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ニンジャの話 その7 ROI

みなさん大掃除ってしたことありますか? 多分ありますよね。YouTubeなどでとんでもない汚部屋を綺麗にする動画も再生数を稼いでいるようです。是非築150年、母家、長屋門、土蔵合わせて800平米。しかも20年放置されて荒れ放題の家を想像して見てください。そしてそれを家族だけで清掃し、床を治し、屋根を治し、壁を塗り、障子・襖を張り替え、水道・電気・ガスを通すことを考えてみてください。庭の草を抜き、造園し、庭木の手入れをすることも考えてみてください。毎夏、3週間に一度1000坪にもなる周りの田畑の草を刈払機で草刈りすることを考えてみてください。人が住めるようになるまで相当な日数の強制労働が必要なことが容易に想像できるかと思います。まさに私たち家族がやったことはそれでした。

小学生3年生から私の休日は一変しました。マジで車に乗るとお腹が痛くなったことを思い出します。多くの小学生は休日を待ち望んでいたかと思いますが私は平日が安息日でした。

私にとって悪夢ですらあったこの古民家再生プロジェクト。あまりの状況の凄さに当初の目的がなんであったのかを忘れそうなほどでしたが、実は素晴らしい実績をあげておりました。そうです。元々は父の健康の回復のために必要な新しい環境を求めてのスタートでした。そして空気の綺麗な田舎での肉体労働は父の健康に莫大な影響を及ぼしていました。このプロジェクト発動以来、ピッタリと、それはもうピッタリと私の父の入院はストップしたのです。劇的と言っても良いほどです。刀剣探索の過程で見つけた廃屋を直している作業は父に適度な運動とリラックス、そして希望と楽しみを提供していたのでした。真夏にわたしたちが汗まみれになりながら働いて得たものは家族が待ち望んでいた「父の健康」だったのです。

今思えば、これだけで私たちは十分にこの古民家からの恩恵を受けています。250万円と私たちの休日の投資で私たちは元気なお父さんに戻ってきてもらうことができました。なんと素晴らしい投資!! 古民家再生プロジェクトは家族の未来を左右したROIの高いプロジェクトだったのでした。

数年にわたる作業と積み重ねこの家に泊まることができるようになった頃。私は中学生になっておりました。

明日に続く



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