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色褪せないLa'cryma Christiの魅力

90年代ヴィジュアル系ブームを牽引した5人組バンド
La'cryma Christi(ラクリマクリスティ)
をご存知だろうか。

個人的には違和感があるので使わないが、当時は「ヴィジュアル四天王」の一角に数えられるほどのバンドだった。
(なぜ違和感があるかについては文末で記す)

僕はそんなLa'cryma Christiが大好きで、今もよく聴いている。
カラオケでもよく歌っている。


90年代ヴィジュアル系は、LUNA SEAやL'Arc〜en〜Cielに影響を受けた「黒服」ベースの雰囲気がメインストリームだったと記憶している。

その中においてLa'cryma Christiは、今で言うアースカラーというのか、ちょっと民族衣装っぽい色合いの衣装を身にまとい、楽曲もどこかをオリエンタルで叙情的な空気感の音楽性を兼ね備えていた。


当時の僕は中学生。
音楽のこともバンドのこともよくわからないけれど、それでもグッと惹き込まれたのだ。とにかくかっこいい。


彼らとの出会いは、バンドのことを何も知らない中でジャケ買いした『Sculpture of Time』というアルバムだった。
本当に名盤なので、これはぜひ聴いてもらいたい。

収録曲は下記の通り。
ハズレ曲なし。全部いい。

  1. Night Flight

  2. 南国

  3. Sanskrit Shower

  4. Ivory trees

  5. Angolmois

  6. Letters

  7. 偏西風

  8. ねむり薬

  9. THE SCENT

  10. Blueberry Rain

曲名からも異国情緒を感じられるのではないだろうか。
1枚を通して順番に聴いていくと、まるで海外を旅行しているような気持ちにさせてくれる作品となっている。
ランダム再生が当たり前になった今となっては難しいかもしれないが、ぜひ曲順通りに聴いてもらいたい。


特に「Sanskrit Shower」「偏西風」は名曲。
公式動画がないので、「叩いてみた」でご勘弁いただきたいが、まず聴いてみて欲しい。

Sanskrit Shower

歌モノなのに、ボーカルすらも楽器として扱っているような楽曲。
複雑なプレイと魅力的なフィルやキメが散りばめられていて、徐々に盛り上りながらサビで一気に解放し、変拍子を交えた長くメロディアスなギターソロを経てAメロに戻る構成は秀逸。


偏西風

イントロの1音目から異国の香りに包まれる感覚にしてくれる楽曲。
変拍子で畳み掛ける構成に、独特の音色で彩るギターの響き、特徴的なリズムで全体を引っ張るドラム、湿り気を帯びたベースライン。
シンセや打ち込み、オーケストラに頼らず、シンプルな楽器編成を軸としながら「偏西風」というタイトル通り、随所で風を感じさせてしまう彼らの才能に脱帽。


いかがだろうか。
楽器隊全員の技術の高さは言わずもがな、ボーカルのハイトーンが心地良すぎる。


この頃は、L'Arc〜en〜Cielが現メンバーでリスタートしたり、LUNA SEAの河村隆一がソロ活動したり、GLAYがベストアルバムでミリオン取ったりと、ヴィジュアル系出身バンドが「脱ヴィジュアル系」に動き出していた時代。

そんな中でヴィジュアル系の雰囲気を残しつつも、ポップでキャッチーな一面も見せながら一気に駆け上がっていったバンド。
それがLa'cryma Christiだと思う。


彼らの強みはなんといっても、オリエンタルな楽曲。
他のバンドには出せない、この唯一無二の魅力が強力な武器となっていた。

メジャー2枚目のアルバム「Lhasa」に収録されているタイト ルトラック「Lhasa」は、僕の中でラクリマの魅力が詰まりに詰まった真骨頂だと思っている。
(例によって公式動画がないので、「弾いてみた」でご容赦いただきたい)


しかし、時代に翻弄されるように楽曲の雰囲気は甘さをまとったポップやハードロックに傾倒していき、オリエンタルな雰囲気は影を潜めていく。

僕個人としては2000年に発売されたアルバム「magic theatre」と、シングル「情熱の風」までしかどっぷり浸かっておらず、ここまでがギリギリ彼らの個性と匂いを感じられる作品だったと思う。(個人の見解です)

しかし、2002年のアルバム「&U」を買ったのを最後に、僕の中ではこの先の作品を聴くことをやめてしまった。
異国情緒を感じられなくなり、バンドとしての色はすっかり形を変えてしまった印象が強く、とてもショックだったのを今も覚えている。

だから、「La'cryma Christiが好きだ」と言いつつも、「インディーズから2000年までのLa'cryma Christiが好きだ」と言うのが正しいのかもしれない。


それでもバンドとして残っていたことは、今思えば喜ぶべきだったのだ。
今はもう、彼らが5人揃うことは二度とない。
La'cryma Christiとして生み出す新しい音楽を聴くことはできない。
本当に寂しく思う。

それでも、La'cryma Christiは僕の中でいつまでも輝いている。
年齢的にもタイミング的にも生でライブを見ることもできなかったけれど、彼らは僕の中のヒーローなのだ。


後輩にあたる現役のバンド、摩天楼オペラのボーカルさんがこうしてカバーしているところを見ても、彼らの影響は大きかったことがわかってもらえるだろう。


音楽性は時代によって変わって当然だろうし、商業音楽としては自分の好みだけを追求することも難しいだろう。
いろいろな軋轢や葛藤、重圧がのしかかり、好きなようにできないことは想像に難くない。
そんな中でも、一時代を築いて駆け抜けたLa'cryma Christi。
20年以上経った今も、この先も、僕は聴き続けるし、その輝きは僕の中で一生失われることはないだろう。

サブスクにも解禁されていないので、CDでしか聴く方法がないのが残念なところ。
ぜひいつか、サブスク解禁されたらいいなと思う。
そして公式YouTubeにも歴代のMVを公開してほしい。
「こんなにすごいバンドがいた」ということを今の人たちにも感じてもらいたいし、彼らの楽曲が広く、未来にも届くことを切に願っている。


最後に、上記以外でオススメの曲をいくつか紹介したい。
公式動画は全くないので、全部「弾いてみた」「叩いてみた」となっている。


A.S.I.A.

初期の名曲。
タイトル通り、アジアを彷彿とさせる歌謡テイストの響きに怪しげなギターリフが心地よい。
ご覧の通りベースも複雑で聴いていて全く飽きない。
かっこいい。


Poison Rain

こちらも初期の名曲。
theヴィジュアル系な感じの展開と構成。
ミステリアスな雰囲気の中で繰り返される裏打ちや迫り来るスネアなど、とにかく聴いていて楽しくなる。
かっこいい。


情熱の風

僕が最後に惚れた曲。
ラテンのリズムを感じさせる、爽やかな楽曲。
ヴィジュアル系ってところではなく、この方向で突き進んでも大衆の心は掴めたのでは?と個人的に思っている曲。
かっこいい。


With-you

この曲で結構テレビに出てたから知ってる人も多いかも?
個人的にはこの曲が売れたことで、その後のラクリマの方向性が変わってしまったというか、イメージがついてしまったような気がして複雑だけれど、この曲はこの曲でいいのよ。
甘甘な歌詞とノスタルジックなメロディがいいのよ。
かっこいい。


他にもあるのだけれど、違法アップロード的な物しか見つからなかったので断念。
興味があればぜひ調べてみてくれると嬉しい。
La'cryma Christi。
本当、かっここいいので。


今回はここまで。



▼ヴィジュアル四天王という呼称になぜ違和感があるかについて

・La'cryma Christi
・MALICE MIZER
・FANATIC◇CRISIS
・SHAZNA

この4バンドが当時「ヴィジュアル四天王」と呼ばれていた。

個人的な見解と好き嫌いの話になるのだけれど
「もっと他に居ただろう」
というのが正直なところ。

「ヴィジュアル系」で楽曲や個性が強いという点において、La'cryma Christi、MALICE MIZERは全く異論なし。

でもSHAZNAはどちらかといえば派手な格好をしたロックバンドであり、FANATIC◇CRISISに至ってはかっこいいお兄ちゃんたちがやっているロックバンドという印象が強い。
どちらもかっこいいし好きだし、いまだに聴くしカラオケで歌うけれど、ヴィジュアル系として括るには違和感を感じて仕方ない。

だからこそ思う。

「もっと他に居ただろう」

と。



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