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【まいぶっく10】姉 と 弟~たからものくらべ

2つ下に弟がいる。
近くに同じ年頃の子どもが少なく、二人で遊ぶことも多かった。

「おねえちゃん! おねえちゃん!」と、どこにでもついてくる弟を、とてもかわいがっていた・・・が、「もう、遊んでやらないから」と言って、私の思い通りにしたことも数知れず。

冷や麦を食べるときに必ず起こった「色つき麺の取り合い」の時も、この言葉を使って、色つき麺を自分のものにしたものだ。

「たからものくらべ」というこの本

6歳の姉と4歳の弟が登場。

それぞれもっている「たからもの」を「くらべっこ」したり、「とりかえっこ」したりするというお話。

あらすじを書くと これだけになっちゃうのだが、二人のほのぼのとした会話と、出てくる「たからもの」の素敵さ、そして黒赤青で描かれた本物そっくりな絵で、とても魅力のあるお話となっている。  

6歳と4歳の「たからもの」って どんなもの?

赤ちゃんのときの足形、貝がら、銀行でもらったゾウの貯金箱、グリコのおまけ、ビールの王冠、セミのぬけがら、はずれた馬券、さかなのしょうゆいれ、使い終わったクラッカー、

まだまだ 続く

石こうの歯がた、カルタの予備札、時計の歯車・・。

出てくる 、出てくる。
何ページにもわたって、「たからもの」がびっしり。

大人だったら、すぐに捨ててしまう、いわゆる「がらくた」と呼ばれるものかもしれないが、子どもの時は、「たからもの」なんだよなあ。

「あっ!これは持っていた」
「知ってる知ってる」
「いやあ、これは、私の時にはなかったなあ・・」

しばし、ページに見入ってしまう。

「王冠とか、牛乳のふたとか、集めていたなあ。」
「あっ!クリスマスケーキにのっていたサンタさんだ。」

ケーキにのっているサンタさんといえば、私もこれを弟ととりあいになった。見事、私が手に入れて、すぐ食べた
・・・ら・・・ろうそく だった。(^^;

「たからもの」の説明や、二人のやりとりも、とても微笑ましい。

お姉ちゃんと同じものが欲しい弟。
口がたつので、「とりかえっこ」を、有利にすすめるのだが、弟が泣いちゃうと、あわててご機嫌をとる姉。

ちょっぴり、昔の私たち姉弟のことも思い出してしまう本でもあった。

* * * * * *

作者は 杉山亮さん。
「あなたも名探偵シリーズ」「わんわん探偵団シリーズ」など、他にもたくさんの作品があり、どれもお気に入り。

たくさんの作品の中の一つ、「おはなしめいろ」は、杉山亮さんだからこその傑作だと思う。(絵本、絵はがきなどいろいろな形態があるが、ポスターになっているのが私は好き)

こどもの本の専門店の方が、

「この『おはなしめいろ』には、『子どもたちへ、たくさん道草をして大きくなってね』という杉山さんの願いがこめられているんじゃないかな」

と 話してくれたのが忘れられない。
            
「おはなしめいろ」 迷路にびっちり文が書いてあり、正しい道を行くとお話がつながるが、間違えた道を行くとが、全然ちがう話になって終了する。そのちがう話を読むために、わざと間違えた道に行くのが楽しい。
「むか」→「しあるところに・」
    →「でだぁ!」(終)

たからものくらべ (A)
 杉山 亮 作
 中西恵子 絵
 福音館 1991年

読んでいただき ありがとうございました。