【コラム】カウンセラーの共感力は友達のそれとは何が違うのか
共感という言葉は今や毎日のように耳にします。
あるあると思うことを聞くだけで、人はなぜか少し気持ちよくなったり、笑ったりします。
共感力のある人というのはどんな人のこと言うのでしょうか。
また共感してくれる友達と、共感力のあるカウンセラーではどんな違いがあるのでしょうか。
例えば、試験に落ちたり、上司に厳しく叱責された時に、横でその辛い思いを聞いてくれる大切な友人がいるとします。
とても頼りになるし、嬉しい、大切な存在ですよね。
最もダメージが大きい時に、癒してくれるのはお互いに信頼し合っている心を通わせた友達だったりします。そんなかけがえのない友人関係はこれからも何よりも感謝して、守り続けてください。
一方で、時には大切な友人にも言えないこと、大切な友人だからこそ言えないことが誰しもあります。
そんな誰にも言えない苦しい気持ちをなんとかするのがカウンセラーです。
カウンセラーの共感力とはどんなものなのでしょうか。
カウンセラーの共感力とは
カウンセラーは相手の内側から相手をとらえようとします。
表面的に何を言っているのかももちろん大切に扱いますが、その言葉の内側にあるあなたをとらえようとするのです。
カウンセラーが頭であなたを理解するのではなく、あなたのお気持ちの中に取り込まれるのでもありません。まるであなた自身であるかのごとく、あなたの気持ちや思いを理解しようとします。
したがいまして、カウンセラー自身の解釈や判断は一切混じらせない関わりであなたと接しています。
あなたの言葉を自分に響かせ、伝え返しをしながらあなたの感じている痛みを自分の痛みとして身体中に響かせます。そしてあなたと私が一致した状態で、内側をとらえた状態で、あなたの言葉を受け取り、あなたに必要な言葉を渡していきます。
これがカウンセラーの共感力であり、共感的理解の方法です。
仲良しの思いやりのあるお友達とはまた違った関わり方で、あなたの心の支援ができるのです。
カウンセラーの共感的支援とは何か
もしあなたが傷ついているとして、もしくは悩み疲れているとして、信頼できるお友達はきっと勇気づけてくれるでしょう。
そして励ましてくれるでしょう。そんな素晴らしい友人がそばにいる場合は、ぜひそんな仲間を頼ってください。
またあなたも逆の立場になった時に力になってあげてください。
ただし、世の中にはそんなに支え合える友人関係がある人ばかりではありません。深く強い友人関係だからこそ言えないお話があったりするものです。
そんな場面でのお友達のアドバイスは時には支えにならず、お互いの関係性に摩擦を生んでしまうことさえあります。
カウンセラーの役割は、あなたの感じている痛みを感じつつも、あなたの友人として共に涙を流すことではありません。友人ならではのサポート方法で、朝までお酒を一緒に飲んだり、気晴らしにカラオケに行ったりすることもありません。
専門職としてあなたに寄り添いながら、かつ冷静さを保って、あなたに必要な言葉を丁寧に届ける「陳述」を行います。
カウンセラーの陳述とは何か
多くのカウンセリングの現場では、相談者の「これまで誰に話しても共感されず、人知れず悩み続けてきたこと」を吐き出す場となるケースが多いです。
カウンセラーは相談者が話している途中で、アドバイスをしたり、意見をしたり、解決策を提示するようなことはありません。
そうした丁寧な傾聴力が、相談者自身の心の整理を助け、それだけで安定した精神状態を取り戻すことができる人もいます。
ただし、傾聴だけで全てが解決するとは限りません。一時的にはモヤモヤした思いは晴れるかも知れませんが、やはりまた同じような悩みが出てくることはよくあります。
そこで傾聴、共感、一致というカウンセリングプロセスの最後に「陳述」という関わりがあります。
カウンセラーは思い込みや先入観、自分自身のこだわりなどを一切混じらせることなく相談者の混乱、苦悩、葛藤、苛立ちを自分自身の全身で受けとり、その上で冷静にその心の中で起きている心理的非柔軟な原因を考え、その絡まった思考をあやとりのように紐解く言葉を紡ぎ、相談者に渡します。
これによって渡された言葉で相談者は心理的消耗から解放されて、明日からまた日常生活を落ち着いて送ることができるのです。
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