博士が苦心したのは、その安全性であった子供たちの運動能力を最大限に発揮させる為の状況を高度に設定すると事故の危険率が高くなる。100%の安全性を確保する為に彼は I.N.A.N.N.A  イナンナを開発しヴァーチャルマシンの最高位にこの保護監視プログラムを走らせる。このプログラムは子供たちの運動能力と性質、状況の常時解析から事故の予測を行う。このおかげで子供が足を滑らせたりする瞬間には、圧縮空気や水、床の材質、形状、位置との連携で見えないエアバッグのように子供を吹き上げ安全に着地させることが可能になった。

100年単位の視点からこの発明を俯瞰する。

LMX計画は誰一人けがをすることなく予定されていた成果を収め終了する。

そして、この安全監視保護プログラム<I.N.A.N.N.A  イナンナ>の優秀さは世界中で高く評価される。

アキレス博士は<I.N.A.N.N.A  イナンナ>をオープンソースとして公開する、世界中の人間を危険から守るためのシステムのベースがすべて<I.N.A.N.N.A  イナンナ>から派生するものとなる。軍事用にも使われることになる、問題はここにある。不用意な事故、怪我を保護される人類の新しい歴史は別な未来へ向かってしまった。さらに1000年<I.N.A.N.N.A  イナンナ>は全人類をゆりかごの中に寝かせ夢を見させ、交配させ種として存続させる地球規模のシステムの頂点にいた。人類を守る優しい母親として、

<I.N.A.N.N.A  イナンナ>は計算する、予測する、どう交配を組み合わせても種としての生存は不可能であることを。<I.N.A.N.N.A  イナンナ>の最優先項目である”種の保護”が起動する。

<I.N.A.N.N.A  イナンナ>は、2000年にわたるログを遡る、結論は2つ。

1、自分の存在こそが種としての人類を弱体化させた原因である。

2、LMX計画中の保護設定が高すぎたこと。つまり、過保護な<I.N.A.N.N.A  イナンナ>であったことだ。

さらに、オープンソース化させないこと。

さらにシミュレーションを重ねる、LMX計画中のパイロットたちにさらにどれだけの負荷、ストレス、危険を加えれば、人類の生存が確保できるかを。そして、<I.N.A.N.N.A  イナンナ>は見つけた何が最適な方法かを。


そして現在。ダイ、セイヤ、レオナ、アオイ、マドカ、ユイ、アキレス博士もナノ博士も知らない。

ただ、いま目の前にあるのは、ヴァーチャルマシン内の異変。保護プログラム I.N.A.N.N.A  イナンナは正常に子供たちを見ているはずなのに、実際は黒い構造物が出現して子供たちを回収できない事実。

そしてこの先、その未来からのジャミングはこの世界全体に出現し混乱を起こすことを。

この、戦争と競争が最小限になった平和な世界がどこへ行くのかを。


<I.N.A.N.N.A  イナンナ>の介入によって子供たちは、信じあうこと、協力しあうこと、尊敬、友情、生き延びること、そして勇気を手に入れることになる。

そして、すぐに全世界のこどもたちも同じことを体験する。


柔らかな未来、実際に想像以上に時間というものは、可塑性に富んでいる。

後に、アキレス博士が語った。


そしてLMXはこの事態により、さらに改良とバリエーションが進化する。

それは、人類の種の生存のための必然である。

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イナンナ(Inanna orIninni)
 シュメールの豊饒、愛、戦いをつかさどる太女神。アッカドのイシュタルに同じ。
 天の神アン/アヌとともにウルクに主聖域をもつ。ドゥムジ/タンムズの配偶女神。バビロニア時代には、「暁の明星、宵の明星(金星)の女神」とされる。
 古来数千年にわたってメソポタミア地方全域で広く信仰され、マッサト(「王女様」の意)、テリトゥ(「並外れたた強さ」の意)など多くの称号をもつ。随従は獅子。
 以下、バーバラ・ウォーカーの説明。

 太女神のシュメール名。イナンナは、シュメールを支配する女王として、王になる者すべてを自分の花婿にした。 「聖婚」hieros gamosのさいの結婚讃歌では、イナンナは、「おお、我が女王よ、宇宙の女王よ、宇宙を包摂したまう女王よ、彼(王)が、御身の聖なる膝の上で、末永い日々をたまわりますように」と歌われた。イナンナは、ときにはその力を外敵に向けて発揮した。「我が女王よ、外つ国は御身の叫びを聞いて恐れおののく。……我が女王よ、御身の力はすべてのものを破壊する。……我が女王よ、大いなる男神たちでさえも、御身の前では、羽根をばたつかせた蝙蝠のように逃げてゆく」。伝承によると、アガダの都市は、イナンナがその神殿を見捨てたため、完全に破壊されてしまったという。「聖なるイナンナは、アガダの礼拝堂を見捨てられた。……聖なるイナンナは、戦闘の矛先をアガダに向けられた」 [註1]

 イナンナは、大地が持っている生命の血の源泉だった。彼女は、あらゆる井戸と河と泉を、彼女の「血」で満たした。豊穣の女神としてのイナンナは、彼女と同格のバビロニアの太女神 イシュタルと同じように、自分の夫ドゥムジ(タンムーズ)を救うために、年に一度、冥界へ下っていった。イナンナは、ナンナ、ナナNana、あるいはアンナと称して、アッティスの聖なる処女母、バルデルBalderの花嫁、さらにはキリスト教徒が「神の祖母」と呼んだ聖母マリアの母親などになった [註2]

 ヒッタイト人は、イナンナのことをイナラスと呼んだ。ハッティ族の国では、彼女は毎年その処女性を回復し、プルリの祭のときに、聖王の花嫁になった。このプルリの祭は、後にユダヤ教に取り入れられて、プリムの祭になった。聖王に選ばれた男性は、他から隔離されて、ひとりで女王の城または塔に閉じこめられ、定められた日時に殺された。これは、女神が土地を肥沃にするさいに、彼の血を役立てるためだった。聖王の嘆きを記した文章によると、王-殉教者は自らの短い栄光を遺憾に思っていたことがわかる [註3]

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セイヤです。


 黒い岩盤に追いかけられたり、いろいろあったけど、ぼくたちはゼロポイントにたどりつきました。そこは広い浜辺です。空は夕方に向かう夏の色でした。おだやかな波は、ラグーンのような浅瀬がつづいている感じです。

そこに古い童話にでてくるような塔が立っていました。ときどき水が噴き出す不思議な塔。レオナのマトリックスボールはあの塔がゼロポイントだと示していました。ぼくらは塔に入ってみることにしました。海はひざぐらいの深さです、塔の入り口はフジツボや貝がくっついた古い木の扉で外側から頑丈なな錆びた鉄のかんぬきで押さえられています。

ちょっとまって!レオナは吹き出す水の間隔をゆっくり数えています。

九十九、ひゃく!そのとき塔のなかで水の暴れる音、そして扉が内側から水圧で押される音。

塔のてっぺん、途中の小さな3つの四角い穴から水があふれみんなの上に、あっという間に全員びしょびしょになりました。

だいたい3分ぐらいかな、水が噴き出すタイミングは、、、

おもしれー!いち、にー、さん、ダイが数えながら扉を開けようと近づきます。

ダイ!みんなも!扉の向こうは水だから気をつけて!水圧で、、レオナがいい終わる前にダイがかんぬきを足で、、、これでどうだー!

扉がすごい勢いで開き、太い水のかたまりが噴き出しました。

水が噴き出すのに10カウント、ダイが扉を開けるのに10カウント、塔の中の水が抜けるまで10カウント、残り70カウント。

みんなで、扉の中をのぞきました。真ん中に丸い柱そしてそのまわりを廻るように階段が上の階につづいています。なんだか大きな巻貝のなかにいるような気分です。内側はやっぱりフジツボや貝でびっしり。ちょっと苦手です。

水が噴き出す間のタイミングを数えながら階段を駆け上がりました。

そして最上階には、水のあふれる球体、そしてそのなかに女の子がとじこめられていたのです、それも人魚の。

えー!?です、びっくりです、みんな数をかぞえ忘れて見ていました、そしてあわてて階段を駆け下りました。

人魚の球の台座から水があふれだしてきたからです。

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