見出し画像

定性情報を個別株投資に活かせてますか?


はじめに

個別企業株式投資の学習支援サービスを始めてもうすぐ1ヶ月になります(早い!!)。おかげさまで多くの方にご利用いただき、具体的な目標を決めて定期的な伴走をする形の契約も複数始まっています(いいねやシェアをいただいた方々、本当にありがとうございます。ユーザー方々、楽しく株式投資を上達していきましょう)。
これからは定期的に、セッションでの対話から気づいたこと、考えたことをNoteで共有していきたいと思います。今回は、個別企業の定性情報をどう個別株投資に活かすか、という話です。

きっかけ

先日機会を頂いて個別株投資について、個人投資家の方に向けた対談をさせてもらいました。その際の視聴者の方から、「守屋さんが話していた内容はほとんど全て定性情報だったけど、具体的に定性情報をどう投資に活用したらいいのでしょうか?」という問い合わせをいただきました。「定量情報は(簡単ではないけれど)業績や株価につなげやすい。定性情報はポイントが分かりにくく、何となくになってしまう」というお悩みでした。

定性情報の重要性

当たり前かもしれませんが、ファンダメンタルズ投資を行う上で定性情報は欠かせません。別の言い方をすると、定量分析は有益ですが、定性情報と紐づかない場合には大きな限界があります。企業を氷山に例えた下の図を見てください。

note用氷山モデル

「長期的には株価が業績によって決まる」、と考えるファンダメンタルズ投資では、(将来の)業績は最も重要な要素の一つです。
業績は分かりやすい数字を使って、毎四半期開示されるため、目につきやすく、注目が集まります。しかし図にある通り業績は、商品サービス、日々の業務(オペレーション)、ビジネスモデル、組織・人、ミッション・バリューといった要素に支えられてできています。業績はこれらの要素が生み出す結果にすぎません。
だとすると、将来の業績を一定の精度を持って予想するためには、ベースとなるその他の要素を有機的に繋げて理解する必要があり、それを行うのが定性情報の分析になります。

定性分析の難しさ

一方で、相談者の方が言われた通り、定性的な情報から、将来の業績動向に大きく影響を与える要素を抽出し、整理して予想に活かすのは簡単ではありません。
主に言葉による定性情報は、意味するところがあいまいであることから、受け手が相当注意をして解釈をしないと、発信者の意図とは大きく異なる理解をしてしまう可能性があります。
また、情報量が多くなりがちなため、その中から重要な情報を抽出し、繋ぎ合わせ、より解像度の高い企業理解を構築するためには、たくさんの実践を通じて、慣れることが不可欠です。

整理のフレームワーク

「定性分析は重要だけど難しいですよね」、と言ってしまうと学習支援にならないので、私からは以下のようなフレームワークを意識すると企業の長期投資適性をより良く評価でき、業績予想にもつなげやるくなるというお話をしました。

note用2x3フレームワーク

企業の長期投資適性を理解する上で重要な2つの要素(事業ドメインとビジネスモデル)について、3つの視点(現状/持続性/成長性)から整理する枠組みになっています(ここではそれぞれの要素や視点が何を意味するのかについて細かい説明は省略します)。
なぜこの2つの要素なのかと疑問に思われるかもしれませんが、それは下の図の通り、この2つが(相対的に)変えにくく、評価がしやすく、業績に直結するからです。

note用要素比較

本来であれば、この2つ以外の要素も重要だと私は考えているのですが、多くの変数を入れすぎると複雑になり実用性が下がるため、定性分析に慣れていく段階では、この2つの要素をみるだけで十分に効用があると思っています。
また、なぜ3つの視点なのかというと、過去から続く現在の状況を理解した上で、それが変わってしまう外的・内的要因はないか(持続性)、今後の成長は何によって生まれるか(成長性)、をそれぞれ整理し、繋げて考えることで偏りのない判断ができると考えているからです。

フレームワークの効用

私自身もそういうことがあるのですが、事業ドメインやビジネスモデルの成長性に魅力を感じてしまうと、それ以外の要素を省略して投資したくなりがちです。このような企業の一部に魅かれて投資をすると、後で自分が想定しない変化が起こり、投資判断がぐらついたり、思考停止になってしまうことがあります(逆にすごくうまくいく場合もありますが)。
このフレームワークは、そうした偏りを少なくしてくれます。また、内容を保管しておけば、投資後に振り返って自分の仮説が正しかったか、どこが甘かったかを知り、今後に生かす材料にもなります。
フレームワークのそれぞれの要素について埋めていく上では、既存のポーターの5 forces分析や、PEST分析、プロダクトライフサイクル理論等が活用できると思います。
より詳しい使い方に興味がある方は、下記よりお気軽にご相談ください(どちらから申し込んでいただいてもOKです)。もちろん、この分析方法に関わらず、個別企業株式投資に関するものであれば、疑問・悩みに応じたセッションを実施できます。

現役プロ投資家が日本株式投資の上達をサポートします
https://menta.work/plan/3493
https://coconala.com/services/1661240
https://www.timeticket.jp/items/111997/

企業分析のおすすめの本

個別株投資についての相談で、「おすすめの本はありますか?」という質問をよくいただきます。どこかのタイミングで書籍リストを作りたいなと思っているので、最近改めて投資や企業分析の本を読んでいます。
その中の一冊で、企業分析について解像度高く、プロの投資家が実際にやっていることが伝わる本と出合ったので、紹介させてください。資本コストやバリュエーションモデルの解説の部分は少し難しいかもしれませんが、企業分析については要点がまとまり、しかも具体的な事例の細部にまで踏み込まれていて、企業分析の上達を目指される方にはぴったりだと感じました。

外資系アナリストが本当に使っている ファンダメンタル分析の手法と実例
松下 敏之 (著)、高田 裕 (著)


購入して読んだ後に気が付いたのですが(本当です)、著者のお一人は以前私もお世話になった会社に在籍されていた方のようです。コンテンツが良いなと思って調べてみたら、同じ場で学んだ方だった、というのはなんだか嬉しいです。

今回もお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?