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【まいぶっく23】心おどる日常~さくら村は大さわぎ

小さいころは、身近に、心おどるできごとがたくさんあった。

大晦日 
1年に一度だけ「明日まで」起きていていい日。
家族中で大掃除をし、お正月の飾り付けをする。
夕方早く お風呂に入り 新しい下着にとりかえ、大晦日恒例のテレビを見る。
おせちを食べ、年越しそばを食べる。

眠くて眠くてしょうがないのだけれど、TVから流れてくる 除夜の鐘を聞くまではと、無理矢理 目をあけてすごす。


誕生日、遠足、お祭り
、みんなみんな楽しみだった


それが、いつのころからか、
12月31日も1月1日も いつもとかわらぬ1日だ ということに気がつき、
(だいたい、12時過ぎて起きていることなんて 日常茶飯事になっていた。)
お祭りには、何十年も行ってない。
誕生日など「また1つ年をとった」と嘆く日になってしまっていた。


こんなことを思ったのは、この本を読んだから。

さくら村では、事件が いっぱいおきます。
キセキレイが、とんでもないところに 巣を作ったり、
トウモロコシ畑で びっくりするようなものを 見つけたり、
満月の夜には ふしぎなことが おきたり・・・・・。
さくらの咲く春は、とびきり すてきですけれど、
夏も、秋も、冬も おもしろいことで いっぱいなんです。
(帯より)

子どもが生まれたら 桜の木を1本植えるというさくら村
そこに暮らす 子どもたちのお話。

学校においた自転車。そのかごの中に いれておいた ヘルメットが 鳥の巣になってしまった。
家に帰っても、早く学校に行きたい、ヘルメットの巣を見たい。
朝早く起きて 走って学校へ行く。

長い間、空き家だった赤いレンガの家に だれかが引っ越してくるみたい。
「どんな人が こしてくるのかなあ」
「子どもはいるのかなあ」
「お店を開くと思う?」
と、毎日わくわくする。

「せかい一のおやつ」の おしょうゆとバターをぬってやいたトウモロコシ。
早く食べたくて、道草せずにダッシュで帰る。



「小さいころって、今 思えばなんでもないことが、とっても楽しみだったんだよなあ」と「日常」が「わくわく」で いっぱいだったあのころが 心によぎる。

リンドグレーンの「やかまし村」を思い出す1冊だ。

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と、ここまで書いたのは、今年の4月。
完成しないで、3ヶ月とまっていたこの文章。

春になり、私の畑仕事が始まった。
畑を起こしてもらい、肥料をまく。うねをきり、マルチをして、野菜の苗を植える。
タネもまく。
花壇にも、苗を植えたり、種をまいたりする。

そんな日々が続いたある朝、目を覚ますと一番に
「アサガオのタネ、芽を出したろうか。」と 思う自分がいた。
すぐに 畑に見に行きたい自分がいた。

もう私には、さくら村の子どもたちのように、わくわくしたり、何かを楽しみに待つなんてことは、ほとんどないと思っていた。

でも、朝顔の発芽を 心待ちする自分に気がつき、
「あ、私にもまだ こんなわくわくする気持ちが 残っていたんだ」
と 嬉しくなった。

さくら村は大さわぎ
朽木祥 作  大社玲子    絵
小学館 2021年

おせちは大晦日・・・・我が家では おせち料理は、大晦日に食べていました。それが、北海道の風習だったと、最近テレビを見て 初めて知りました。


読んでいただき ありがとうございました。