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「影法師」百田尚樹さん(読書感想文)

素晴らしい。
久しぶりに電車の中で
泣きかけた
和製「スタンド・バイ・ミー」。
もしくは、
小説版「摩利と新吾」(木原敏江さん)。

彦四郎の献身は、
みね(下女の娘で彦自身も惚れてた)
のためでもあり、
親友、勘一のためでもあり。。

勘一がみねを娶りたいと
言ったとき、彦四郎は自分の思い
(みねの思い)も振り切って
二人を結婚させる。

それは、彦四郎が嫡男ではない
という複雑な時代背景も
あるのだけど、
どこか「摩利」と重なった。

そして子供の頃からの
友人たちが、それぞれ年を重ねるのは
「スタンド・バイ・ミー」のようだけれど
この小説では、彦四郎だけが
重い十字架を背負わされていたような
気がする。

峠で、刺客を打ったのは
勘一のためではなく、みめのため
だったとすれば、
勘一は素直に泣くことができるのだろうか。

いや、それでも勘一は泣いたと
思う。彦四郎のために。

そんな余韻が残る、素晴らしい作品だった。


#創作大賞2023      #オールカテゴリ部門


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