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考える死体(仮想現実)

彼に迷惑をかけないために

こんな夢はどうかな?

あなたは高級ホテルで
好きな人に首を絞められて
殺される。

 
彼の事情、あなたの事情が
全部かみ合わなくて、
あなたが殺してほしいと
願っていた。
 
彼はそれを叶えてくれただけ。

彼は死んだあなたを
ホテルの屋上から、
下のプールへと投げ入れるところ。

あなたは彼の腕の中で考える。


バカ、このまま落としちゃったら、
絞殺のあとがバレるじゃない。

  
殺されても、
あなたは彼が好き。
彼の味方でいたい。

 
だから、ポイと体が空中に
投げ出されたとき、
あなたは最期の力を振り絞って、
くるりと

空中回転する。
 
お尻から落ちて、
頭が残ったりしないように。

きちんと頭部が破壊されるように
頭を下にして落ちて行く。

 
そして、折れ曲がり、
形さえとどめていない首から上の
あなたを発見した刑事は言う。

 
自殺の疑いもある、と。


そう、それでいい。

悪いのは彼じゃない。

死体がそう語ってくれることに
あなたは満足。

 
そんなナルシスティックに
精いっぱい誰かを愛せた
あなたは幸せ。


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