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リーダーは話し方が9割

人と人とのコミュニケーションにおいて、話し方の重要性は誰もが認識しているところだと思います。しかし、本書を読んで改めて気づかされたのは、リーダーにとっての話し方の重要性です。著者の永松茂久氏は、リーダーに必要なのは特別な能力や実績、カリスマ性ではなく、「人をやる気にさせ、能力を引き出す話し方」だと説いています。

私自身、これまでの経験の中で様々な立場のリーダーと接してきました。その中で印象に残っているのは、常に部下や周囲の人間の気持ちに寄り添い、適切な言葉をかけることのできるリーダーです。彼らの言葉には不思議な力があり、聞いているこちらまで前向きな気持ちになれました。本書を読んで、そういったリーダーたちが実践していたのが「フォーユートーク」だったのだと気づかされました。

著者が提唱する「フォーユートーク」は、相手の自己重要感を高める話し方です。自己肯定感ではなく自己重要感を刺激することが重要だという指摘は新鮮でした。確かに、ただ褒められるだけでは一時的な満足感は得られても、長期的なモチベーションにはつながりにくいと思います。一方で、自分が重要な存在だと感じられれば、責任感とともにやる気も湧いてくるものです。

フォーユートークの7つのポイントは、どれも納得できるものばかりでした。特に印象に残ったのは、「あなたは〜」と相手を主役にして話すこと、相手に疎外感を与えないこと、そして相手が自分の未来にワクワクできるようにすることです。これらは、単に部下との関係だけでなく、日常生活のあらゆる場面で活用できる技術だと感じました。

また、本書では部下に注意する際の話し方についても触れられています。多くのリーダーが苦手とする「注意」の場面で、相手の緊張感をやわらげつつ、リーダー自身の心も軽くする方法が示されています。「話し終わった後の、部下の状態を先に伝えること」というアプローチは、確かに効果的だろうと思います。相手の心を開かせてから本題に入るという流れは、相手との信頼関係を築く上でも重要だと思います。

本書を読んで特に心に響いたのは、リーダーはときに弱みを見せてもいい、むしろ部下に甘えることも大切だという指摘です。完璧なリーダー像を追い求めるあまり、周囲との距離が開いてしまうケースは少なくないと思います。自分の弱みを正直に話し、部下に頼ることで、逆に部下の自己重要感を高められるという考え方は、目から鱗が落ちる思いでした。

さらに、本書では「なぜ」を伝えることの重要性も強調されています。目標ではなく目的、つまり「なぜ、この仕事をするのか?」を伝えることで、部下のモチベーションを高く維持できるという指摘は、非常に説得力があると感じました。確かに、仕事の意義や目的が明確になっていれば、困難に直面しても乗り越えようという気持ちが湧いてくるものです。

最後に、本書で最も印象に残ったのは、リーダーの話し方において本質的に大切なのは、スキルよりもメンタル、つまり「どんな思いで話しているか?」だという指摘です。技術や知識も大切ですが、結局のところ、相手への思いやりや愛情が伝わるかどうかが最も重要なのだと感じました。この考え方は、ビジネスの場面だけでなく、人生のあらゆる場面で活かせる普遍的な真理だと思います。

本書を読んで、私自身のコミュニケーションの在り方を見直すきっかけを得られました。相手の自己重要感を高める話し方を意識し、「なぜ」を大切にしながら、愛情をベースにした言葉かけを心がけていきたいと思います。そうすることで、周囲の人々とより良い関係を築き、互いに高め合える環境を作り出せるのではないでしょうか。

リーダーシップは、決して特別な人だけのものではありません。日々の小さな言動の積み重ねが、やがて大きな影響力となって現れると思います。本書で学んだことを実践し、周囲の人々を幸せにできるリーダーになることが、これからの私の目標です。

(約2000文字)

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