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ブラック部活は撲滅させてはいけない #69

私は今年で34歳になります。
ちょうど、昭和臭い時代と現代の狭間を生きてきました。
ケイタイのない時代を知る最後の世代です。

部活動に関わるサービスを準備中なので、部活動における現状を教員でもない第三者の立場から説明してみようと思います。

部活は理不尽

今では多少緩和されているのでしょうが、私の学生時代は弱小部活にも関わらず、顧問や先輩からの理不尽なしごきはありました。

当時は、全く疑問を持たず、部活とはそういうものだという感覚でしたが、この時代、社会人になっても"そのノリ"を続けている人を見ると引いてしまいます。

でも、なんで学生時代は部活を一生懸命やるべきだという雰囲気が未だにあるのでしょうか。

部活指導はボランティア

例えば、中学校学習指導要領(PDF)によると、部活に対しての記載はたったこれだけです。教員がどこまで責任を持つべきか明記はされていません。
(ちなみに、平成29年度改定の新学習指導要領です。旧学習指導要領には部活動の記載は探せませんでした。)

生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化,科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵かん養等,学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。

国や校長が命令している業務ではないので、部活動指導はほぼボランティアといえると思います。

運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(PDF)にも書かれている通り、社会情勢も変わりつつあるなか、教員が部活指導員としてボランティアで部活顧問を務めることは限界があります。

顧問は未経験者も多い

しかも、学校運動部活動指導者の実態に関する調査(PDF)によると、中高の約4割の顧問は保険体育の先生でもなく、競技経験者でもありません。

そこで、もっと事態をややこしくしているのが昭和の熱血教師です。
この方々は、学生時代に部活動を熱心に行って、「部活こそ青春だー」的な考えを持っているので、自ら喜んで部活指導をします。
ただ、経験者と指導者は必ずしもスキルがマッチする訳ではないので、指導と称して体罰をしてしまうのもこのタイプの教員です。

熱血教師を悪く言うつもりは全くありません。
子どもたちと真剣に向き合う先生は、むしろこの時代に必要とされるべきとも思います。
問題は、やる気も経験もない先生方も部活動に巻き込まれているということです。

何のために部活をやるのか

この「何のために」という観点は部活に限らず、学校の先生にはしっかりと考えて子供たちに伝えて欲しいものです。

部活をすると何が得られるのでしょうか。

私の個人的な経験からすると、一言で言うと「チームワーク」なのかと感じます。
仕事においても、組織として結果を出すために、個々が何をすべきかという考え方が必要ですよね。
キツめの部活を経験した人は、この「チームのために、自分が何をすべきか」という感覚を持っている人が多い気がします。

沖縄の項高校野球名門校である興南高校の我喜屋監督はとある講演会でこうおっしゃっていました。

どんなに野球競技としての結果を残そうと、稼げるプロ野球選手になれる人はほとんどいない。
でも、野球で身に着けた礼儀、チームワーク、精神力は、どんな仕事をしても役に立つ。
だから、私は技術力だけでレギュラーを選ばない。

意外とこの観点で指導できている監督は少ないのではないでしょうか。
頭ではわかっていても、つい勝つことに執着して、技術中心で指導や選抜をしているケースが多い気がします。
部活に関わるサービスを作りたいと思ったのは、この我喜屋さんの言葉もきっかけの一つです。

だから部活は無くしてはいけない

あえて、ブラック部活というタイトルを付けましたが、指導のキツイ部活は無くならないで欲しいです。
社会人になると、キツイ練習をみんなで乗り越えるなんてほとんどありません。これらは、机上では学べない学生時代だけの貴重な体験です。

大事なのは、「勝つこと」ではなく「人間力を高めること」を目的とすべきということです。
自ら自分の役割を考え、努力して成長し、責任感をもつ癖がつけば、競技を辞めたとしても必ず役に立ちます。
もちろん、イジメや体罰なんて論外です。

また、有意義な部活を続けるためには、教員が本人の意思に関わらずボランティアで指導させられる現状を一刻も早く打破しないといけません。
ホワイト部活にするまでは時間がかかるでしょうが、新しく始まっている外部指導員の活用や地域のスポーツクラブとの連携がもっと進んでほしいです。

別に部活でなくても良い

最後に結論を捻じ曲げて終わりますが、目的が「人間力を高めること」であれば、別に部活でなくてもいいと思います。
部活に全く楽しさを感じないようであれば、付き合いだけの部活なんてとっとと辞めた方がいいです。

地域のボランティア活動でもいいですし、バイトの方が学べることが多いという学生もいると思います。
そもそも研究職やアーティストなど、チームワークよりも個のスキルを伸ばしたい学生は、一人で黙々と学ぶことも必要だと思います。

貴重な青春時代を無駄にしないためにも、何のために何をやるのか、教員も学生もしっかりと考えて欲しいです。

部活サービスに興味のある方を募集中です

部活などのジュニアスポーツに関わる事業に興味のある方は、是非ご一報ください。
面白いサービス作っていきましょう。

部活顧問をされている教員の方も、お困りごとや改善してほしいことなど、ご意見くださると助かります。

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