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【まいぶっく14】うそつきの天才~おじいちゃんとの 最後の旅
図書館のHPで 新着チェックをしていて 見つけたこの作品。
「あっ!ウルフ・スタルクの 新作がある (^^) 」
Amazonの内容紹介も見てみると、そこには、
「・・胸を打つ、最後の作品」。
ああ・・亡くなられたんだ・・・
* * * *
初めて読んだスタルクの作品「パーシーとアラビアの王子さま」(小峰書店 1997年)が、ものすごくおもしろかった。思わず「スタルクは 最高!」と書いて、愛読者カードを 出してしまったほどだ。
(すると、小峰書店から ポストカードが 4枚ほど送られてきて、すっかり小峰書店ファンになってしまった。単純な私。)
それ以来、スタルクの作品のチェックは、かかさずに行ってきた。
「悪ガキ」といわれても おかしくないくらい やんちゃな子が主人公になることが多い。いろいろな事件が うまくからみ合い、テンポよく進んでいく。お話のベースに 愛情を感じることができる。
20年ほど前の私の中で、ウルフ・スタルクは、 「岡田淳さん」 「ウィリアム・スタイグ」と並んで 大好きな作家 BEST3の 一人として君臨していた。
* * * *
この「おじいちゃんとの 最後の旅」も スタルクらしさ全開。
◆ ◇ ◆
入院しているおじいちゃんは、怒りっぽくて、きたない言葉を使いまくる。看護師さんたちは、こまっているし、実の息子も あまり会いに行きたがらない。
でも「ウルフ」は、おじいちゃんのことが大好き。
両親に巧みなうそをついて、おじいちゃんを病院から連れ出す。
向かった先は・・・・。
◆ ◇ ◆
切なく、悲しい話ではある。
自分がしたことで、おじいちゃんの寿命を短くしたんじゃないかと ウルフが悩む場面、
おじいちゃんがおばあちゃんの棺にむかって、きたない言葉を次々はくところ、
読んでいて、胸がいたむ。
でも、スタルクのスタルクたる所以で、あちこちにユーモアもたっぷり。
うそをついておじいちゃんを連れ出す際、看護師さんに対して、話をアドリブで合わせるところ。
真実を言ったのに、父親に信じてもらえなかったウルフが言った一言など、思わず笑ってしまうところもたくさん。
切なくて、笑っちゃって、はらはらして、胸にしみいって・・たくさんの感情を抱くことができるお話だった。
* * * *
本文中に「うそつきの天才」という言葉を 3つ 見つけ、にやり としてしまった私。 スタルクには、「うそつきの天才」という作品があるのだ。
こちらも主人公は「ウルフ」。「自伝的な色合いの強い」お話とのこと。
訳者の菱木晃子さんが、後書きで こう書いている。
うそつきは、泥棒ならぬ 作家のはじまり、といったところでしょうか。
たくさんの作品で楽しませてくれたスタルク。以前読んだ作品もまた読み返してみたくなった。
(徳間書店のnoteで「おじいちゃんとの 最後の旅」について、訳者 菱木晃子さんのインタビュー記事がアップされている。ぜひ、そちらもどうぞ。)
おじいちゃんとの 最後の旅
ウルフ・スタルク 作
キティ・クローザー 絵
菱木晃子 訳
徳間書店 2020年
読んでいただき ありがとうございました。