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「デラシネ」も 見たい~ZOOMで読書会 その15


15回目の「ZOOM読書会」。学生時代の友人「🐰さわ」&「🐱MOTO」と 私「🐻くば」が、それぞれ自分で決めたテーマにそって選んだ本を3冊ずつ紹介してます。

過去の読書会はこちら

☆さわ☆

<テーマ>「十歳までに読んだ本」を読んだら読みたくなって読んだ本


前回の読書会 でとりあげた、「十歳までに読んだ本」

作家、女優、タレントなどが、10歳までに読んだ本を1冊紹介している。紹介された本の中から自分でも読んでみた3冊。

1 デブの国ノッポの国 アンドレ モロア

🐰デブの兄とやせっぽちの弟が、それぞれ、デブの国とノッポの国へ連れて行かれる。両国は対立していて、戦争が起こってしまう。しかし、勝ったノッポの国の人々が、デブの国の人々の良さに触れ、デブの国の国王を 王に迎え 連合国家となる。

やっぱり、圧倒的にデブの国が 良くえがかれている。この本を読んだ子どもの頃、ノッポだった私が不満に思うのも当然。

「太っている人はおおらかで、やせっぽっちは ギスギスしている」
「成績の悪い子は 性格が良く、成績の良い子は 性格が悪い」
当時の本やドラマでは 定番。やせっぽちで成績の良かった私は、二重にダメな奴。それがとっても嫌だった。

でも、この本は大好きで、何度も読んでいた。
自分は、やせっぽちだったけど、性格や行動はデブの国の国民だった。めちゃくちゃ大食いで、隠してあるお菓子を見つけて食べては 怒られていた。運動は苦手で 当時の子供としては動かない方だった。怒られたり、笑われたりばっかりの私でも、デブの国に行ったら 普通でいられそうと思った。自分の体型では無理なんだけどね。

幸か不幸か、性格通りの体型になってしまったが、やっぱり、この本を読む やせっぽちの子たちのことを思うと 胸がチクりとする。この本のテーマは そこじゃないとは思うんだけど。


2 フリスビーおばさんとニムの家ねずみ ロバート・C.オブライエン

🐰4人の子どもを育てている 野ネズミのフリスビーおばさん。引っ越しのことを、家ネズミに相談する。

その家ネズミたちは「二ム」という研究所で 知能が発達し、研究所から逃亡してきたネズミたちだった。
文字を読めるようになっていたネズミたちは、本を読んで知識を獲得し、電気も使って 文明を手に入れていた。

しかし、人間に依存しないで生活するため、移住することにしていた。家ネズミたちの助けによって フリスビーおばさんたちは 無事に家を移ることができ、家ネズミたちの危機の際には、フリスビーおばさんが 命がけで手伝う。


研究所の部分では、「アルジャーノンに花束を」を、新しい生活を選ぶかどうかの 話し合いの場面では「床下の小人たち」を思い出した。

家ネズミのほとんどは、自給自足の生活を選び、今の生活を捨てきれないネズミたちは、結局不幸な目にあってしまう。文明を選ぶかどうかというより、人に依存して生活することの危うさを 考えさせられる。

人も国も 他への依存度が 大きければ大きいほど 危険も大きくなる。そんなことを 考えさせられた。


3 マリアンヌの夢 キャサリン ストー

🐰病気にかかり、何週間も 寝ていなければならなくなったマリアンヌが、母親の裁縫箱から見つけた鉛筆で 絵を描くと、それが夢の中に出てくる。

夢の中で出てくる少年は、実は、現実の世界でも 割と近くに住んでいる。最後は マリアンヌが描いてしまった怪物に 追いかけられるが、二人は、鉛筆で描く絵によって 危機を回避していく。
 
 
この本を紹介していた魚住直子さんが

「絵が夢になるというのと 同じくらい魅かれたのは、マリアンヌが 普通の子であるということ。」

と書いていたが、私も、まったく同じように思って読んでいた。夢の中に登場するマークもごくごく普通の子。
でも、その二人が 何となく力を合わせているところが ほほえましい。
 
歩く訓練をしないマークを マリアンヌのアイディアで 歩けるようにしていくところや、二人が、最終的に現実世界の海で 出会えたかどうかは 書かれていないところが、いい。


🐰「十歳までに読んだ本」の執筆者を、実は私、ほとんど知らないんだよね。
🐻デブの国ノッポの国を紹介していた、石川直樹さんの本はおもしろいよ。3冊ぐらい読んだけど、ものすごい冒険の話。この間、「たくさんのふしぎ」でも 出版されてたよ。
🐱魚住直子さんも、あんまり読んだことないなあ・・・・あ!「園芸少年」は面白かった。他の人にも勧めたよ。
🐻段ボールかぶって生活している高校生のお話だよね。うん、面白かった。


☆MOTO☆

<テーマ>お年よりの本

1おとしより -パリジェンヌが旅した懐かしい日本-­ イザベル・ボワノ

🐱とってもすてきな この本を見つけたので、今回のテーマを お年より にしたの。
 作者はフランス人で 日本大好きな人。
 街頭スケッチなんだけど、喫茶店にいるお年よりとか ペット自慢のお年よりとか すてきなお年よりがいっぱい出てくる。
日本の本なら お年よりをかわいく描いてしまいそうなんだけど、この本は、ほんとにしわくちゃのまんま。
でも おしゃれな服装で あっという間に読んじゃったよ。


2 隠居すごろく 西條奈加

🐱巣鴨の 6代続く糸問屋のしまやの主人徳兵衛さんが 隠居するところからお話が始まる。
そこに 孫が毎日訪ねてくる。この孫も いいところのぼっちゃんで、世の中に貧しい人、生活に困っている人がいるということを知らない。

そんな相手に ほどこしをしてやった孫。すると相手がすごく怒った。
徳兵衛さんは 孫のしたことの 何が悪いか教えるのだが、孫は かかわるのをやめようとはせず、その子たちを助けるにはどうしたらいいか 考えるようになる。

徳兵衛さんも それにのせられて、子どもたちに仕事を見つけてやったり、子どもたちの親に 仕事をみつけてやったりする。

最初は 徳兵衛さんも、そんなことするつもりは なかったのに、孫かわいさに しぶしぶ手助けしていたのだけなのに、だんだんまわりの人とのつながりができていき・・・というお話。 読後感もいいし、おすすめです。


3 モモヨ、まだ九十歳   群 ようこ

🐱群ようこさんのおばあちゃんモモヨさんは 90歳。一人で新幹線にのって東京にやってきた。
モモヨさんには どうしてもやりたいことが たくさんあって、たとえば、一人でホテルに泊る、上野動物園でパンダを見る。
そんなモモヨさんの東京滞在記。

とにかく すごく元気なおばあちゃんで、頭もしっかりしてるし、身体も動くし、足腰もたっしゃで、群ようこさんの母もたじたじとなる。

92歳と95歳のモモヨさんの様子もえがかれていて、とにかくパワフルで こんなふうに年をとれたらいいなあ というモモヨさんでした。

🐻「隠居すごろく」は面白かった。あの話、現代におきかえても面白いのじゃないかなあと思ったけど、「寺子屋」が出てくるから、やっぱり難しいよね。
🐱ドラマにしても、面白いんじゃないかなあ。


☆くば☆

<テーマ> 愛しきワンちゃんたち

1 雨降る森の犬  馳 星周

🐻舞台は信州。蓼科山のふもと。
父親を亡くし、母親ともうまくいっていない天音は、伯父・道夫のログハウスで暮らすことになる。そこには、バーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルがいた。

近くに別荘には、親とうまくいっていない高校生の正樹がいた。
天音と正樹。この二人は、道夫、自然、そしてワルテルとのふれあいで少しずつ変っていく

天音の伯父・道夫は、天音と正樹の心のよりどころであり、子どもを守れる大人。非常に魅力的な人物だと感じた。

天音は、最初、ワルテルとうまく付き合えなかったんだけど、月日がたつにつれ かけがえのない存在となる。そこまでの過程も 心ひかれたし、何より、最後の場面は涙してしまった。



2 迷犬マジック 山本甲士

🐻認知症を疑われているおじいちゃん、
会社をやめて一人暮らしを始めたアラサー女子など、
ぱっとしない毎日を 送っている4人の目の前に、ある日突然、迷い犬が現れた。

「マジック」と 首輪に書いてあるのだが、いっこうに飼い主が見つからない。しかたなく世話を続ける。すると、ぱっとしない毎日に少しずつ変化が・・・・。

4人ともマジックが迷い込んできたことで、ちょっと行動が変り、そして人生が変る。

マジックが「スーパーワンちゃん」であることは間違いないんだけど、マジックが変えた行動というのは、

たとえば、最初の話のおじいちゃんの場合。
近所の人と挨拶をする。
近所の人と会話をする。
近所の人とつりに行くようになる。
孫娘が 犬あいたさに遊びにくる。
不仲だった息子も家にくるようになる。

という ほんの小さなこと(あたりまえのこととも言えるかも)から 始まっている。

人生は案外、小さなこと、些細なことから好転していくというのは、(たとえ、迷犬マジックがいなくても)よくあることなのかもしれないと思った。


3 シャルロットの憂鬱  近藤史恵

🐻浩輔・真澄夫婦のところへやってきたシャルロットは、6歳の雌のジャーマンシェパード。いたずら好きで、少し臆病な元警察犬と、新米飼い主の周りでは様々な事件が起きる。

元警察犬なのに、家に何者かが侵入したのに、吠えなかったのはなぜ?

チワワに鼻先をかまれたシャルロット。さらにその飼い主の女の子にもかまれる。そこには女の子の切なる願いがあった。

シャルロットにかかわるちょっとした事件が描かれるお話。


けっして大事件でも、手に汗握るスペクタクルでもない、日常のだれのそばにでもおきそうという設定が、このお話の面白さになっている。

シャルロットのしぐさが愛らしい。
大型犬のジャーマンシェパード。さらに、元警察犬ときたら、恐ろしいと思ってしまうが、犬にも表情がある、悪いことをしたとわかったら、しゅんとするなど 描写されているシャルロットの様子は、犬が苦手な私でも かわいい~~~~♡と思ってしまった。


🐰「ちゃんとした大人」が出てくるっていいよね。特に子どもにとって、たとえ お話の中のことでも、「ちゃんとした大人がいる」って わかることは、大事なんじゃないかなあ。
🐱私、近藤史恵さん好きなんだけど「犬」ってだけで、読んでなかったよ。今度読んで見よう。
🐰私も今、「猫にひかれる」生活を送ってるから「犬」の話には手が伸びなかったの。


10月18日に、🐰さわから、ラインがきた。

「今日の『舞いあがれ!』(NHK朝ドラ)の 古本屋の場面見てたら、少年少女文学全集発見!『愛の一家』に見覚えが。内容は全く覚えてないけど。」

18日の朝ドラには、古本屋(店名「デラシネ」。店主役は又吉直樹さん)の場面が出てきた。

私も朝、見ていたのだけど、ラインを見て、あわてて、録画してあるのを見直した。が、画質を落として録画しているせいか、背表紙が全く読めなかった。

しかし、数日後 
「そうだ!こういうときはNHKプラスだ!」
と 思いつき、当該番組を見たら、ありました!ありました!

たぶん後ろの棚に 6冊ぐらい並んでいるのが、少年少女文学全集だ。

題名は、ええと・・
(眼鏡をはずし、PCに顔をくっつけている怪しい姿の私)
「ピノッキオ」「愛の一家」「アラビアンナイト」「(たぶん)名探偵ホームズ」が判読できた。

また、9月まで放送されていた「芋たこなんきん」(NHK朝ドラ2006年の再放送)の主人公 花岡町子作の「おっとどっこい」も並んでいた。

何せ「本棚が見たい!」 私。
NHKさん、あの「デラシネ」の店の中を どんな本が並んでいるか、ゆっくり映す場面作ってくれないかなあ。


読んでいただき ありがとうございました。